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ウクライナ情勢-ウクライナ軍ロシアクルスク州逆攻撃,ロシア軍はウクライナ侵攻部隊から大量兵力を抽出

2024-08-13 07:00:13 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 自衛隊は機械化部隊をもっと重視すべきと何度も提示しているのですけれども、限られた戦力でも可能となる能力の幅を考えますと改めて再確認したしだいです。

 ウクライナ軍機械化部隊のクルスク州での逆攻撃について、ISWアメリカ戦争研究所が8月10日に発表したウクライナ戦況報告によれば、最大25kmロシア領内へ前進しており、しかし無計画な前進では無く、ウクライナ本土から道路沿いに進出を継続しています。これに対してロシア政府は今回の攻撃をテロ事件と位置づけ、対応する方針を示しました。

 ロシア政府は9日、クルスク州、ベルゴロド州、ブリャンスク州に対して対テロ作戦の発動を発表し、ウクライナ本土侵攻部隊から部隊を抽出しクルスク州へ派遣しています。ウクライナのテレグラフチャンネルによれば、ロシア軍は、ヘルソン侵攻部隊から海軍第810海軍歩兵旅団と空挺軍2個大隊を抽出したと報じています。部隊抽出はこの他にも。

 ウクライナ侵攻部隊、ザポリージャ州侵攻部隊より第38自動車化狙撃兵旅団、第64自動車化狙撃旅団、最大の激戦地となっているドンバスからは数個歩兵大隊、クピャンスク攻撃中の第488自動車化狙撃連隊、ハリコフ侵攻部隊からは第138自動車化狙撃旅団、第79自動車化狙撃連隊、第272自動車化狙撃連隊、第1009自動車化狙撃連隊、を抽出した。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 陽動が目的なのか別の意図がるのかについて現時点では分析以上の視座を求めるにはまだ時期尚早というところか。

 ウクライナ軍部隊のクルスクでの攻撃は一気に25kmを進撃しているとISWは報告していますが、逆に同様のウクライナ戦況報告を継続しているイギリス国防省はいまのところこの新戦線に言及が有りません。そしてウクライナのゼレンスキー大統領はクルスク州逆攻撃を公式に認めた声明を発表しましたが、その攻撃の意図についてはまだ未知数だ。

 25kmの前進、この背景にはロシア軍はウクライナ軍からの逆攻撃を全く警戒していなかったという、戦争行為の最中には理解が難しい兵力配置があるようですが、国境警備の予備戦力枯渇と、地雷原や防御陣地などの障害が不在である事、更にウクライナ軍は今回、詳細は不明ですが戦車を含む機械化部隊を投入し、機動力を最大限発揮できています。

 逆攻撃の目的に、ウクライナ東部戦線へのロシア軍攻撃圧力を分散させるという事ならば、ISWの10日報告を見る限り、ロシア軍はかなりの戦力を抽出しており目的は達せられたといえます。ただ、なんとしましてもウクライナ軍の情報管理が徹底されており、情報の多くがロシア側の確認が難しい情報と衛星情報だけ、全容が見えるのはまだ、さきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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