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【日曜特集】駒門駐屯地創設55周年記念行事(3)訓練展示模擬戦の迫力全快(2015-04-05)

2021-10-03 20:06:24 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■戦車の迫力!陸上防衛の華
 戦車の迫力を体験したならば疲れも鬱屈した気分もたちまち全快というところでしょう、陸上防衛の華である戦車には力がある。

 2両の87式偵察警戒車が一瞬重なりつつ敵へ油断なく砲塔を向ける。車両が動くということは、それだけで赤外線を発するのですから慎重に相互支援しつつ前進して往きます。微光増倍暗視装置しか搭載していない本車、運用もそうとうに慎重とせねば生き残れない。

 発砲焔が轟く一瞬の閃光とともにFH-70から叩きつけるように轟音が。我が偵察隊の情報を元に敵陣地へ攻撃準備射撃を開始します、155mm砲弾は曳火射撃を行った場合、一発で長径45mと短径25mの範囲に有効弾片を散布することが可能だ。FH-70は毎分6発撃つ。

 全般支援火力として特科火砲が射撃した瞬間の砲焔が写ると嬉しい。FH-70は155mmという口径とともに空包でも真上に大きく発砲焔が発現します。74式戦車の105mmよりも一瞬長く発砲焔が持続しますので、毎秒3枚程撮れるカメラであればチャンスがあります。

 10式戦車が特科火砲の火力支援下で飛び込むように駆けつけました。飛び込んだ、という表現が正しいでしょうか、10式戦車の機動力には毎回驚かされます。第1師団に配備されている10式戦車は僅か1個中隊なのですが、行事に必ず参加する、存在感が大きいのです。

 射撃醸す白煙の幕から飛び出る10式戦車と白煙の奥に87式偵察警戒車が。僅か1個中隊ではあるのですけれども、例えばアメリカ海兵隊は2200名規模の海兵遠征群MEU編成にM-1A1戦車を5両、緊急展開部隊でも、重いM-1A1戦車を必ず編成に加えているのです。

 戦車の機動力を誇示するように10式戦車が進み白煙の奥に90式戦車が。90式戦車も強力な戦車です、しかし、個人的な話ですが私が初めて富士総合火力演習にいくことができたのは2002年、そのころは導入12年となっていまして、いろいろ考えさせられたものです。

 74式戦車が戦闘加入するとともに桜並木の下には81式自走架橋柱も。最近、自分も歳をとったなあ、と嘆息するのは61式戦車が動いているところをみた、という方がだんだん減っているのですね。私が動いている61式戦車を知っている最後の世代となるのでしょうか。

 74式戦車空砲射撃が90式戦車や10式戦車とは桁違いの轟音を叩きつける。61式戦車、しかし調べれば2000年まで今津駐屯地、ここ駒門駐屯地に配備されていたのです。といいつつ、これ20年前、なるほど時代というものでしょうか。次は護衛艦はるな知らない世代か。

 FH-70背景に74式戦車は縦横無尽に回避機動しつつ空砲射撃を繰り返す。74式戦車も行進間射撃は可能です。しかし90式戦車のように目標自動追尾装置がありませんので、15km/hまでの行進射を行う程度です。命中精度を考えれば基本的には短停止射撃を行う。

 FH-70榴弾砲が攻撃前進支援射撃として再度の空砲射撃を誇示しました。仮設敵陣地が全く見えない場所で撮影しているために恐縮ですが、相当仮設敵陣地は追い込まれているようですね、なにしろ戦車部隊に囲まれている、文字通り手もあしもでない状況、ですよね。

 90式戦車の援護下に第一線へ96式装輪装甲車が高速で戦闘加入を果たす。高射特科大隊の隊員がめいっぱいに乗車しているという。仮設敵陣地は戦車が火砲とともに叩くといいますか耕したあと、戦況はわれに有利、いよいよ突撃発起の時機が近づいて参りました。

 下車展開した近接戦闘部隊が指揮官号令一下に戦車の陰から飛び出す。戦車というものは歩兵の盾なのだ、という実状を如実に示しているのかもしれません、日本一重い、50tもの重量を誇る90式戦車を盾にしてよいのならば、これは近接戦闘部隊にとって心強い。

 110mm個人対戦車弾を片手に戦車を盾に対人起爆方式で敵陣地を睨む。この110mm個人対戦車弾は弾頭部分の先端を引き延ばせばHEAT効果を前面に集中する対戦車弾薬に、先端を押し込めば周囲に破片と爆風をまき散らすHE榴弾として機能する、合理的設計です。

 89式小銃を片手に指揮官は更なる前進を手信号で促し自らも前進へ。89式小銃には着剣し、近接戦闘部隊の象徴的描写だ。89式小銃は国産小銃の信頼性、長年の課題を前に2004年自衛隊イラク派遣に際しクウェートでの総員1000発連続射撃等で信頼性を誇示しました。

 90式戦車を背景に近接戦闘部隊が陣地へ最終段階の突撃へ移行して往く。この状況になりますと戦車は最早主砲を射撃することはできません、砲弾を包むサボーが極超音速で飛散し、近接戦闘部隊を巻き込むためです、即ち歩兵の時間がやってきた、ともいえますね。

 12.7mm重機関銃とMINIMI分隊機銃が装甲車から射撃支援しつつ突撃へ。歩兵は500m程度が歩兵の間合い、といわれます。その意味とは確実に戦車を撃破でき、且つ地形防御などにより戦車から発見されにくい、という。戦車は500mまで歩兵を寄せたらば負け。

 当面の敵を撃破へ74式戦車支援下に撮影位置から見えない仮設敵陣地へ。この撮影位置、いや前に観閲台付近から訓練展示を撮影したのですが、来賓が多すぎてほとんど頭越しの撮影では良い構図が撮れません、この撮影位置、仮設敵陣地が全く見えない。戦場の闇だ。

 桜並木とともに機関砲と監視装置で敵を睨んでいた偵察警戒車が動く。駒門駐屯地祭は四月第一日曜日に執り行われますので、第一日曜日が遅ければ遅いほど、満開の桜とともに撮影できるのです。ここで満開を撮影しますと、翌週第1師団練馬駐屯地祭はサクラ散る。

 87式偵察警戒車がこちらへ向かい後方の戦車や火砲や装甲車の列を抜く。陸上自衛隊機械化部隊ここにあり、という情景でしょうか。様々な車両は車両の任務と設計思想により形状と特に曲線が全く違いますので多種多様に並ぶ様子は、三世代故に面白くまた興味深い。

 当面の敵を撃破した我が部隊は更なる戦果拡張へ第一線から前進を。そんな情景です。前はこの撮影位置の目の前が倉庫になっていまして、喫煙所と、どこかのワンコさんがつながれているという不思議な情景となっていましたが、いまはそこも取り壊され、見通良い。

 87式偵察警戒車が次々と当面の敵を撃破した上でこちらへと進みます。このまま突っ込んで来そうな迫力の構図を狙う。第一線に展開している車両は同軸の連装銃で警戒するとともに、87式偵察警戒車は次の状況に向け、次なる情報収集へと前進を開始する構図です。

 偵察部隊とともに10式戦車が迫り来まして他の部隊も陣地変換へ向かう。この一連の動き、自衛隊では当面の敵を撃破した、として状況終了ですが、その背景には近接戦闘に向かった下車戦闘要員を回収、という必要があるのですね、早い段階で降ろす装甲車の限界だ。

 10式戦車が桜並木を背景にこちらへと迫る個人的にお気に入り情景が。装甲戦闘車がここに配備されていたらば、装甲戦闘車は高い防御力と大口径の機関砲で下車戦闘を敵陣地目の前まで行いません、すると、再乗車も迅速、これが攻撃機動の迅速化に直結するのです。

 10式戦車の砲塔を敵に向けつつ機動打撃を展開するお気に入り情景です。しかし、これから戦車を削減してゆく、現状でもかなり削減しているのですが、こう転換するのであれば、少なくとも削った分と同数の装甲戦闘車を、本州九州で22個中隊ほど、必要と考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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