北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】寶塔寺,日像さんはここから京都を見守る-戦火の歴史も今の現状も,いま思い馳せるウクライナ

2022-08-24 20:01:01 | 写真
■ウクライナ戦争開戦半年
 平和とは難しいものですが寺院巡りを出来て写真を世界に公開する日常を過ごせる今は確かに平和だ。

 宝塔寺。拝観に探訪しまして御本尊に手を合せ拝みつつその本堂の少し涼しさを感じる木造の御堂から、宝塔寺多宝塔を眺めます。宝塔寺多宝塔は応仁の乱からも天文法華の乱からも、幸いにして戦災を免れた文化財でもあるのだ。そして御山は幾度も危機はあった。

 日蓮宗の寺院で在ります宝塔寺、拝観は山門が開いている限り迎え入れてくれるという気風に好感を持てまして、しかし暑い日のなかでも輻射熱が熱い程でしたので、少し御本堂の軒下に腰を落ち着かせてもらいますと木々からの風が迎えてくれるようなここちよさ。

 日像さんはここから旅立ったのだと小高い御寺から少し考える。妙顕寺で入寂しました日像さんはここから旅立ったというのですが、妙顕寺は本法寺はじめ洛中のもうひとつの寺町は中心部にあります御寺ですから、考えてみれば遠い場所、しかし北大路からはちかい。

 七口という、この当たりは京都に至る七つの街道口、その一つの鳥羽街道に面した立地に廟所を置く事で末永く京都を見守りたい、日像さんはそんな思いを巡らせていたのでしょうか。他方、街道口は緊要地形、緊要地形は戦場となります、そして此処は高台にある。

 伏見区深草宝塔寺山町、この宝塔寺が鎮座していますこの一帯は、幕末の鳥羽伏見の戦い、その戦場からそれ程はなれていない立地に、あるのですね。そして京都は太平洋戦争にて大規模な空襲は受けませんでしたが、原爆による核攻撃の候補地でもあった事実がある。

 応仁の乱と天文法華の乱、この二つの戦乱では宝塔寺は攻撃目標となっていまして、多宝塔が生き残りましたのは僥倖というものがありました、こういうのも宝塔寺の伽藍は多寶塔を除き焼失したという歴史があり、故に唯一残った多宝塔には意味があるのですけれど。

 多宝塔。考えていますとこの写真を北大路機関に公開しました8月24日は、あのロシア軍によるウクライナ侵攻が始まった半年目の節目でもあるという一日であり、戦災というもの、現代日本で実感を持てなくなっている概念について、考えてしまう一日でもあります。

 戦争、この概念は“戦後”という概念が定着した昭和二十年八月十五日、ここから何も考えないようにしてきた理念でもあるように思えまして、要するにこれを話し始めると価値観の違いから面倒な事になる、そんな視点で放置してきたように思えてならないのですね。

 ウクライナでは文化財が破壊され続けている、報道を見れば分かる範囲内でも復興を考えれば当事者でなくとも文化財に関心があるならば頭痛が迫ってくるような規模で続いています、平和は大切なのだけれども平和を維持する方法論を考えていないようにも思える。

 ロシア化。難しいのは戦争をしない事が平和への道という戦後日本の理解は、当初はこちらから他国へ攻め込まないという理解であった筈が、攻撃されても応戦しないという理解の様に拡大解釈されているよう、すると制度も文化も守る事を放棄するのか、となります。

 戦争反対と唱えるだけで逮捕されるのが今の隣国、ロシアの現状でして、すると民主主義や憲法上の権利と法の下の平等なんていう概念さえも奪われかねない状況でも、防衛というものを忌避する事は、果たして平和なのか、現状の視座では何とも言えないものがある。

 平和だからこそ今の日常がある、しかし空気が有るから生きている一方で空気が何故できているかを理解する必要が無いように無関心でいれば今ある平和を享受することは可能ですが、国際報道をただ見るだけでも、その維持の現実的手段を見る必要も、感じてしまうのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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