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台湾へ艦艇部品1億2000万ドル分売却-バイデン政権が決定,中国軍機30機が台湾防空識別圏へ侵入

2022-06-10 07:00:32 | 国際・政治
■臨時情報-台湾海峡情勢
 台湾海峡を中心とした台湾周辺の緊張は日本にとり東南アジアと日本本土を結ぶ不可分のシーレーンにおける緊張です。

 台湾に対し艦艇部品など1億2000万ドル相当を売却、アメリカのバイデン政権が8日に決定しました。トランプ政権時代にはF-16V戦闘機やハープーン地対艦ミサイル型にHIMARS高機動ロケットシステムとATACMS陸軍戦術ミサイル等を台湾へ供与決定しましたが、バイデン政権も政権交代後、台湾への武器有償供与の決定は三回目となりました。

 艦艇部品についての細部は不明ですが、台湾海軍の主力水上戦闘艦はアメリカ製かアメリカ設計で、スプルーアンス級駆逐艦にターターシステムを搭載したキッド級ミサイル駆逐艦、中古とライセンス生産されたOHペリー級ミサイルフリゲイト、そして貸与から購入に切り替えたノックス級フリゲイト、他にフランス製ラファイエット級の台湾仕様など。

 キッド級とOHペリー級はターターシステム搭載艦であり、ノックス級については旧型の蒸気タービン推進方式となっており、維持部品や延命部品などの調達が必要となっています。一方で台湾海軍はコルベット等の国産化を進めている最中でもあり、航法装置や艦艇用エンジンなども輸入の必要が、これらを含めて艦艇部品1億2000万ドルなのでしょう。

 台湾海峡は緊張下にあります、5月30日には一日で30機もの中国軍機が台湾防空識別圏へ進入した、これは5月31日に台湾国防部が発表したものです。中国軍機の防空識別圏侵入が続く我が国でも五月一ヶ月間で緊急発進の対象となった中国機は91回であり、台湾のこの状況は三日間で一ヶ月分となります計算で、一日としては過去二番目に多いとのこと。

 台湾では空軍が相次ぐ緊急発進により空軍戦闘機の稼働が異常な状況となっており、特異な状況を除いて緊急発進を中断した事例もありました。この際には台湾では地対空ミサイル部隊を警戒強化し、必要ならば火器管制装置をもちいて射撃体制を執るという、一歩間違えれば却って緊張が増大するような施策以外選択肢が無い状況に追い込まれた構図です。

 アメリカ政府は台湾への防衛装備をバイデン政権時代に入っても、トランプ政権時代の施策を維持しています。今後は、現在台湾はMQ-9無人機の非武装型にあたるガーディアン無人機供与が決定していますが、更に戦闘空中哨戒を視野に空対空ミサイルを搭載可能であるMQ-9無人機の導入などについても、導入交渉が進められる可能性も考えられます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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