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東部方面隊平成27年度方面隊実動演習 参加人員4000名・車両700両で東富士演習場等にて展開中

2015-12-13 22:47:47 | 防衛・安全保障
■東部方面隊実動演習
 現在、陸上自衛隊東部方面隊は、平成27年度方面隊実動演習、として最大規模の演習を展開中です。

 東部方面隊は首都圏を中心に関東甲信越地方全域を防衛警備管区とする陸上自衛隊の方面隊で、首都圏の防衛と災害派遣という重責を担っています。平成27年度方面隊実動演習は東部方面隊第一回演習となり、平成27年12月6日より演習開始となり12月19日までの期間、実施中で本日は二週間の演習期間にあってその中間に当たります。

 東部方面総監森山尚直陸将を担当官とし、参加部隊は、東部方面総監部以下、第1師団と第12旅団及び第1施設団と東部方面混成団に東部方面航空隊と東部方面後方支援隊、方面直轄部隊として更に第2高射特科群と東部方面通信群、東部方面衛生隊等が参加し、東部方面隊管内の全戦略部隊である師団および旅団に主要部隊も全て参加している事となります。

 参加部隊規模は、人員約4000名、車両は約700両が参加しており、ここには155mm榴弾砲FH-70が12門、戦車も10式戦車8両と74式戦車8両を含むもので、航空機も5機が参加、CH-47JA輸送ヘリコプター1機とUH-1J多用途ヘリコプター4機が参加しています。訓練場所は東富士演習場及び群馬県相馬原演習場、そして朝霞訓練場及び自衛隊中央病院が充てられるとのこと。

 我が国首都圏は、冷戦期に日本海側から信越地方への着上陸が警戒されており、特に関東への侵入という可能性に加えて首都圏北方へ空中機動部隊を中心とした限定侵攻を加えることで我が国への善隣条約締結を迫るとの限定戦争などの可能性が考えられ、新潟県に2個連隊と関越地区へ師団主力を配置し、更に首都圏を防衛する師団、更に長官直轄部隊として機甲部隊を中心とした強力な教導部隊を富士地区へ展開させました。

 今回の演習は参加部隊規模が4000名規模となっており、これは第12旅団の総員よりも規模が少なくなっています、艦内には東富士演習場と北富士演習場といった大演習場が配置されているものの、テロなどの即応部隊や災害派遣などへの待機部隊を含めた場合、展開できる部隊が限られると共に演習場環境が比較的恵まれているとはいえ、隣接する中部方面隊区には大演習場が無く、演習場条件は結果的に限界がある点が反映されているのかもしれません。

 演習には東部方面隊の戦車部隊がほぼ大半が参加しています、二個中隊ではありますが、配備数の半数以上が参加しているのです。一方、方面隊直轄部隊にあたる方面航空隊が参加していますが対戦車ヘリコプター隊が参加部隊から外されている状況や、第12ヘリコプター隊が有力な航空部隊を有しているのですが参加航空機を見ますと大半が参加しておらず、攻撃訓練及び射撃訓練を実施するとのことですが、戦車の重要性を示す一方で航空機の位置づけはどうなっているのかが関心となります。

 我が国自衛隊は、現在年度末に予定されています水陸機動団創設にむけ改編準備中であり、加えて戦車配置の見直しという統合機動防衛力整備へと大きく転換しつつあります。一方、統合機動防衛力として重装備体系を北方重視に再配置するという施策は、必然的に戦略展開能力の大幅な向上を求められるものであり、今後はこの規模の訓練であっても転地演習と並行し重装備部隊との共同訓練を行わなければなりません。その上で方面隊実動演習という訓練態勢が今後どのような展開を示すかについて、興味深く見てゆく必要があるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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