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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

米本土で感染拡大 新型インフルエンザ41州で感染を確認

2009-05-08 17:05:41 | 国際・政治

◆H1N1 水際防衛、自衛隊も協力

 新型インフルエンザについて、アメリカ疾病予防対策センターは7日、米国内での感染者は41州で896名に上り、感染拡大という状況にあることを発表した。

Img_9550_1  アメリカ空軍横田基地に、簡易検査で感染の疑いのある患者が出、結局は季節性インフルエンザではあったが、すわ、日本へ新型インフルエンザ上陸か、と注目を集めた。米本土では、5日の時点で403名であった感染者が、7日には896名に急増したことで、感染拡大に歯止めが効かない状況となっている。

Img_9271  疾病に対して、米軍基地との境界での疾病予防の管轄権がどちらかにあるのか、また、どのようにして即座に感染拡大防止を阻止できるかが、今後見直しを含め検討課題を突きつけた形となった印象だ。なお、感染者は、メキシコで1204名、死者44名、アメリカで896名、死者2名を筆頭に、感染者は北米ではカナダに201名、中米ではグアテマラ1名、エルサルバドル2名、コスタリカ2名、コロンビア1名、新たに南米ブラジルでも発生の情報が伝えられている。

Img_0176  米本土での感染拡大は深刻で、欧州では、サンディエゴ基地を母港とするドック型揚陸艦ドゥビュークで感染者が確認され、太平洋地域で参加予定であった演習への参加を見合わせたとのこと。欧州ではイギリス34名、アイルランド1名、オランダ2名、デンマーク1名、スウェーデン1名、ポーランド1名、ドイツ9名、オーストリア1名、イタリア4名、スイス1名、スペイン81名、ポルトガル1名という状況。ニュージーランドでは5名が感染しているほか、アジアでは韓国で3名、香港で1名が感染している状況。欧州では、イギリス、スペインで感染拡大防止に失敗し、現在、感染者が増加傾向にある。日本政府は、メキシコ政府からの要請を受け、空港などで使用している発熱状況を調べる検知器を民間機により輸送している。

Img_4411  現在、世界保健機関は、パンデミー(流行禍)警戒態勢では六段階中、第五段階という位置づけにあり、アメリカ本土、スペイン、イギリスでの感染拡大を阻止できなければ、パンデミーの発生を示す第六段階への移行が行われるのではないかと、伝えられる。対して日本では、国際空港や港湾施設を中心に、水際での感染者入国阻止を目指し、ゴールデンウィークでの帰国ラッシュを前に空前の検疫体制を引いて警戒にあたっている。

Img_2551  検疫官不足を前に、陸上自衛隊からも医官や看護官を派遣、水際防衛を期して全力を傾注している。現在のところ、新型インフルエンザは、当初警戒された強毒性の鳥インフルエンザと比較した場合、罹患者の致死率は想定されたよりも低く、弱毒性ではないかとの指摘もあるが、再び変化し、強毒性インフルエンザが出現する可能性も無視できず、警戒態勢が続けられている。

Img_7243  8日午前、中曽根外務大臣は、記者会見で、米本土シカゴ在住の邦人(六歳)が新型インフルエンザに罹患、38度を超える発熱があったものの現在容体は安定していると、発表した。新型インフルエンザに邦人が罹患したのは、今回が初めてである。現時点では、状況は、拡大中ではあるものの、社会機能や国際的な旅客輸送システムに影響が及ぶ似た至っていない。しかし、今後、流行禍が現実の基となり感染爆発という状況になった場合は、チャーター機や航空自衛隊の輸送機などを展開させ、邦人救出という状況も検討する必要があるだろう。

Img_9441  航空自衛隊の輸送機では輸送能力に限界があることから、チャーター機をどの程度確保できるのか、特に感染爆発が起きている地域からの邦人救出には、自衛隊、民間航空会社一体となった協力が必要となろうし、また、今後、日本以外での感染拡大が続き、罹患の疑いがある場合でも旅客機を運航し、邦人の帰国への航空航路を維持するのであれば、場合によっては、検疫と罹患防止管理が容易な航空自衛隊基地の開放も含め検討するべき時が来るかもしれない。

HARUNA

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