北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

開戦二年!ロシアウクライナ戦争ロシア軍侵攻開始から二年,停滞する前線とウクライナ軍弾薬不足下の攻防

2024-02-24 07:01:08 | 国際・政治
■ロシアウクライナ戦争
 ウクライナの次はロシアが向かうのは日本ではなく欧州なのかもしれませんが更にその次は日本が含まれる可能性が高くなります。

 本日2月24日はロシアウクライナ戦争開戦記念日です。開戦から二年、最初の一年はロシア軍がウクライナを北方から首都キエフを、東方から東部最大の都市ハリコフを、東南からドンバス地域を、南方からヘルソンを、文字通り全方向から侵攻し、しかし攻撃軸を分散しすぎた事で主攻を定める事が出来ず、各個撃破されることとなりました。

 ハリコフを狙った第1親衛戦車軍がキエフ攻略の停滞を受けハリコフからウクライナを東西横断する形で増援に向うも消耗し壊滅に追い込まれ、一時キエフ近郊まで迫ったロシア軍は停滞の最中にブチャなどでの住民虐殺を行い、しかし徹底した反撃によりロシア軍はキエフとベラルーシ間の全域から撤退、ヘルソンとハリコフからも反撃により撤退します。

 2022年のロシアウクライナ戦争は機動戦に対する歩兵主体の遅滞戦闘を基点に、機械化部隊と無人機による反撃が加わり、いわば機動戦には機動戦での対応となり、戦線はめまぐるしく移動しました。一方、ロシア軍はドンバス地方東部とマリウポリを中心としたアゾフ海沿岸地方、そしてクリミア半島北部の占領地を固守したまま、2023年を迎えました。

 ウクライナは、単純な携帯火器や軽装甲車両などではなく、反撃には長距離砲兵火力と第三世代戦車になにより現用戦闘機が必要であると各国に支援を要請します。最初に供与されたものはHIMARS高機動ロケットシステムとGMLRS精密誘導ロケット弾、そしてイギリスのチャレンジャー2を皮切りにレオパルト2を欧州各国が供与に踏み切りました。

 アメリカから大量のブラッドレイ装甲戦闘車も加わり、更にF-16戦闘機の訓練開始という目処が立った後、2023年にはウクライナ軍は夏季反撃を開始します。ただ、F-16戦闘機は機種転換に想像以上の時間がかかるとして夏季反撃には間に合わず、ロシア軍は占領地を2022年冬季から2023年春季に掛け、高密度で長大な地雷原や陣地帯を構築し要塞化する。

 NATOのドクトリンはエアランドバトル、津波のような機甲部隊の攻撃を受けた場合でも機械化部隊が前進を遅滞若しくは撃破する最中を航空部隊により敵策源地を叩くという基本ドクトリンを構築しており、1980年代から地雷など防御線突破の高へ能力不足が指摘され、突破ではなく包囲か迂回が原則、全戦線の要塞化を地上部隊だけでは突破できません。

 2023年夏季反撃の停滞は、緒戦から地雷原を突破できず、また防御陣地構築を様々な事情から監視継続が出来なかった事で迂回経路なども発見できず、供与戦車のかなりの数を喪失し、肝心の航空機等が全く足りず三カ月間で南部の限られた地域で7kmを前進できたのみ、事実上失敗と云わざるを得なかった、南部メリトポリ奪還などは叶わなかった構図だ。

 2024年、戦線は膠着しています。いや、緩慢な動きがあるのは、2023年末を最後にアメリカのウクライナ軍事支援が停滞しており、ロシア軍の前進を許します。これは冷戦後に重戦力を削減し続けた欧州にはアメリカ以上の軍事支援などは先ず軍需産業を再編せねば不可能であるために、非常に緩慢ではありますが人的損耗を無視して着実に前進はしている。

 クピャンスクとスヴァトフクとクレミンナを結ぶ線、2023年初頭の激戦地バフムトの北西部、先々週に遂に陥落したアウディイフカ近郊、ザポリージャ州のドニエプル川東岸地域などで、一日数十m単位ではあるものの十日で数百m規模という着実な速度で前進している。ロシア軍戦死者は19万、ウクライナ軍戦死者は7万を出しながら、二年目を迎えました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金門島情勢緊迫化,台湾海峡有... | トップ | 【京都幕間旅情】榛名さんの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際・政治」カテゴリの最新記事