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鎮魂1.17:兵庫県南部地震/阪神大震災発災29年-巨大地震,平時ではない非常時の概念とどう向き合うか

2024-01-17 07:00:38 | 防災・災害派遣
■1.17が遺した明日への教訓
 0547時でしたか部屋の鳩時計はもう少し進んでいたようにも思うのですが不思議と揺れる少し前に目が覚めたのを思い出します。

 本日で、あの兵庫県南部地震、阪神大震災発災から29年となりました。経験のない激しい揺れ、というものを経験する事となりましたが、神戸市と淡路島とに伸びる野島断層の直下型地震は震源が浅かったもののその直情には当時は想定外と云われたほどの激震により、建物倒壊と大規模火災により多くの犠牲者を出した、死者数は6000名を越えました。

 戦後日本災害史を顧みれば、あの阪神大震災以前の最大の災害と云えば伊勢湾台風であり、しかし伊勢湾台風を契機に防災インフラ整備が進められ、1973年の大規模地震対策特別措置法や建築基準法改正により、地震災害は最早克服できるのではないかという錯覚を、危機管理というものも突き付けるとともに根本から覆してしまったものが阪神大震災という。

 伊勢湾台風は、まだ太平洋戦争の記憶が新しい頃の災害ではありましたが、そうした戦時という記憶を深く封印してしまった遥か後、阪神大震災は、平時ではない状況がある、といういわば有事の概念を突き付けたのも、特色であったのかもしれません。実際問題、119番や110番が輻輳し通報不能となる様な状況は平時以外としか言えないのではないか。

 震災を鎮魂するだけで、浮かばれるというならばわたしもそうとどめるべきと思うのですが、2011年東日本大震災と、熊本地震に能登半島地震と震災は続き、そして南海トラフ巨大地震が想定され警戒されているうえで、そもそも平時の制度を維持できない状況における国の仕組み、憲法が想定しない緊急事態、というものの必要性と向き合うべきでは、と。

 阪神大震災は、トリアージという制度の必要性を突き付ける機会ではありましたが日本医師会を含め当初はトリアージを命の選別に繋がるとして否定的でした。わたしも否定的なのですが日本医師会は東日本大震災規模の地震でも医療体制が充分な水準への医療基盤を構築するようなことはせず、結局トリアージをせざるを得ない状況に結果的に陥りました。

 東日本大震災、そして次の国家危機というべき巨大災害を考えますと、先ず、阪神大震災において平時ではない状況が起きうるという簡単な事実を突き付けた、その為の平時以外の状況に対応する制度を構築する決断を躊躇することは、もしかするとあの震災で救えなかった人命の幾つかが残した教訓を、風化させているのではないか、危惧するのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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