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【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【14】ひゅうが艦載機の発進(2009.10.23)

2020-06-21 20:04:17 | 海上自衛隊 催事
■ミサイル艇&LCAC高速航行
 自衛隊観艦式は様々な艦艇が精密時計のように緻密にしかし入り乱れ観艦式の訓練展示は次々と太平洋上に繰り広げられてゆきます。

 おやしお型、そうりゅう型、そしてその改良型で将来は潜水艦おうりゅう型と区分されるでしょうリチウムイオン電池潜水艦、続く3000t型潜水艦が建造されますが、国産で設計し運用研究し部隊を編成できる、この防衛力はもっと活用すべきなのかもしれませんね。

 くらま。第一世代ヘリコプター搭載護衛艦、と個人的に誇称している護衛艦はるな建造から続きます四隻のヘリコプター巡洋艦型の護衛艦集大成です。はるな満載排水量が6800t、くらま満載排水量が7200t、位置づけとしては戦時中の5500t型軽巡洋艦にちかいもの。

 ヘリコプター搭載護衛艦の世代交代、そしてこの頃日本でも世代交代と云いますか政権交代が行われていまして、自衛隊観艦式2009は鳩山内閣が始りました2009年9月16日から後の観艦式です。鳩山内閣はこの二か月後、護衛艦いずも、22DDHの予算を成立させる。

 ひゅうが。第一世代型ヘリコプター搭載護衛艦がヘリコプター巡洋艦型の船体を採用していたのに対して、ひゅうが型護衛艦から始まりました新しい潮流は全通飛行甲板型護衛艦、と呼称しています。文字通り全通飛行甲板を採用し、多種多様な航空機を運用可能だ。

 はるな。海上自衛隊最初のヘリコプター搭載護衛艦は1973年に竣工し、海上防衛の第一線にありましたが、この観艦式が挙行されました2009年に除籍、代えて竣工したのがこの護衛艦ひゅうが、なのですね。海上自衛隊が導入しました初の全通飛行甲板型護衛艦です。

 海上自衛隊潜水艦は国産潜水艦初代おやしお以来連綿と建造技術が受け継がれ、そして先行する初の供与潜水艦くろしお以来日米の戦術研究と共に戦術が磨かれています。当時は、くろしお組、おやしお組、と派閥が在ったとも聞きますが、現在は日本潜水艦一家へ、と。

 ヘリコプター搭載護衛艦、はるな、は1973年竣工ながら、艦載機をHSS-2とHSS-2AにHSS-2B,SH-60Jと最後はSH-60Kに世代交代させることで除籍の直前まで第一線での運用に耐える性能を維持しました。ヘリコプター搭載護衛艦の強みはここにありましょう。

 全通飛行甲板型護衛艦はその筆頭ですが、航空機を運用する艦艇は近代化改修などをせずとも艦載機を新型に置き換えるだけで性能を一新できるのですね。世界にはモジュール艦という、作戦モジュールを置き換えることで多用途に対応する艦艇はあるのですが。

 F-35Bを搭載することで水上打撃戦にも対応できる護衛艦だ。モジュール艦、一時期特にデンマークなどが各国に提案し、ドイツも輸出用に提案した水上戦闘艦で、ブロックコンテナ状のモジュールを置き換える事で、対水上戦闘や対空、掃海から哨戒まで対応する。

 しかし、モジュール艦が普及しなかった最大の理由は、モジュールを積み替えるにも時間を要しますし、補完しておくだけでも莫大な費用を要し、操作要員も共通化が難しいという事で殆ど普及しませんでしたが、航空機であれば積み替えは造船所に入る必要もない。

 SH-60Kを搭載することで対潜と対水上、MCH-101を搭載することで掃海と水陸機動に輸送、AH-64DやCH-47を搭載することで水陸機動や戦力投射、まもなく導入されるMQ-8で哨戒と掃海、F-35Bでイージス艦支援とミサイル防衛支援に空対空戦闘、対応できます。

 海上自衛隊独自の方式としての水上戦闘システム、海洋防衛作戦体系、全通飛行甲板型護衛艦はこうした将来性を有している。ひゅうが、ほかこの2009年は、ひえい、しらね、くらま現役でまだ世代交代は始まったばかり、いまは、いせ、いずも、かが、が運用中だ。

 潜水艦の展示を完了した後、艦隊は次の展示に向けて再度陣形を整えます。実のところ観艦式が執り行われます相模湾は決して広くはなく、そして東京湾の湾口という世界有数の海上交通量を誇る海域にて展開されています、小田原沖から江ノ島沖にかけての海域にて。

 自衛隊観艦式では、富士山が望見でき雄大な景色とともに艦隊が航行する様子から国民が海上防衛の現状を知ることが出来るのですが、小田原おきから江ノ島沖という、電車ですと微妙に近く感じる海域を航行して実施されています。航空機も羽田管制空域に近い。

 はやぶさ型ミサイル艇の機動展示か開始されます。はやぶさ型は日本海沿岸の防備へ地方隊の警備隊用に6隻が建造された高速戦闘艇で、もともとは30隻程度が配備される計画でしたが、防衛計画見直しにより6隻で建造終了、このほか一号型が3隻建造されています。

 くまたか、おおたか。ともにミサイル艇はやぶさ型です、満載排水量240tと非常に小型で、しかし明治時代に日本海軍が最初に導入しました駆逐艦雷が375tですので、その昔の駆逐艦というものはこの水準をもう少し大きくした水準だったのだな、と思ったりしましたね。

 イージス艦の艦影がIRフレアーの濛々としたカーテンの奥から姿を現します。さてイージスといえば先日のイージスアショア建設中止により、イージス艦増強か別の場所にイージスアショア設置かで揺れています。イージス艦増強ならば、艦名がどうなるか、愉しみだ。

 ミサイル艇の任務は艦対艦ミサイルでの水上戦闘艦攻撃ですが、レーダーが最小限度であるため、搭載するSSM-1対艦ミサイルの最大射程、その先の目標を捕捉する手段がありません。このため、陸上の防空砲兵陣地や移動レーダー施設と協力して任務に当たります。

 海上自衛隊は陸上自衛隊のFH-70榴弾砲、03式中距離地対空誘導弾や88式地対艦誘導弾システムと共同し、そして海軍プレゼンス公使の手段として島嶼部の防衛に、要するに平時に領域へ接近させない威嚇手段としてミサイル艇を考えるべきだったのかもしれません。

 イージス艦あしがら。外洋作戦を基本とする海上自衛隊にとって、沿岸作戦用のミサイル艇よりも重要度が高いのは、外洋艦艇です。専守防衛の我が国ではありますが、シーレーンは世界とを結び必要な工業製品や原料、燃料と食糧を自給出来ない我が国に必須です。

 あしがら。海上自衛隊は2020年現在、イージス艦まや竣工とともに護衛艦まや型二番艦はぐろ建造を進めていまして、これによりイージス艦8隻体制が漸く完成、護衛艦隊を構成する四個護衛隊群に各2隻のイージス艦を配備させる、平成初期の構想が漸く完成します。

 LCACと護衛艦あしがら。ミサイル艇の高速航行展示とともに、海上自衛隊の韋駄天といえばもうひとつ、LCACがあります。沖合96kmの母艦から主力戦車などを40ノットで沿岸に展開させる、アメリカ海軍の運用構想に基づき開発されたものが、このLCACだ。

 LCAC,海上自衛隊では虎の子装備であり車両は一両づつ、あまり目一杯搭載しないのですが、アメリカ海軍ではLAV-25軽装甲車とM-1114ハンヴィーを目一杯搭載して活用しています、96式装輪装甲車3両と軽装甲機動車3両を、同時に搭載して輸送する事が可能です。

 あぶくま。あぶくま型護衛艦です。将来的にDE沿岸護衛艦は全廃され、FFMという新しい3900t型護衛艦がその後継となります。FFMの満載排水量は5000t規模となり、あぶくま型護衛艦が2900tですので倍近い大型護衛艦となります。自衛隊の変貌は続くのです。

 LCAC流し撮り。高速航行を展開しますと、どうしても流し撮りを決めたくなってしまいますね。シャッター速度を1/25とか1/15秒とかの低速としまして、連写性能を発揮して撮影します。このころはEOS-40DやEOS-50Dを活用していた時代、まだ手元にありますが。

 LCAC高速航行。LCACは一隻90億円という、90式戦車一個中隊分の費用を要します、実際、おおすみ型輸送艦の建造費が350億円程度ですが、搭載するLCACだけで180億円という計算になるのですね。しかし遙か沖合から高速で上陸する性能、現在は必須という。

 こんごう、LCAC落ち着いて撮影。カメラと自分の技術を信じたいところですが、流し撮り失敗に備えて落ち着いた構図での撮影も一応行いました。こうした状況は次々に展示が進みますので気が抜けません。だからこそ掲載も延ばし延ばしになったの、かもしれない。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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