■戦争に!国連安保理機能不随
ロシア軍はウクライナへ侵攻を開始した。ロシアは第二次大戦後には北海道の留萌と釧路よりも北側をソビエトに併合する主張を行っており余所事ではない。
国連安全保障理事会は緊急会合を招集しました、国連本部のあるニューヨークはアメリカ東部時間では深夜であり、異例の招集です。ただ、国連安保理は機能不随に陥っています、安保理決議は強制力を有し国際合意や条約に上位する強行規範と国際司法裁判所は定義しますが、安保理常任理事国としてロシアは安保理決議において拒否権を行使できます。
国連の任務は“国際の平和と安全の維持”ですが、拒否権を行使できる常任理事国は、国際の平和と安全を害する状況を想定していません。いや、明確には過去にもありました、それはスエズ危機、イギリスとフランス軍がイスラエル軍と呼号しエジプトのスエズ運河に侵攻、エジプトを支援するソ連が英仏両軍を食い止める為に核攻撃を示唆した際のこと。
スエズ危機では、国連のハマーショルド事務総長が機能不随となった安保理での調停を断念し、国連安保理が派遣する国連軍に代わり、第一次国連緊急軍を総会決議で派遣決定、核戦争による第三次世界大戦を阻止しました。これをESS緊急総会“平和の為の結集決議”といいます、今のグテーレス事務総長に、こうした責務を果たしてほしいと切に願います。
■ロシア軍のハイテク戦争
ロシア軍の軍事行動は、ウクライナ政府が組織的戦闘を行えていない状況で指揮系統麻痺に成功したと云えます。
対中防衛に重点を置く日本ですが北方脅威を再認識すべきだ。ロシア軍によるウクライナ侵攻、過去の軍事行動と比較して非常に洗練されている印象です。もっとも、アメリカの軍事行動は“新月の深夜”に暗視装置を駆使して開始されますが、ロシア軍は“夜明けまでに巡航ミサイル攻撃を行い黎明と共に地上戦”という、シリア内戦介入において確立した方式を採ります。情報の混乱は指揮中枢破壊成功を意味する。
カリブル巡航ミサイル。シリア内戦で使用され中距離核戦力全廃条約の関係上400km程度と考えられたものが自際には2400kmと意外に射程が長い事が確認されたロシア製巡航ミサイルですが、ロシア軍は射程の長い巡航ミサイルを多数そろえ、また2008年の南オセチア戦争では無人機の不足が課題となっていましたが、あれから14年、数が揃ったもよう。
ロシア軍の戦闘基本単位はBCT大隊戦闘群で、これは自動車化歩兵大隊か戦車大隊を中心とした冷戦時代の自動車化狙撃連隊を小型化させた一種の混成戦闘群です、国境周辺に集まったBCTは100個前後、現在、ロシア国防省はウクライナ軍からの組織的な抵抗を受けていないとしていますが、陸空と無人機を合せた作戦により組織的抵抗を封じた構図だ。
■防空システムを制圧
非常に厳しい論点ですが日本の北海道防衛にも参考とすべき厳しい状況です。
北海道で将来の惨禍と成らぬよう。防空システムの制圧、ロシア軍の攻撃はウクライナ全土の空軍基地や地対空ミサイル部隊への攻撃から開始され、ロシア国防省は公式発表で"防空システムを制圧した"と表現しています。ウクライナ空軍にはソ連より継承したMiG-29戦闘機やSu-27戦闘機がともに30機程度装備されていますが、近代化改修は低調で元々稼働率も低く制空戦闘が行えません。
ウクライナのレズニコフ国防相は"東部の部隊や軍司令部と飛行場がロシアから激しい砲撃を受けている"と発言したことがロイターにより報道されており、"砲撃"、即ち地上軍部隊の侵攻へ準備射撃が開始されていることをしめしています。このほか、ゼレンスキー大統領はウクライナ全土へミサイル攻撃も行われていると発言している。状況は悪化している。
ゼレンスキー大統領はウクライナ全土に戒厳令を発令し国民に冷静を呼びかけました。全土へ非常事態宣言を公布してから僅か五時間、ロシア軍の侵攻が開始され、より厳しい戒厳令により、道路渋滞を防ぎ軍事輸送を第一とする態勢を執る。なおウクライナ軍による抗戦など情報は確認されていませんが、ウクライナ側に死者が出ていると発表があります。
■ウクライナ三方面から攻撃
ウクライナ東部への限定侵攻という認識ですが攻撃そのものはウクライナ全土に及んでいます、ただNATO加盟国ルーマニア国境付近には攻撃は及んでいません。
三方向から攻撃が開始された、ウクライナ国境警備隊の発表をロイター通信が報道でしています。ウクライナ国境警備隊の発表では、ロシア本土、ベラルーシ、そしてクリミアから攻撃が行われているとのこと。ロシアのインタファックス通信によればロシア軍は黒海から海軍歩兵部隊による上陸作戦を開始とも情報がありますが、ロシアの発表で確認中だ。
ルガンスクとドネツク、ウクライナ東部二州へ限定侵攻が行われると考えられていますが、ミサイル攻撃は南部にも及んでおり、これが単なるロシア軍によるウクライナ軍の空軍力無力化だけであるのか、続いてハリコフやキエフといった主要都市やオデッサなどの港湾都市制圧への準備攻撃であるのかは現時点で確認できません。情報は錯そうしています。
ウクライナ占領を目指すものではない、プーチン大統領はテレビ演説にこう述べていますが、ウクライナ東部は既にウクライナ領土と見なしていません、プーチン大統領にとってのロシアウクライナ国境線がどこにあるのかが不明確であり、侵攻側の攻撃軸に沿って攻勢限界線まで際限なくロシア軍の前進が続くことが、現在の懸念事項といえるでしょう。
■プーチン大統領,攻撃を正当化
日本はロシアのこうしたこじつけの主張を記憶に刻む必要がある。
侵攻を正当化する理由として、プーチン大統領は"ウクライナ東部でのロシア系住民虐殺"が計画的に行われているとし、"ロシア語をはなすことができる住民に対する過去何年間もの圧政”があるとしたうえで、"更なるウクライナ政府による住民抑圧の証拠を掴んだ"としています。その上で"すべての責任はウクライナ政府にある"とし"侵略ではない"としている。
虐殺の有無については、あり得ません。なぜならばOSCE全欧安全保障協力機構の停戦監視団がロシア軍はもちろん、ウクライナ軍を含めて東部地域、ウクライナ東部紛争の停戦合意地域を監視しており、軽火器はもちろん、刃物や鈍器による事件をも対象としていますが、OSCEの監視では確認されていません。OSCEの中立性は、ロシアから見ても高い。
OSCEは元々ソ連が提唱して開催されたCSCE全欧安全保障協力会議が東西冷戦後に常設機構として拡大されたものであり、欧州の策謀というものではなく、ソ連提唱の組織がヨーロッパ全体、ロシアはもちろん中立国も含め、参加している組織です、その組織が虐殺はないと結論を出し、当該地域でウクライナからの停戦合意違反もないとしているのです。
■首都への陸上侵攻は未だ無い
重要な情報です。
ウクライナ情勢について、しかし現時点で“陸上侵攻が行われているのは東部地域”であり、“ロシア軍の首都キエフへの直接侵攻は日本時間1930時時点では確認されていない”という状況は理解しておく必要があります。東部地域への限定侵攻と首都キエフ侵攻とでは、ウクライナ国家の存続か、限定侵攻となるか、この二点で大きく異なるのですから。
首都キエフ周辺の空港では既にミサイル攻撃が行われていますが、ウクライナ空軍の作戦能力を麻痺させる、若しくは指揮命令系統を麻痺させる事が目的であり、ミサイルや空爆では地域を占領する事は出来ません、もっとも、キエフはベラルーシウクライナ国境から直線距離で90kmという距離であり、機械化部隊が越境を開始した場合は数時間の距離だ。
ウクライナ軍が東部地域のロシア軍に対して身動きが取れない背景には、首都キエフから兵力を移動させた場合は、手薄となったキエフがベラルーシ国境より南下したロシア軍により短時間で制圧される懸念があるのです。ロシア軍侵攻開始から既に八時間を経ましたが、現在ウクライナ軍指揮官やウクライナ政府にとり、厳しい状況と云わざるを得ません。
■日本政府の対応
邦人保護や日本大使館に関しての情報です。
我が国の対応について。欧州とアメリカが実施した経済制裁に呼号し日本も限定的なロシアへの経済制裁の発動を発表しましたが、これよりも先ず邦人保護やキエフの日本大使館などの問題に即座の対応がせまらえています。先ず在留邦人について、現在のところ外務省は法人への被害を確認していません、只全員の無事を確認もしていない但し書きが付く。
邦人安全確保については、チャーター機運行の目処を点けていると岸田総理大臣は発言しました、ただ、ロシア軍巡航ミサイル攻撃によりウクライナの空港設備が多数被害を受けており、ロシア政府に対しウクライナの非武装平和都市と無防備宣言により安全が確認された空港やロシア軍からの安全が保障された航空路線があるのか、この確証はありません。
キエフの日本大使館について。キエフの日本大使館は最小限の人員を残して縮小維持されていました、大使館は外交関係に関するウィーン条約に守られていますが、旧ユーゴスラビア紛争へのNATO介入では誤爆被害などの事例もあります。この為、日本大使館に残る最後の要員は日本大使公邸へ避難しているとのこと。邦人保護も大きな課題といえます。
■アメリカ,SWIFT除名決断せず
バイデン大統領の決断が二転三転し日本の鳩山内閣時代を見るようでアメリカは優柔不断と云う印象をぬぐえません。
アメリカ始め各国の対応について。アメリカは当初SWIFT国際銀行間通信協会からの除名によりロシアと世界の銀行取引を不能とさせる厳しい措置を示唆していましたがロシア政府系銀行一部の取引を禁止し、ロシア国債の取引を禁止した程度であり、史上かつてない規模の経済制裁を示唆したSWIFT除名への手続きは採っていません、アメリカに迷いが。
バイデン大統領は、アメリカ世論にウクライナ危機への不関与を求める声があり、世論調査で53%が関与を望まない声がある、また経済制裁を行えばインフレの更なる加速が懸念されるため、躊躇している構図が在ります。民主主義の牽引者というアメリカの地位も、もはや落日の印象がぬぐえず、また本土からのNATOへの重戦力増派も行われていません。
ドイツ政府はショルツ首相が覚悟を決め、ロシアからの天然ガスパイプライン“ノルドストリーム2”建設手続き凍結を決断しました。ドイツはロシア産天然ガス依存度が45%となっていますが、国内エネルギー危機の懸念よりも、かつてファシズムが行った施策の踏襲というべき危機に、ドイツの新首相は覚悟を決めて立ち向かう構図となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ロシア軍はウクライナへ侵攻を開始した。ロシアは第二次大戦後には北海道の留萌と釧路よりも北側をソビエトに併合する主張を行っており余所事ではない。
国連安全保障理事会は緊急会合を招集しました、国連本部のあるニューヨークはアメリカ東部時間では深夜であり、異例の招集です。ただ、国連安保理は機能不随に陥っています、安保理決議は強制力を有し国際合意や条約に上位する強行規範と国際司法裁判所は定義しますが、安保理常任理事国としてロシアは安保理決議において拒否権を行使できます。
国連の任務は“国際の平和と安全の維持”ですが、拒否権を行使できる常任理事国は、国際の平和と安全を害する状況を想定していません。いや、明確には過去にもありました、それはスエズ危機、イギリスとフランス軍がイスラエル軍と呼号しエジプトのスエズ運河に侵攻、エジプトを支援するソ連が英仏両軍を食い止める為に核攻撃を示唆した際のこと。
スエズ危機では、国連のハマーショルド事務総長が機能不随となった安保理での調停を断念し、国連安保理が派遣する国連軍に代わり、第一次国連緊急軍を総会決議で派遣決定、核戦争による第三次世界大戦を阻止しました。これをESS緊急総会“平和の為の結集決議”といいます、今のグテーレス事務総長に、こうした責務を果たしてほしいと切に願います。
■ロシア軍のハイテク戦争
ロシア軍の軍事行動は、ウクライナ政府が組織的戦闘を行えていない状況で指揮系統麻痺に成功したと云えます。
対中防衛に重点を置く日本ですが北方脅威を再認識すべきだ。ロシア軍によるウクライナ侵攻、過去の軍事行動と比較して非常に洗練されている印象です。もっとも、アメリカの軍事行動は“新月の深夜”に暗視装置を駆使して開始されますが、ロシア軍は“夜明けまでに巡航ミサイル攻撃を行い黎明と共に地上戦”という、シリア内戦介入において確立した方式を採ります。情報の混乱は指揮中枢破壊成功を意味する。
カリブル巡航ミサイル。シリア内戦で使用され中距離核戦力全廃条約の関係上400km程度と考えられたものが自際には2400kmと意外に射程が長い事が確認されたロシア製巡航ミサイルですが、ロシア軍は射程の長い巡航ミサイルを多数そろえ、また2008年の南オセチア戦争では無人機の不足が課題となっていましたが、あれから14年、数が揃ったもよう。
ロシア軍の戦闘基本単位はBCT大隊戦闘群で、これは自動車化歩兵大隊か戦車大隊を中心とした冷戦時代の自動車化狙撃連隊を小型化させた一種の混成戦闘群です、国境周辺に集まったBCTは100個前後、現在、ロシア国防省はウクライナ軍からの組織的な抵抗を受けていないとしていますが、陸空と無人機を合せた作戦により組織的抵抗を封じた構図だ。
■防空システムを制圧
非常に厳しい論点ですが日本の北海道防衛にも参考とすべき厳しい状況です。
北海道で将来の惨禍と成らぬよう。防空システムの制圧、ロシア軍の攻撃はウクライナ全土の空軍基地や地対空ミサイル部隊への攻撃から開始され、ロシア国防省は公式発表で"防空システムを制圧した"と表現しています。ウクライナ空軍にはソ連より継承したMiG-29戦闘機やSu-27戦闘機がともに30機程度装備されていますが、近代化改修は低調で元々稼働率も低く制空戦闘が行えません。
ウクライナのレズニコフ国防相は"東部の部隊や軍司令部と飛行場がロシアから激しい砲撃を受けている"と発言したことがロイターにより報道されており、"砲撃"、即ち地上軍部隊の侵攻へ準備射撃が開始されていることをしめしています。このほか、ゼレンスキー大統領はウクライナ全土へミサイル攻撃も行われていると発言している。状況は悪化している。
ゼレンスキー大統領はウクライナ全土に戒厳令を発令し国民に冷静を呼びかけました。全土へ非常事態宣言を公布してから僅か五時間、ロシア軍の侵攻が開始され、より厳しい戒厳令により、道路渋滞を防ぎ軍事輸送を第一とする態勢を執る。なおウクライナ軍による抗戦など情報は確認されていませんが、ウクライナ側に死者が出ていると発表があります。
■ウクライナ三方面から攻撃
ウクライナ東部への限定侵攻という認識ですが攻撃そのものはウクライナ全土に及んでいます、ただNATO加盟国ルーマニア国境付近には攻撃は及んでいません。
三方向から攻撃が開始された、ウクライナ国境警備隊の発表をロイター通信が報道でしています。ウクライナ国境警備隊の発表では、ロシア本土、ベラルーシ、そしてクリミアから攻撃が行われているとのこと。ロシアのインタファックス通信によればロシア軍は黒海から海軍歩兵部隊による上陸作戦を開始とも情報がありますが、ロシアの発表で確認中だ。
ルガンスクとドネツク、ウクライナ東部二州へ限定侵攻が行われると考えられていますが、ミサイル攻撃は南部にも及んでおり、これが単なるロシア軍によるウクライナ軍の空軍力無力化だけであるのか、続いてハリコフやキエフといった主要都市やオデッサなどの港湾都市制圧への準備攻撃であるのかは現時点で確認できません。情報は錯そうしています。
ウクライナ占領を目指すものではない、プーチン大統領はテレビ演説にこう述べていますが、ウクライナ東部は既にウクライナ領土と見なしていません、プーチン大統領にとってのロシアウクライナ国境線がどこにあるのかが不明確であり、侵攻側の攻撃軸に沿って攻勢限界線まで際限なくロシア軍の前進が続くことが、現在の懸念事項といえるでしょう。
■プーチン大統領,攻撃を正当化
日本はロシアのこうしたこじつけの主張を記憶に刻む必要がある。
侵攻を正当化する理由として、プーチン大統領は"ウクライナ東部でのロシア系住民虐殺"が計画的に行われているとし、"ロシア語をはなすことができる住民に対する過去何年間もの圧政”があるとしたうえで、"更なるウクライナ政府による住民抑圧の証拠を掴んだ"としています。その上で"すべての責任はウクライナ政府にある"とし"侵略ではない"としている。
虐殺の有無については、あり得ません。なぜならばOSCE全欧安全保障協力機構の停戦監視団がロシア軍はもちろん、ウクライナ軍を含めて東部地域、ウクライナ東部紛争の停戦合意地域を監視しており、軽火器はもちろん、刃物や鈍器による事件をも対象としていますが、OSCEの監視では確認されていません。OSCEの中立性は、ロシアから見ても高い。
OSCEは元々ソ連が提唱して開催されたCSCE全欧安全保障協力会議が東西冷戦後に常設機構として拡大されたものであり、欧州の策謀というものではなく、ソ連提唱の組織がヨーロッパ全体、ロシアはもちろん中立国も含め、参加している組織です、その組織が虐殺はないと結論を出し、当該地域でウクライナからの停戦合意違反もないとしているのです。
■首都への陸上侵攻は未だ無い
重要な情報です。
ウクライナ情勢について、しかし現時点で“陸上侵攻が行われているのは東部地域”であり、“ロシア軍の首都キエフへの直接侵攻は日本時間1930時時点では確認されていない”という状況は理解しておく必要があります。東部地域への限定侵攻と首都キエフ侵攻とでは、ウクライナ国家の存続か、限定侵攻となるか、この二点で大きく異なるのですから。
首都キエフ周辺の空港では既にミサイル攻撃が行われていますが、ウクライナ空軍の作戦能力を麻痺させる、若しくは指揮命令系統を麻痺させる事が目的であり、ミサイルや空爆では地域を占領する事は出来ません、もっとも、キエフはベラルーシウクライナ国境から直線距離で90kmという距離であり、機械化部隊が越境を開始した場合は数時間の距離だ。
ウクライナ軍が東部地域のロシア軍に対して身動きが取れない背景には、首都キエフから兵力を移動させた場合は、手薄となったキエフがベラルーシ国境より南下したロシア軍により短時間で制圧される懸念があるのです。ロシア軍侵攻開始から既に八時間を経ましたが、現在ウクライナ軍指揮官やウクライナ政府にとり、厳しい状況と云わざるを得ません。
■日本政府の対応
邦人保護や日本大使館に関しての情報です。
我が国の対応について。欧州とアメリカが実施した経済制裁に呼号し日本も限定的なロシアへの経済制裁の発動を発表しましたが、これよりも先ず邦人保護やキエフの日本大使館などの問題に即座の対応がせまらえています。先ず在留邦人について、現在のところ外務省は法人への被害を確認していません、只全員の無事を確認もしていない但し書きが付く。
邦人安全確保については、チャーター機運行の目処を点けていると岸田総理大臣は発言しました、ただ、ロシア軍巡航ミサイル攻撃によりウクライナの空港設備が多数被害を受けており、ロシア政府に対しウクライナの非武装平和都市と無防備宣言により安全が確認された空港やロシア軍からの安全が保障された航空路線があるのか、この確証はありません。
キエフの日本大使館について。キエフの日本大使館は最小限の人員を残して縮小維持されていました、大使館は外交関係に関するウィーン条約に守られていますが、旧ユーゴスラビア紛争へのNATO介入では誤爆被害などの事例もあります。この為、日本大使館に残る最後の要員は日本大使公邸へ避難しているとのこと。邦人保護も大きな課題といえます。
■アメリカ,SWIFT除名決断せず
バイデン大統領の決断が二転三転し日本の鳩山内閣時代を見るようでアメリカは優柔不断と云う印象をぬぐえません。
アメリカ始め各国の対応について。アメリカは当初SWIFT国際銀行間通信協会からの除名によりロシアと世界の銀行取引を不能とさせる厳しい措置を示唆していましたがロシア政府系銀行一部の取引を禁止し、ロシア国債の取引を禁止した程度であり、史上かつてない規模の経済制裁を示唆したSWIFT除名への手続きは採っていません、アメリカに迷いが。
バイデン大統領は、アメリカ世論にウクライナ危機への不関与を求める声があり、世論調査で53%が関与を望まない声がある、また経済制裁を行えばインフレの更なる加速が懸念されるため、躊躇している構図が在ります。民主主義の牽引者というアメリカの地位も、もはや落日の印象がぬぐえず、また本土からのNATOへの重戦力増派も行われていません。
ドイツ政府はショルツ首相が覚悟を決め、ロシアからの天然ガスパイプライン“ノルドストリーム2”建設手続き凍結を決断しました。ドイツはロシア産天然ガス依存度が45%となっていますが、国内エネルギー危機の懸念よりも、かつてファシズムが行った施策の踏襲というべき危機に、ドイツの新首相は覚悟を決めて立ち向かう構図となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)