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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】ECRS-Mk2レーダー地上試験,B-21レイダー戦略爆撃機インフレ影響とフランスラファール戦闘機42機追加調達

2024-03-25 20:22:04 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連ですがやはり無理してでも昨年ラファールを撮影しておととしユーロファイターを撮りに行っておけばと思う話題が満載だ。

 フランス航空宇宙軍はミラージュ2000D戦闘機用タリオスポッドの試験を成功させました。タリオス、TALIOSとは標準型長距離識別電子光学システムの略称でタレス社製、2022年の契約では21基で1億ユーロという、比較的高価なシステムであるという点です。フランス国防省はタリオスポッドについて現段階で67基を発注しているとのこと。

 タリオスポッドは現在使用しているダモクレスポッドの後継装備で高解像度の電子光学センサーと赤外線センサーを統合化し昼夜問わず目標識別や目標捕捉と追尾を行うもの、データリンク能力を持ち映像を司令部などへ自動送信することも可能という。既に30基がラファールに搭載されていますが、ミラージュへの搭載は今回が初との事でした。
■防衛フォーラム
時間はかかりましたが漸くF-2と同じAESA方式の時代へ。

 イギリス空軍のユーロファイタータイフーン用ECRS-Mk2レーダー試作機が完成したとのこと。ECRSとはヨーロピアンコモンレーダーシステムの略称で、先進的なAESA方式の戦闘機用レーダーとしてイタリア企業のイギリス法人たるレオナルドUK社が中心となり開発し、BAEシステムズ社がユーロファイターへのシステム統合化を進めています。

 ECRS-Mk2レーダー試作機は既に地上試験がランカシャー州ワートンにあるBAEシステムズ社の地上試験施設において評価試験を完了し、今後はイギリス空軍の評価試験機ユーロファイターBS-116号機に搭載される計画で、イギリスのウォートンに置かれているタイフーン戦闘機最終組み立て工場において搭載作業が開始されているという。

 ユーロファイター戦闘機にECRS-Mk2レーダーを搭載するのは、脅威圏外からの目標標定能力を高めるとともに、この新型レーダーそのものが電子妨害能力を有している点が特色で、脅威大将の射程圏外から一方的に強力な電子妨害を加えることも想定しているという。BAE社はこのレーダー開発と生産により1300名の雇用が維持される事も協調しています。
■防衛フォーラム
 地味に射程が伸びているのが羨ましい。

 ドイツ空軍は改良型ブライムストーンミサイルを調達します。ブライムストーンミサイルはMBDA社製、元々、トーネード攻撃機搭載用に開発された射程20㎞の対戦車ミサイルですが、改良型はユーロファイタータイフーン戦闘機搭載用に射程60㎞まで延伸しておりドイツ空軍はこの改良型の調達により対艦戦闘能力の強化も想定しているとのこと。

 ブライムストーンミサイルの特筆すべき点は撃ちっ放し式ミサイルであるとともに同時多数の目標にミリ波レーダーにより生活に誘導、弾道は6.2kgとミサイルとしては小型の部類に含まれますが、複合装甲や爆発反応装甲を車体上部から押しつぶす方式のタンデム弾頭方式を採用しています。今回のドイツ空軍調達数は274発、2024年内に納入されます。
■防衛フォーラム
 数年分を一気に調達という。

 ドイツ空軍はラインメタル社にハイスペクトルIRフレアー47万発を発注しました。Birdieシリーズという既に実用化されているラインメタル社の製品が調達されるとの事で、IR-Birdie-118-BSとIR-Birdie-218-BSという二種類のIRフレアーが発注されました。なおこのBirdie とはBispectral Infrared Decoy Enhanced Efficiencyの略称を示すもの。

 IR-Birdie-118-BSとIR-Birdie-218-BSは共に射出されつと航空機の排熱を模した赤外線放出を行い空対空ミサイルに囮効果を示し、戦闘機と輸送機にヘリコプターなどの赤外線放出特性の相違に想定して型式が分けられています。47万発の調達について、契約期間は2023年12月から2029年12月までとされており、契約金額は5000万ユーロ弱です。
■防衛フォーラム
 スカンクワークスの新作だ。F-16とF-35で有名なロッキードマーティンですが先進的な航空研究では全米でも最も進んでいるといえる。

 アメリカのロッキードマーティン社は新たに開発されたX-59実験機を公開しました。X-59は超音速機につきものであったソニックブームを緩和する技術実証が目的とされています。ソニックブーム、衝撃波は中高度以下では平時には家屋や工場のガラスを破損させる問題を引き起こしますが、同時に音響ステルス性という面でも問題があります。

 X-59の発表はカリフォルニア州パームデールにおいて実施され、この機体の開発はこれまでも様々な先進的航空機を開発してきました実績を持つロッキードマーティンスカンクワークスとともに、NASAアメリカ航空宇宙局も開発に参加しており、数十年単位でのソニックブーム低減研究の一環、軍用機とともに商用超音速旅客機開発に寄与します。
■防衛フォーラム
 F-2もこんな感じで維持生産していれば戦闘機製造基盤を失う事も無かったのですけれどもねえ。

 フランス空軍は新たにラファール戦闘機42機を追加調達します。ダッソーアビエーション社によればフランス空軍が2023年12月にラファール戦闘機の追加発注を行ったとのことで、この契約によりダッソーアビエーション社は2023年から2033年まで、既存の受注分もあわせ、ラファール戦闘機に生産継続が可能になったとしています。

 ラファール戦闘機は現在量産されている最新型がラファールF4.1となっていますが、今回の受注は改良型のトランシェ5、ラファールF5になるとされ、ダッソーアビエーション社のエリックトラピエ社長の発言を借りれば、フランス空軍が2030年代においても優位を確保することに繋がるとしています。なお、ラファールは第4.5世代機という。

 ダッソーアビエーション社とともにラファールの生産には400の企業がラファールプログラムに参加していて、今回の決定は今後10年間、少なくとも製造が延長される事を意味していて、特にラファールはこの数年間、輸出市場においても堅調な受注を確保しており、フランスの次世代戦闘機開発まで戦闘機産業を維持させる点でも重要な調達です。
■防衛フォーラム
日本の練習機も今後どうなるかというところですが。

 中華民国台湾はAIDC航空宇宙産業開発総公司のT-34C練習機後継機機開発をさらに前進させます。台湾空軍は現在初等練習機と中等練習機初度練習機としてアメリカのビーチクラフト社製T-34Cターボメンター初等練習機を運用していますが、導入から40年が迫る中、T-34C練習機は相応に老朽化し後継機の船艇が必要となってきました。

 AIDC航空宇宙産業開発総公司は、単発機としてこの後継機を開発中、このたび設計がほぼ完了し第一段階を完了させたと発表しました。計画では新型練習機は2028年までに試作機を完成させ2031年には量産を開始するといい、計画には214億台湾ドルが投じられ45機を量産する計画です。台湾での航空産業は決して大きな規模ではありません。

 T-34Cターボメンター初等練習機後継機について、214億台湾ドルは米貨換算では6億9030万ドルとなっていますが、同時にこれらの機体を独自開発せず輸入した場合の費用は186億台湾ドルと国産開発よりも抑えられるとしていますが、40年間運用した場合の維持費は国産機が520億台湾ドルで、輸入飢餓520億台湾ドル、総合的に判断されました。
■防衛フォーラム
 やはりミサイルというのは最低でもこの程度の射程が必要という事で周辺国に配慮しても配慮が通じなかった本邦と見比べてしまう。

 フランス政府はウクライナへスカルプEGミサイル40発を供与します。これは1月16日にフランスのマクロン大統領が自ら発表したもので、スカルプEGに加えて相当数の爆弾を供与するとしています。スカルプ、SCALPとはイギリスやドイツが既に供与しているストームシャドウミサイルのフランス名称で、輸出仕様の射程は250㎞というもの。

 ウクライナへの装備供与は、欧米の支援疲れという揶揄が通っていますが、最大の支援国であったアメリカが2023年12月を最後に議会共和党の反対によりウクライナ支援が停滞しているという状況が響いています。ただ、欧州は供与できる装備の備蓄が払底しつつある状況が支援の停滞となっている状況で、スカルプEGの供与は支援の熱意を示す。

 スカルプEGは空中発射長距離巡航ミサイルで、発射後は高度20m程度を1000km/hと亜音速で飛行、GPS誘導と赤外線画像誘導や慣性航法誘導などを併用するもので、ストームシャドウの場合は2023年、同一カ所に短時間で連続命中させること方法を用いクリミア半島のロシア黒海艦隊司令部地下司令部を破壊する事にも成功しています。
■防衛フォーラム
 大型機の目視点検を無人機で行わせようというこころみ。

 アメリカ空軍はニアアースオートノミー社によるC-5輸送機の無人機整備試験を実施中です。無人機整備試験とは、大型航空機の運用において整備員の負担となる機体各所の目視検査をドローンにより代行するというもので、同社は2023年にもハワイのヒッカム基地においてC-17輸送機の目視検査をドローンにより行う試験を実施しました。

 ドローンは格納庫内に整備対象となる航空機とともに運用され、高解像度カメラを搭載したものが機体形状プログラムに則り必要な区画を順番に撮影、撮影した画像は自動損傷検出ソフトを通じて機体に異常が無いかを検証するとのこと。この利点は目視では個人の判断に頼るものの、画像情報の場合は再検証可能で遠隔地からも検証可能という。

 C-5輸送機の無人機整備試験が行われたのはデラウェア州のドーバー空軍基地で、C-5輸送機はC-17輸送機をも遥かに上回る大型の戦略輸送機、その分機体は胴体から主翼までも巨大であり、目視による検査は大量の人員を必要としていました。この試験が良好な成果を示した場合、アメリカ空軍の省力化と即応性の向上が期待されています。
■防衛フォーラム
 これは空対空用途にも使えるという事で関心のある航空機なのですけれども価格高騰がさっそく顕著化しているもよう。

 アメリカ空軍が導入するB-21爆撃機が16億ドルものインフレの影響を受けている、これはノースロップグラマン社が2023年最終四半期に発表したB-21レイダー計画に関する決算会見において、マクロ経済の混乱と生産コスト上昇が生じ、初期生産段階に移行する際に生産分だけで1億4300万ドル、全体で16億ドルが必要となったという。

 B-21レイダー戦略爆撃機は2020年代半ばより量産を開始し少なくとも100機程度を導入するとしています、もともとはB-2戦略爆撃機の後継機でありB-1戦略爆撃機の後継機を担うとされていたものの、ステルス性の高さから大量の空対空ミサイルを運用し制空権を担う、F-22戦闘機の任務の一部を代替するなど空軍では最優先の開発計画です。

 16億ドルの追加費用が必要になったものの、この決算会見においてノースロップ社のキャシーウォーデンCEOはB-21プログラムそのものは順調に推移しており2022年の初公開以来、飛行準備試験段階を経て実戦配備に向け遅延は無いとしています。しかし一方で現在のままでは生産開始により損失が発生する懸念を投資家に示しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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