◆平成40年代を見据え次世代機開発
平成27年度防衛予算概算要求概要では技術研究開発の推進、技術開発ではなく研究も盛り込まれています。
将来戦闘機関連事業(412億円)、大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究(15億円)、このなかでも上記二つの事業は平成40年代を見据えての技術開発に向けた技術研究ではありますが、我が国周辺での空母脅威への大きな対処手段の構築となるでしょう。
将来戦闘機関連事業は具体的には“将来戦闘機に関し、国際共同開発の可能性も含め、戦闘機(F-2)の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるよう、国内において戦闘機関連技術の蓄積・高度化を図るための実証研究を実施”、として具体的にFS-Xを見据えたものが示されることとなりました。
大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究は、“空母等の大型艦艇の外壁を貫徹し、艦艇内部で起爆し、爆風効果で破壊する大型艦艇対処用弾頭及び島嶼上の地上目標等に対し広範囲に高い貫徹力を有する攻撃が可能な地上目標対処用弾頭の研究を実施”と空母脅威への対処を明示しています。
我が国周辺において我が国領土の軍事的侵攻を選択肢の視野に入れ、国際法を無視した強圧的外交政策と軍事行動を進める国が、航空母艦の取得と複数の航空母艦の建造、更には航空母艦を中心とした機動部隊の建設を進めていまして、その矛先が我が国に刺さる瞬間に対応策が必要となります。
その具体的施策として、将来戦闘機関連事業と大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究にかんする技術研究開発の推進が行われることとなり、即座の対応策とはなり得ませんが、恐らく現在のまま隣国の航空母艦による機動部隊が複数整備され脅威が顕在化する頃を見計らった研究が進められてゆきます。
平成40年代を見据え、という部分は平成27年度防衛予算概算要求概要には盛り込まれていませんが、現在のまま開発を推移させた場合、技術実証機開発などの蓄積された部分を元として研究が開発に転換し具体的装備品に反映されるにはその程度の時間を要する、というもの。
自衛隊最新戦闘機と言えばF-2,という誤解がありますが正しくはF-2は支援戦闘機でF-15戦闘機と明確に任務が区分されていまして、現在の航空自衛隊は対戦闘機戦闘と航空優勢確保を戦闘機の専管とし支援戦闘機部隊が近接航空支援及び航空阻止に加えて主軸の一つとして対艦攻撃任務を付与しています。
F-2支援戦闘機は従来の空対艦ミサイルと比較し射程が非常に長いASM-2や開発中の超音速ASM-3空対艦ミサイルにより高度な打撃力を有しており、特にF-2支援戦闘機は小型ながら同時4発の空対艦ミサイルを比較的大きな戦闘行動半径の下投射し本土防衛に必要な対艦打撃力を発揮できます。
現在のF-2支援戦闘機の水準であれば、ASM-2を一個飛行隊18機により72発の斉射が可能であるため、世界で最も強力である米空母機動部隊への打撃力を含めても十分と言え、超音速小型目標という非常に迎撃しにくいASM-3を搭載する将来を見渡しましても十分と言えますが、この優位性は永続的ではありません。
空母脅威へ如何に立ち向かうか、この為には脅威対象である空母に対し防空網を構成する空母艦載機の迎撃を回避するもしくは無力化しつつ接近し、確実な威力を有する弾頭の誘導弾を命中させることで脅威対象の航空母艦そのものの機能を停止させる方式がもとめられるということ。
即ち、接近するまで発見されにくいステルス機により最大限進出し、自衛戦闘能力により航空母艦が発揮する艦載機による攻撃能力を排除、可能な限り接近し空対艦ミサイルによる飽和攻撃を行う、これが次期支援戦闘機に求められる性能として筆頭に挙げられるものでしょう。
加えて空対艦ミサイルは目標に安易に迎撃されないミサイル本体のステルス性と超音速巡航性能を持つと共に一撃、つまり一発でも命中すればその機能を付随に陥れ、航行不能乃至艦載機の発着を不可能とする、艦内及び艦上の航空機を無力化できる性能が求められるわけです。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
些細なことですが、、、
>ASM-2を一個飛行隊18機により72発の斉射が可能であるため、世界で最も強力である米空母機動部隊への打撃力を含めても十分
とはもう、言えないと思います。
○ 空母機動部隊はイージス艦を最低4隻は持っています。亜音速のシースキマーASM2 72発の迎撃を考えてみます。
・空母航空団のAEWが何らかの理由で飛んでいないと仮定し、(高さ20mにあるSPY1レーダーではなく)高さ30mにあるXbandレーダーで、高度2mのASM2を距離25 kmで発見。完全同時着弾として、着弾まで78秒。イージス艦側の初弾発射まで10秒かかるとして、残り68秒。
・イージス艦の迎撃制限は、イルミネータの照射にかかる時間(例えば6秒(ちょっと自信なし)とするとイルミネータ3こ×4隻で一秒あたり2目標迎撃可能)、Mk41 VLSの発射制限(1 (or 2秒)に一発で2セット×4隻で一秒あたり4-8発ESSM発射可能) --> この想定ではイルミネータの制限が支配的で、1秒あたり2目標迎撃となる
・ESSMの飛翔速度(Mach2.5としてざっと850 m/s)、ASM2の飛翔速度(320 m/s)から考えて、着弾68秒前に発射されたESSMがASM2の一つめを迎撃するのは15秒後(=着弾53秒前)。以後、1秒あたり2目標を迎撃。
・72発を2発/sで撃破する(命中率100%を想定)のにかかる時間は36秒。
着弾5秒前(ざっと1kmくらい?)までESSMを射撃できるとすると、この想定では命中率75%でも、ESSMだけでASM2を72発全て撃ち落とせます。CIWSやRAM、ソフトキルを考えると、もっとでしょう。
○ 一方でASM3を考えてみると
ASM3の飛翔速度をMach3(=1000m/s)として、25kmで発見されてから着弾まで、25秒。初弾発射まで10秒かかったら、残り15秒。初弾のESSMがASM3に到達するのは、8秒後。射撃が着弾5秒前までとすると、各イルミネーターはぎりぎりで2回迎撃 --> 24発までESSM誘導可能。初弾発射までの時間を5秒にできても、同様の計算で初弾のESSM到達が10秒後。着弾まであと10秒なので、迎撃できる時間はたった5秒。現在のイルミネータ制限(6秒を仮定)では、やはり2回しかエンゲージできないので、誘導できるESSMは24発。
つまり、ASM3を"25"発打ち込めば、米軍の空母機動部隊の防衛戦を突破できる。もちろんイージス艦が4隻以上なく、AEW+SM-6ミサイルによる遠距離CEC攻撃もない前提ですが。
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という訳で、超音速シースキマー1発は亜音速シースキマーの3発以上の価値があること、亜音速シースキマーが今後活躍するには、ステルス性が大事なこと(被発見距離をせめて10kmくらいまで縮めないと撃ち落とされる)が分かります。
「ただし!!」、ここの議論では多くの仮定をおいています
1:「ESSMの誘導に、イルミネーターが5秒必要」という前提に立っている。ここが根拠に乏しいので、大きな制約があります。イージス艦はイルミネータ1こあたり3-4個のミサイルを運用できるとされていて、平均射程15kmにMach3程度でESSMが飛ぶときの所要時間が15秒なので、まあ、5秒くらいかなと思っている、というのが根拠です。
2:検知から初弾発射までの所要時間は、10秒もかからないかもしれません。
3:着弾5秒前までESSMを射撃できる、というのも、動画で見たESSMの発射シーンで海面近くまでミサイルが接近するのに要する時間が3-4秒なので言っているだけで根拠は弱いです。
が、イージス艦やミニイージス艦が4-5隻いるような艦隊に、亜音速のASMでは、確実に圧倒できるとは言いにくい時代になってきていることと、そうであっても、高速ミサイルの恐ろしさ=対処時間の圧倒的な短さは、非常に大きいこととは、はっきりしていると思います。
>>中国は日本を攻めたりしません。日中友好を第一にしています
中国の、いったい、どこが日中友好を第一にしてるんだ?
『革新的利益』の範囲をどんどん拡大させ、ガス田のみならず尖閣諸島まで革新的利益にし、防衛の為の防空識別圏を自分勝手に自国領空として扱い、自衛隊の船に攻撃レーダーを照射したり、航空機の衝突事故になりかねないほど危険な接近を図ったり、潜水したまま日本の領海に侵入したり、リムパックにおける災害演習に対し、日本が指揮をとると聞いただけで平然とボイコットする中国のいったいどこが日中友好を第一にしてるんだ?
市民の目が住むヒトモドキの世界じゃあ、中国のこれらの行動は友好的なものなのかもしれないが、人間様の世界じゃあ違うんだよ
ヒトモドキは人間様じゃないんだから、人間様の世界に介入するな!
現在すぐ開発できる中距離及び短距離弾道弾と巡航ミサイル等の敵基地攻撃兵器を直ちに開発しどんどん装備すべきですね。
韓国でさえ両方保有しているのだから遠慮は無用ですね。
ASM-3はレーダーを含む陸上目標攻撃能力を持たせて敵基地攻撃能力を少しでも上げてほしいですね。
柵、らしき人の据えた構築物を見ると鼻でガリガリしたくなる呆けた習性をみんなで嗤いましょうと実感(幾度目?)
cc 専ら読む側様、ぬるねこ様
>中国は日本を攻めたりしません。日中友好を第一にしています。
すばらしいご発言と思います。
私見ですが、現在日中友好を妨げているのは、尖閣諸島への中国の不当な領海侵犯が70%、安倍首相の不用意な靖国参拝20%(*)、中国潜水艦の不用意な宮古島領海侵入と不用意なFCSレーダー照射10%と思いますので、ぜひ、まず平和を愛する中国が、尖閣に対する不当な要求を撤回し、尖閣周辺の日本領海から撤退していただけると、ものすごく日中は平和になると思います。おそらく日本の右寄りの方々が困るくらい、日中は平和になってしまうのではないでしょうか。
(*)私は靖国問題に関しては、昭和天皇の戦後のお立場に共感する立場です。
なお、戦後60年の歴史が明確に示す通り、日本は中国を遥かにしのぐ平和国家です。
日本から中国を侵略する意図もなく(その辺の日本人100人と話してみてください)、能力もなく(膨大な陸軍と強力な空海軍をもつ中国に遠征して勝てるはずもない)、メリットに至っては皆無(貿易立国である日本にすれば戦争は下策も下策、あり得ない)ですので、ご安心ください。
中国にも、是非この「普通の日本人の考え」が広まるとよいなと思います。