◆決定後僅か半年、納期二年延長・費用一割増額
F-4EJ後継機であるF-35,しかし、F-15戦闘機も日本到着から今年で31年、そろそろ後継機を考えねばなりませんが、F-35を増勢することが現実なのでしょう、その障壁は価格です。
NHKが報じたところでは、政府の発表として航空自衛隊が導入する計画のF-35について当初の導入予定は99億円とのことでしたが、これが100億円を数億円上回ることとなる見通しで来月下旬にアメリカ政府と契約する方針であるとのことです。まだ正式契約を行っていない内定ではあるのですが、進める方針の模様です。
防衛省は納期と価格の厳守をアメリカへ求めてきました。しかし、現時点ですでに納期は二年程度遅れるということが判明しており、日本が求める納期の二年後にアメリカ空軍へ部隊配備となるわけですので、納期を二年程度妥協する方策を真剣に検討するほかないと思うのですが、無策のままです。
今回の納入費用上昇は、数億円程度ということになっていますが、教育訓練費や整備器材取得費用に加え訓練用シミュレータの導入費用を合計し4機で600億円を計上していますので、機体取得費用以外の訓練経費などを縮小すれば全体の導入費用の範囲内に含まれるという見解をしましました。
しかし、最大の問題は今回の一機当たりの上昇分は一割程度ではあるのですが、導入発表から半年で価格が一割上昇したという部分で、開発が延期する期間に開発費が増大して費用に加算されるのですから、根本的問題は残っていまして、航空自衛隊が導入する際にはいったいどれだけの費用となっているのか、示されていません。
防衛省によれば昨年末導入当時の報道では42機の調達を総計画費1兆6000億円としていますが、開発費が高騰すれば我が国への負担も増大し、果たして一機当たり数億円の増額で収まるのかという問題も残ります。航空自衛隊全体の予算は定まっているので、真下費用は何かを削らねばならず、燃料費など経費は増大するばかり、装備定数を維持しようとすれば訓練費がますます削られます。
制式契約はいったん棚上げとして、F-4EJ後継機には毎年9機程度を取得できる航空機をライセンス生産により中期防衛力整備計画期内に充足させることとし、F-15の後継機にF-35を充てる前提で、同時に米海軍が進めるF/A-18E後継機計画である第六世代戦闘機構想への関与や日英技術協力を模索する方が、選択肢としては考えられるのですが、現実はF-35へ向かっているようです。
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