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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成27年度防衛予算概算要求概要⑱・・・自衛隊の特殊武器防護能力拡充Ⅰ

2014-10-18 01:54:20 | 防衛・安全保障

◆拡大する特殊武器防護能力 
 来年度予算概算要求では自衛隊の特殊武器への対処能力が強化されることが盛り込まれるようです。
Gimg_1418  特殊武器とは、NBC,核兵器と放射性物質、化学兵器、生物兵器、で放射性物質は核汚染物質などを爆薬などで散布し人員施設を被ばくさせ殺傷損壊するダーティーボム、化学剤は攻撃用のサリンなどの神経ガスや防御時の遅滞行動として地域汚染に用いるイペリットのような糜爛剤、生物兵器は炭疽菌など。
Saimg_4750  所謂大量破壊兵器であり、一端使用された際には規模にもよりますが多くの人命を奇異に陥れるほか、戦術核兵器よりも汚染が長期案続く場合があります。化学剤や生物剤は簡単な個人防護装備によりかなりの部分の被害を抑制できますが、一般市民にはそうした手段が無いため、これらが大量破壊兵器と呼ばれるのです。
Simg_3931  NBC兵器による攻撃への対処としまして、NBC偵察車の取得へ1両7億円が。新除染セットの取得として8両5億円が。核・生物・化学(NBC)攻撃等における大量の人員や装備品の汚染等に迅速に対処して被害の拡散や2次被害等を最小限にとどめるため、各種の除染能力を強化等の施策が要求されました。
Simg_1034  これにより自衛隊の特殊武器に対する対処能力は従来の自衛隊の行動のためのものに限定されその能力を以て各種事態へ対応してったものが国民全体の防護へ、大きく拡充を求められることとなり、新装備の取得などの予算要求は対処能力として新任務の要求へ対応するための各種装備の充実強化、と言い得るかもしれません。
Img_6436  従来の自衛隊の特殊武器への任務としまして、具体的には検知と除染に区分され、除染において人員等除染と地域除染、即ち自衛隊員への特殊武器攻撃が加えられた場合や自衛隊装備の中で消耗品扱いではない耐腐食性を有する装備への除染、という能力が整備され、各師団や旅団と中央即応集団に部隊が置かれています。
Img_73_66  中央即応集団の中央特殊武器防護隊や対特殊武器衛生隊、師団と旅団で大都市を担当する部隊には特殊武器防護隊、他の師団や旅団には化学防護隊が置かれ、自衛隊が行動を展開する上で必要な任務としての地域除染が求められ能力が整備された形で、災害派遣などに際してはその能力を以ての民生支援という行動をとったかたち。
Img_8095  人員等除染能力に従来の人員除染と装備品除染へ加わる形で、精密機材除染、歩行不能者除染、排水処理が新たに付与されるほか、地域など除染に地域除染に加えて新たに施設内除染が追加されることとなります。これにより特殊武器攻撃を受けた際における汚染地域での救助活動などの能力が向上することとなるでしょう。
Img_9146  精密機材除染、これは従来の装備などの除染に含まれるものでは無いのかとの指摘もあるやもしれませんが、従来までは自衛隊は部隊等に対し特殊武器攻撃を受けた際には速やかに個人防護措置を採ると共に車両乃至徒歩にて退避し地域除染を待って前進する、というものが前提でした。よって汚染地域での行動は短期間という想定なのです。
Ndbimg_2865  一般に、特殊武器攻撃の中で核攻撃に対しては地域退避か掩砲所などへの退避以外打つ手は無く、熱線や衝撃に近距離で対処することは不可能ですが、化学剤や生物剤によるものは攻撃を素早く検知する現在の自衛隊の装備態勢を見る限り、マスクと防護服が充分配備されているため脱着時の除染を行う現在の方式にてかなりの部分防護が可能です。
Ndbimg_4066  即ち、自衛隊への化学剤や生物剤攻撃は部隊の能力を喪失させることを企図して実施されるものであり、仮に殉職者が発生した場合場合でも可能な範囲内で収容に全力を尽くし、無理に収容するために被害を拡大させるよりは退避し、部隊の能力を維持したうえで化学剤投下を行った敵勢力の企図する次の行動を部隊の能力により撃破無力化せねばならない、ということ。
Ndbimg_9381  しかし、一般国民を標的として市街地などへの化学弾頭搭載弾道弾や航空攻撃による化学弾投下、更にゲリラコマンドーによる化学剤散布などの状況ではまず一般市民という防護手段を持たない人員の中で歩行不能者を除染を待って回収するのではなく、救命を前提とした搬送を行わなければなりません。
Nimg_4890  これは汚染地域での行動が長期化することを意味するため、退避による短期間の場合は車両除染等を従来通り念入りに化学剤については中和剤を、生物剤へは消毒剤を吹き付け無力化し対応することが出来たのですが、長期間の行動を汚染地域で、救命救出を展開する場合にはこの限りではなく、精密機材除染能力が求められることとなったかたちです。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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