北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

イタリア海軍空母カブール-日本に向け出航,オーストラリアなどと共同訓練経て八月下旬日本寄港

2024-06-02 07:01:44 | 防衛・安全保障
■空母カブール日本へ
 カブールの日本派遣は2023年にも計画されていましたが遂にこの2024年に実現する事となりました。

 イタリア海軍は空母カブールの極東派遣に向け出航しました。6月1日に出航したカブールはオーストラリア海軍など友好国との親善訓練を経て八月下旬に日本へ到着する見込みとの事です。イタリア軍との共同訓練は、2023年にF-35戦闘機などを小松基地まで派遣、この際に台風接近と重なりなかなか日本へ到着できなかった事が記憶に新しいもの。

 空母カブールはイタリア海軍が空母ジュゼッペガリバルディにつづいて建造した航空母艦で、建造当時の国内法から固定翼航空機搭載に制約を受けて設計されたジュゼッペガリバルディとは対照的に最初から固定翼航空機搭載を念頭に設計されたのが特色で、満載排水量は28000tとヘリコプター搭載護衛艦いずも満載排水量の27000tより若干大きい。

 カブールは固定翼艦載機としてハリアー攻撃機とF-35B戦闘機を搭載していまして、イタリア海軍はカブール艦載機としてF-35B戦闘機15機を導入しています。海上自衛隊は航空自衛隊が間もなく導入を開始するF-35B戦闘機の艦上運用を開始する計画であり、いずも型と同程度の大きさでもある事から共同訓練は意義あるものとなるでしょう。

 日本とイタリアの防衛協力強化について。遠い欧州と日本との防衛協力は一見儀礼的なものでしかないようにおもえるかもしれませんが、欧州は現在、中国の不透明な防衛力強化と欧州地域に密接に関係するアフリカ地域への影響度を増している事への警戒感があり、欧州に直接影響が及ぶ前にインド太平洋情勢へ関与するべきという動きがあります。

 イギリス海軍が空母クイーンエリザベスを日本へ派遣した2021年の長期航海は記憶に当ら誌ですが、イギリス政府は2025年にも再度今度は空母プリンスオブウェールズを派遣すると発表し、また日本への哨戒艦派遣を恒常化していますし、イタリア海軍は昨年既に哨戒艦を派遣しています。またドイツ海軍は2022年に続き再度フリゲイトを派遣するという。

 イタリアと日本の防衛協力はこの他、日本とイギリスが進めている次世代戦闘機開発へイタリアが参加を発表しており、この三カ国は広大な日本列島や地中海を超えたアフリカ地域での航空作戦を想定するイタリアと北大西洋の防空を想定するイギリスという航続距離の大きな航空機を必要とする点で一致していて、この点でも防衛協力が強化されています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【G3X撮影速報】中部方面混成... | トップ | 【京都発幕間旅情】榛名さん... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (成層圏)
2024-06-02 17:47:11
カブールの来日、楽しみですね。
いずも、かがとのF35Bクロスデッキ訓練が実現すれば、良い抑止力になるでしょう。
ところで、カブールの早期警戒ヘリコプターはアグスタ-ベル212ASWを使っているのでしょうか?コクピット上のレーダー配置は微妙な位置ですが、性能はどうなのですか?詳しい方教えて下さい。
イギリスはQE級用にクロウズネストを開発しましたが、性能の差はどの程度違うのか気になります。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

防衛・安全保障」カテゴリの最新記事