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北朝鮮核弾頭増強-ストックホルム国際平和研究所報告,米韓飽和核攻撃の懸念-新兵器"火山31核弾頭"量産強化

2024-06-20 07:00:34 | 国際・政治
■ストックホルム国際平和研
 わが国に隣接する朝鮮半島において厳しい状況が進んでいると懸念すべき研究報告がありました。

 北朝鮮軍が核物質を増段している可能性が高い、ストックホルム国際平和研究所が6月17日に発表した研究報告によれば、北朝鮮は金正恩総書記の命令により核兵器用核分裂物質の増産に務めている模様で、ウラン濃縮施設の拡大などに関連する動きが確認されているという。こうした中で今年1月の時点で核兵器90発分の核物質を備蓄した、と。

 金正恩総書記の核兵器用核物質増段は2022年12月の朝鮮労働党重要会議において示されたもので、これは対外的な抑止などを含む宣言では無く実際の核戦力増大を行う実務命令であったもよう。IAEAのグロッシ事務局長は3日のIAEA定例理事会にて平壌近郊のカンソン核関連施設の拡張工事が今年2月下旬から進められていると報告しています。
■カンソン核関連施設
 核関連施設について。

 北朝鮮のカンソン核関連施設には複数の遠心分離機が置かれているという。元々この施設は2019年のヴェトナム首都ハノイにおける第二回米朝首脳会談において北朝鮮が寧辺核施設廃棄の見返りにアメリカの経済制裁終了を強く求めたところ、アメリカ側にこの施設の存在を指摘され、経済制裁解除に関する交渉が決裂したことで知られています。

 寧辺核施設についても現在操業中であり、これまでに兵器用プルトニウム生産に当たっていた5000kw級黒鉛減速炉に加えて新しく軽水炉が建設されており、この軽水炉の試運転が開始された可能性が衛星写真などの分析から指摘されています。カンソン核関連施設はその規模から、寧辺核施設に二倍程度の核分裂物質濃縮が可能だと考えられています。
■火山31核弾頭
 北朝鮮は核兵器を抑止力としてではなく有事の際の第一撃として大量使用する可能性があります。

 火山31核弾頭、ストックホルム国際平和研究所によれば北朝鮮が現在増産を図っているのは戦術核兵器用の火山31核弾頭の可能性が高いとのことで、これは2023年3月に核分裂物質生産拡大が北朝鮮により発表された際に存在が発表された核弾頭です。懸念されるのは、現在北朝鮮は650mm口径の大型ロケット砲などを強化し実験を繰り返す。

 超大型ロケット砲は射程が大きく誘導装置を搭載しているものと考えられますが、運用は戦略軍のほかに陸軍が運用しているもの、これに火山31核弾頭が搭載された場合は、朝鮮戦争停戦破綻と同時に北朝鮮が南進を開始する際、米韓ミサイル防衛を飽和状態として突破すべく二桁以上の数の戦術核兵器が一斉に使用される可能性を示唆しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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