北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】来年度予算概算要求-F35A戦闘機増強とF35B戦闘機,RC-2電波情報収集機とKC-46A空中給油機

2024-10-14 20:00:06 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 防衛省来年度予算概算要求について今回はF-35戦闘機など航空自衛隊の航空機関連についてまとめました。

 航空自衛隊はF-35A戦闘機8機を増強すべく来年度予算概算要求に盛り込みました。8機の取得費用は1249億円とのこと。この背景には航空優性確保を念頭としてあげており、また防衛省では電子防護能力の高さについても導入背景として説明しています。なお、インフレと物価高に加え輸入部品が円安で高騰し、1機あたり156億円となっています。

 F-35A戦闘機はロッキードマーティン社において設計と生産されていますが、我が国が導入する機体については三菱重工小牧南工場に設置された三菱FACO最終組み立て施設で製造されています。この点について、日本で最終組み立てした機体がロッキードマーティン社での完成機よりも割安になるとして、国内組み立てが継続されることとなりました。

 三菱重工での組み立てについては、2024年4月16日にアメリカのエマニュエル駐日大使が三菱重工小牧南工場を視察しており、この際に年間12機の組み立てを行うだけの三菱重工でのF-35A戦闘機が年間250機を量産するロッキードマーティン社よりも割安に戦闘機を完成させているとして、日本のコスト管理と納期厳守を絶賛する発言がありました。■

 航空自衛隊はF-35B戦闘機3機の調達を来年度予算概算要求に盛り込みました。F-35B戦闘機3機の取得費用は608億円となっています。自衛隊ではF-35Bを電子防護力に優れるとともに短距離離着陸と垂直着陸が可能であることから戦闘機運用の柔軟性が向上する装備であるとその有用性を強調しています。A型の単座とB型の複座、ではなく別物だ。

 F-35Bについては令和2年度予算に初めて6機の取得が793億円で盛り込まれ、令和3年度に2機が259億円、令和4年度4機510億円、令和5年度8機1435億円、そして今年度予算である令和6年度予算に7機が1282億円で盛り込まれ、来年度予算の3機が通ることで30機が揃うこととなりますが、年々インフレの影響を受けている。

 航空自衛隊ではF-35Bの垂直離着陸能力を駆使し、離島の応急飛行場や海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦からの運用を念頭に置いています。一方、海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦いずも型のF-35B運用対応改修を進めており、このなかで航空自衛隊は42機のF-35Bを導入しますが、どの程度海上自衛隊の統合運用に当てるかが、関心事です。■

 航空自衛隊はRC-2電波情報収集機の取得と電子作戦機の開発を推進します。現代の航空作戦はもちろん、戦域全般において電子的優位と電磁的優位は戦域優位に直結しており、このために航空自衛隊はC-2輸送機試作2号機を電波情報収集機に改修するとともに、新しく岐阜基地へ電子戦航空部隊を新編するべく電子作戦機の開発を実施してきました。

 RC-2電波情報収集機は現在4機が運用されているYS-11EB電子情報収集機の後継となる装備で、YS-11EBは中国南端付近までその行動半径に収めているものの航続距離の関係上限界線に近く、また原型機のYS-11が部品不足となっています。このため試作されたRC-2を先ず2020年に入間基地に配備し、続く機体が1機496億円で来年度予算に盛り込まれた。

 電子作戦機の開発についてはスタンドオフレンジ電子戦機として既存開発計画の継続となるもので来年度予算では414億円が要求されています。J/ALQ-5-ECM電子妨害装置や戦闘機搭載電子妨害装置、戦術データリンク妨害技術研究といった技術が活かされる。C-2輸送機は航続距離も搭載能力も非常に大きな余裕があり、将来発展性が確保されています。■

 航空自衛隊はKC-46A空中給油機を増勢します。来年度予算概算要求にはKC-46A空中給油輸送機4機が2068億円で要求された。KC-46Aはボーイング767型機を原型として開発されたもので、KC-767空中給油輸送機の姉妹のような関係の航空機です。既に平成29年度と平成30年度に各1機と令和2年度に4機が1052億円で要求、2機が既に配備済み。

 KC-46A空中給油輸送機はアメリカ空軍でもペガサス空中給油輸送機として配備がすすんでいますが、RVS遠隔給油視認装置という最新型の給油ブーム管制装置に不具合があり、給油中の複雑な動きに追随できず給油を受ける戦闘機の機体上部を引っ掻く不具合が指摘、アメリカでは長らくF-22やF-35などのステルス機に対する給油が制限されていました。

 航空自衛隊ではC-2輸送機についてその運用実績からC-1輸送機の後継機数について、当初計画よりも下方修正する方針を固めています、ただ当初予定になかった電子情報収集機や電子作戦機が埋め合わせのように生産される構図とはなっています。一方で、空中給油輸送につていは、年々その行動半径の増大から調達拡充がすすめられています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【京都幕間旅情】榛名さんの... | トップ | 台湾情勢-中国人民解放軍14日... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

先端軍事テクノロジー」カテゴリの最新記事