北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新しい88艦隊を考える二〇二四【3】八月八日は88艦隊の日,4個護衛隊群8個護衛隊体制を最大限いかす

2024-08-13 20:22:53 | 北大路機関特別企画
■第五世代戦闘機F-35B
 88艦隊という案は、1974年の苦境という他ない経済状況下で認められた4個護衛隊群編成の最小限度の数の護衛隊である8個という数字を活かした作戦能力の分散と集約の最適解と信じます。

 F-35B戦闘機、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦の飛行甲板では運用が難しかったのかもしれませんが、30ノットで航行する護衛艦ひゅうが型飛行甲板であれば発着が可能で、いずも型護衛艦では既に運用改修が進められています。F/A-18E/F戦闘攻撃機やラファール戦闘機であればこの大きさの艦では運用は不可能であったのかもしれませんが。

 F-35B,垂直離着陸さえ可能な第五世代戦闘機であり、もちろん戦闘機として制空戦闘には大きな威力を発揮できることは言うまでもなく、ステルス性を活用して脅威度の高い空域へ進出し、また機体そのものが各種センサーを駆使し戦闘の趨勢さえ左右する情報優位の中枢を担える、第4.5世代戦闘機を圧倒し得るというのが第五世代戦闘機です。

 日米同盟により、このかなり思い切った施策で開発されたJSF統合打撃戦闘機としてのF-35Bを、必要に応じて増強できるという点は重要で、それは巨大な航空母艦を建造せずとも第五世代戦闘機を導入できるというところは重要です。これだけでも人的資源などでは、限られた現状でもかなり有用に運用できたのではないかと思えるのです。

 こんごう型護衛艦後継がそろそろ具現化する時代、むらさめ型護衛艦の後継についても計画が確定された平成初期の脅威度と現状の脅威は根本から異なり、相応の能力がもとめられるようになります。もがみ型護衛艦についても拡大改良型が計画され、区分もFFMからFFG,ミサイルフリゲイトとしての区分に強化される時代となりました。

 ミサイル護衛艦8隻体制、というよりは純粋に防空中枢艦、と改めて、今後想定される艦隊戦闘への脅威に対応できる艦が必要となります。故にヘリコプター搭載護衛艦8隻とミサイル護衛艦8隻、と表現するのではなく、全通飛行甲板型護衛艦8隻と広域防空中枢艦8隻、と表現を切り替えなければならないのかもしれません。

 全通飛行甲板型護衛艦の増強が必要と考える背景には、現在大陸に整備されている地対艦ミサイルや対艦弾道弾の規模、飽和攻撃の脅威を直視するならば、一隻の中枢艦に対して十分な護衛をつけたとしても、かならず一カ所に集中するならば想定以上の飽和攻撃が行われるであろう、という顕在化している脅威の直視というもの。

 飽和攻撃を回避するには、分散運用するほかありません。戦力は集中するべき、という原則論で反論する方がいるようですが、それは原則論の背景をうわつらしか読んでいない証拠で、戦力の集中とは敵対勢力に対する打撃力の集中であり、言い換えれば分散することは相手の集中を阻止すること、分散した先からこちらの攻撃を集中する。

 F-35B戦闘機など、航空機は母艦が分散していた場合でも相手の正面でF-35Bそのものを集中できると言いますか、これこそが航空機運用の意義です。それだけの数のF-35Bを導入する計画はない、と反論もあるでしょうが、なにも日本のF-35Bだけしか搭載できないわけではありません、どの国もF-35Bでも搭載できるのが、母艦です。

 8隻の全通飛行甲板型護衛艦、F-35B自動着艦誘導システムの整備費用は決して安いものではありませんが、いったん整備してしまえば、護衛艦という文字のポテンシャルが大幅に増大することを意味します。そしてなにより、全通飛行甲板型護衛艦を護衛隊群すべての護衛隊に配備するということは、すべての護衛隊が任務対応能力を高め。

 センサーノード機能力としてF-35Bを前進したセンサープラットフォームとして用いて、F-35BのAPG-81レーダーをそのまま護衛艦に搭載するスタンダードSM-6ミサイルのセンサーとして誘導する研究がありますし、この延長線上にペトリオットミサイルとイージス艦やF-35Bを連接させる実験もすでに進められているのですから意義は大きい。

 F-35B戦闘機と、もう一つアメリカではMQ-9無人機の艦上型を計画しており、このMQ-9にはAEWポッドを搭載して早期警戒機としての運用能力付与の研究も行われています。陸上の基地に縛られず、艦艇として任意の位置からこれらの装備を展開できるならば、防衛力の自由度というものはかなり高まることを意味するのですから。

 2020年代、既にロシアが国際公序の原則を破り、また核兵器国以外に核兵器を拡散させない事を条件に例外的に核保有を妥協する核軍備管理枠組みがロシアにより崩れつつある、台湾海峡の緊張は高いまま推移し朝鮮半島情勢では核による先制攻撃の蓋然性から核抑止への要望が高まり続けている現代、88艦隊は地域安定化へ、有用な選択肢です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-山科駅前,真夏の昼間は冷酒と鮨と小ぶりな冷やしきつね蕎麦

2024-08-13 18:22:21 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 鮨と表現すべきか寿司とするべきなのか。定説は知らないのですが鮨と表現すると酒の肴にみえて寿司と表現すると食事に見えてきます。

 東宝映画の喜劇駅前シリーズというものが、ひところ衛星放送で放映されていましたけれども、駅前というのは、それも味気ない高架路線や地下鉄駅前ではなく昔ながらの駅前通りというのは、歩いていても愉しいものです、そしてそんな時はよりみちもしたくなる。

 東海道本線山科駅、京都駅の一つお隣ではあるのですが湖西線と分岐する駅でもあり、そして京阪電鉄の京津線が乗り入れ、地下には地下鉄東西線も乗入れている。全部山科駅と京阪山科駅と名前が並ぶとともに、幾つか古刹や神社もあり、そして無印良品さえある。

 生酒を一献、ここは初美さんという山科駅前にあります御寿司屋さん、一合びんに湛えられた清酒は、しかし冷え冷えした冷蔵庫から出された瞬間にもう早々と水滴が薄化粧してゆき、今日がどれだけ熱いのかという事と今日がどれだけ湿気で息苦しいのかを示して。

 グラスに注ぐ清酒の清冽な透明感は、辛口という銘柄であるものの冷涼感と麹が醸す甘みから、辛口なんて言われても猛暑の夏にはなんともありがたい干天の慈雨のようで、ひとくち口に含み、転がすように味わってから呑みこみ、そしてグラスを眺めることふたたび。

 鮨、昼飯時のランチということで行儀よく並んでいまして、主役のお寿司は奥の方に隠れつつ前衛のような、冷気が伝わりそうなきつね蕎麦、いや、子ぎつね蕎麦さんと、そして小ぶりではあるのだけれども存在案或る天麩羅も添えられていまして、さあ、どれから。

 マグロとハマチとエビにサーモンという、定番の、けれども安心の、すしネタが彩りを放っていて、巻物だけはキュウリが苦手だけれどシソに代えてもらい、摘まむ最初の一貫を愛でるように品定めして、主役のマグロをどう時機見定めるか考えつつ、さて、さてさて。

 きつね蕎麦といいますか子椀に添えられたのは冷たい子きつね蕎麦、そうだ、そうなんだよな山科の山の向こうには伏見稲荷大社があったんだなとかどうでもいい事を思い出しつつ、熱い汁ものを灼熱の日に出すのではなく冷たい蕎麦を添えた大将の見立てに感謝する。

 天麩羅は、小エビだけれども海老天が双子のように載せられ、そうこの歯応えと一瞬遅れて風味の広がりが、大きさに関わらず粋というものを感じさせる天麩羅の嬉しさ。このランチタイム、やっぱり冷や酒が一番似合うものだよねえ、と。どれも美味しかったもの。

 初美さん、満足感とともに暖簾を潜って外に出ますと現実を突き付けるような熱気が吹きこむと共に夏空が広がっていました、が、湿度は冷房が効いた店内を出てもカメラレンズを曇らせる程ではなく、ここから京阪山科駅がちかく見える様に、季節の暦は、もう彼岸も近い。

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ウクライナ情勢-ウクライナ軍ロシアクルスク州逆攻撃,ロシア軍はウクライナ侵攻部隊から大量兵力を抽出

2024-08-13 07:00:13 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 自衛隊は機械化部隊をもっと重視すべきと何度も提示しているのですけれども、限られた戦力でも可能となる能力の幅を考えますと改めて再確認したしだいです。

 ウクライナ軍機械化部隊のクルスク州での逆攻撃について、ISWアメリカ戦争研究所が8月10日に発表したウクライナ戦況報告によれば、最大25kmロシア領内へ前進しており、しかし無計画な前進では無く、ウクライナ本土から道路沿いに進出を継続しています。これに対してロシア政府は今回の攻撃をテロ事件と位置づけ、対応する方針を示しました。

 ロシア政府は9日、クルスク州、ベルゴロド州、ブリャンスク州に対して対テロ作戦の発動を発表し、ウクライナ本土侵攻部隊から部隊を抽出しクルスク州へ派遣しています。ウクライナのテレグラフチャンネルによれば、ロシア軍は、ヘルソン侵攻部隊から海軍第810海軍歩兵旅団と空挺軍2個大隊を抽出したと報じています。部隊抽出はこの他にも。

 ウクライナ侵攻部隊、ザポリージャ州侵攻部隊より第38自動車化狙撃兵旅団、第64自動車化狙撃旅団、最大の激戦地となっているドンバスからは数個歩兵大隊、クピャンスク攻撃中の第488自動車化狙撃連隊、ハリコフ侵攻部隊からは第138自動車化狙撃旅団、第79自動車化狙撃連隊、第272自動車化狙撃連隊、第1009自動車化狙撃連隊、を抽出した。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 陽動が目的なのか別の意図がるのかについて現時点では分析以上の視座を求めるにはまだ時期尚早というところか。

 ウクライナ軍部隊のクルスクでの攻撃は一気に25kmを進撃しているとISWは報告していますが、逆に同様のウクライナ戦況報告を継続しているイギリス国防省はいまのところこの新戦線に言及が有りません。そしてウクライナのゼレンスキー大統領はクルスク州逆攻撃を公式に認めた声明を発表しましたが、その攻撃の意図についてはまだ未知数だ。

 25kmの前進、この背景にはロシア軍はウクライナ軍からの逆攻撃を全く警戒していなかったという、戦争行為の最中には理解が難しい兵力配置があるようですが、国境警備の予備戦力枯渇と、地雷原や防御陣地などの障害が不在である事、更にウクライナ軍は今回、詳細は不明ですが戦車を含む機械化部隊を投入し、機動力を最大限発揮できています。

 逆攻撃の目的に、ウクライナ東部戦線へのロシア軍攻撃圧力を分散させるという事ならば、ISWの10日報告を見る限り、ロシア軍はかなりの戦力を抽出しており目的は達せられたといえます。ただ、なんとしましてもウクライナ軍の情報管理が徹底されており、情報の多くがロシア側の確認が難しい情報と衛星情報だけ、全容が見えるのはまだ、さきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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