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榛名防衛備防録:後継機はどうなる?C-130H輸送機運用開始40年!C-130J-30取得費用2.6億ドルの現状

2024-09-12 07:00:54 | 先端軍事テクノロジー
■自衛隊機後継問題
 来年度予算概算要求を見ますと輸入装備も国産装備もインフレと円安の要素が色濃く驚くほど人件費以外高騰しているのに驚く。

 C-130H輸送機の後継はどうなるのか。航空自衛隊にC-130H輸送機が配備されたのは1984年であり、今年はC-130H輸送機運用開始40周年となります。それは後継機を考えねばならない時期でもあり、また、C-130H後継機としてロッキードマーティンが開発したC-130J輸送機は歴史的円安とアメリカでの空前のインフレにより現状かなり割高となっています。

 F-35戦闘機を一例に見ますと、4月にアメリカのエマニエル大使が三菱重工小牧南工場のF35FACOを視察した際、年間250機を量産するロッキードマーティン社製F-35よりも年産12機の三菱重工の方がコストを抑えていると絶賛しましたが、それは最終組み立て工程だけでも、人件費や関連機材の費用、そこに円安が影響していると言わざるを得ません。

 オーストラリア空軍がC-130J-30輸送機を2022年に調達した際の調達費用が24機で63億ドルでしたので、C-130H輸送機をC-130J輸送機で置換えた場合、自衛隊の保有数は16機ですので42億ドル、本日の為替レートですと5950億円、1機あたりとしますと375億円、というところでしょう。ただ、2022年の調達費用、インフレの影響も考慮すべきで。

 円安が2025年以降にも続くと考えるべきなのか、1ドル110円程度まで円高に回復するのかは未知数ですが、1ドル70円の超円高を念頭に計算するのか、現状の為替相場で調達するのか、C-2輸送機の取得費用も高騰していますが、令和5年度に2機597億円で取得していますので、2023年の単純計算ではC-130J-30よりも安くなっている状況があります。

 C-2輸送機、高性能化と価格高騰によりC-130の後継は安価な機種を探すとして、生産計画を当初の25機から22機に削減するとの財務省と防衛省の過去の合意がありましたが、エアバスA-400MかエンブラエルKC-390がC-2輸送機と比較し、無論何機導入するかはありますが、機種が増える運用基盤整備費用を含めて抑えられるかという疑問も生じます。

 飛行隊定数を考えるとC-2とした場合は輸送機全体の数が削減されてしまいます。ただ、C-130J-30の費用が高い事も前述の通りで、それならば小型のC-27Jならば輸送力が減る分飛行隊定数を24機に増やせるかといわれると、それが通るならば22機しか生産しなかったC-2に加えてC-1と同じくらいの大きさの例えばUS-2飛行艇と部品を共通化させたC-3輸送機でも造った方がとさえ思う数で、難しい問題です。

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