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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

能登半島元日地震発災一ヶ月,死者240名往増え不明者15名と進まぬ復旧見えぬ復興着手と迫る次の課題

2024-02-01 20:24:14 | 防災・災害派遣
■能登半島元日地震
 巨大地震というものは突然やってくるものではあるのですが元日の親類が年始のあいさつに集まる丁度良い頃合いがまさか、と。

 元日1610時、能登半島を襲った元日地震の発生から本日で一ヶ月となりました。被害は能登半島北部の沿岸部隆起や輪島市街地の大規模火災など、普及の目処の絶たないものも多く、一ヶ月を経て停電だけは解消されつつあるものの、産業復興はもちろん、住宅被害だけで4万6294戸、避難生活のひと段落さえ目処が立たない状況となっています。中でも。

 能登半島北部の地震は死者240名、行方不明者15名、死者240名のうち15名は災害関連死とされています。元日の地震、能登半島の多くは年末年始の規制により人が置く、此処に激震という震度七の地震が襲いかかり、続いて大津波警報発令、救助活動もままならぬ中に高台避難を迫られ、その間隙を襲うように小さな火災は複数の大火災となりました。

 避難生活は、仮設住宅の完成が輪島市から朗報を届けていますが、能登半島北部は過疎化と共に高齢化が進んでおり、高齢者の住宅復興はどうすれば良いのか、という重い問題がのしかかっています。ここに福祉施設被災などで介護離職を強いられる状況、産業復興が地盤隆起などで目処さえ立たない地域では、被災地からの移住さえはじまているほどです。

 復興支援策として政府は、高齢者世帯として受託が半壊以上の被害を受けた世帯に最大300万円程度の支援金や、現役世代の人口流失を回避するための減税策、能登空港や港湾復興など21の重点インフラ復興を自治体に代わり国が行うなどの施策を提示しました。また今後建設の仮設住宅は一部が石川モデルという、長期使用を想定する民家型となるようです。

 遥かなる能登半島の地震災害、ここを望見しますと我が事のように考えてしまうのは、能登反応の復興や災害対処というものの検証と進展がみられなければ、次に必ず来るであろう南海トラフ地震、能登半島よりも遥かに大きな紀伊半島さえも激甚被害を及ぼす巨大地震に対して、災害対処は勿論、復興さえ遅滞する状況となるのではないかという懸念だ。

 南海トラフ地震を能登半島地震の問題と共に並べる事は飛躍だ、と思われるかもしれませんが、震災の元日から二週間しょうしょうの先には阪神淡路大震災慰霊の日が有り、わたしは直接の被災経験の無い場所に住んでいた訳ではなく隣町で負傷者が出た程度ではあるのですが、東灘区の火災報道をテレビで見た際と輪島の大火災が重なった事はいなめない。

 防災対策が万全だから大丈夫だ、こう反論があるのかもしれませんが、能登半島こそ2018年ごろから群発地震が続き、震度六強の地震さえ定期的に発生していましたので、あの能登半島が自信に油断していたとは思えない。確かに1997年に石川県が策定した阪神淡路大震災を受けての石川県地震想定と比較すると、当初の想定は過小であったようだけれども。

 東日本大震災からの復旧計画などの検証でも、例えば大規模地震が想定される地域では事前に仮設住宅などの避難地を選定する必要性などが既に3.11の数年後に指摘されていますが、必要性の提起などは検討されるものの実際の政策と成れば、巨大な費用と法整備などの問題から実現せず、不十分であった事をそのまま前例踏襲している構図はあるのではと。

 財政再建が求められている現状、特に増税等はこれ以上負担増に世論の支持が続かないという指摘には理解するものの、かつて無駄だと言われていた公共投資の多くが、平時の無駄は有事の余裕となっていたことは落ち着いて検証しますと理解できるものです。すると、行政改革が叫ばれ橋本行革から約30年、インフラ整備などを絞り過ぎてはいないのか。

 行政の無駄見直しは、例えば自衛隊を見ても建設工兵であった地区施設隊はすべて廃止され20年が経ており、ヘリコプターは東日本大震災の頃と比較しても大幅に減少、輸送艦は大きくなりましたが阪神大震災の頃と比較しほぼ三分の一、偵察機は即応できる戦術偵察機も無人機で対応できると全廃してしまいました、かつて震災には偵察機が即応していた。

 防衛力の変革と共に無駄として削られた装備や部隊は、やはり災害派遣能力に響いている、東日本大震災の時点でヘリコプターの規模は充分ではないと考えていましたが、それと比較して直作威厳されてしまっては、能登半島地震災害派遣あ勿論、次の南海トラフ地震では、どんな魔法でも考えているのかと不安はぬぐえません。防衛費がまだ、たりていない。

 防災と危機管理を考えますと、現在の国と自治体の関係は相互支援や調整を軸として災害対処に当っていますが、場合によっては憲法上の地方自治に関する条文を改正してでも、中枢の指揮系統、これは相互の能力把握や後方支援に情報収集まで含めた、体制構築も必要なのかもしれません。能登半島地震は今なお、復旧中、復興着手には至っていません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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