ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『実験刑事トトリ』シリーズ '12~'13

2019-08-25 00:00:16 | 刑事ドラマ HISTORY









 
NHKの土曜夜9時「土曜ドラマ」枠にて、第1シリーズは2012年の秋に全5話、第2シリーズは翌'13年の秋に全6話が放映されました。

『妖怪人間ベム』『TIGER & BUNNY』等を手掛けた西田征史さんによるオリジナル脚本で、動物学者から警視庁捜査一課の刑事に転職したばかりの中年新米デカ=都鳥博士(ととり ひろし=三上博史)が、実験に実験を重ねて論理的に事件を解決していく倒叙ミステリー。

私の場合、真犯人は誰なのか?とか、主人公の知られざる過去の秘密とは?とか、そのテの作劇にはあまり興味が湧きません。そういうのは作者が勝手に頭の中で考える事で、そんな赤の他人の1人遊びにつき合うのがバカらしく思えちゃうんですね。

予想もつかない大どんでん返しが!みたいなのも、よっぽど上手く仕掛けてくれれば楽しめるけど、別にそんなの無くてもいいよって思っちゃう。

謎解きよりも登場人物たちのキャラクターや人間模様、どんでん返しよりも感情移入出来る人間ドラマ、あるいは見応えあるアクションでこそ楽しませて欲しい。

それって結構ハードルの高い注文なのかも知れません。謎解きやどんでん返しのシナリオは、それほど才能が無くても2~3人で知恵を絞れば書ける筈です。

だけど面白いキャラクターや人間模様、感情移入出来るドラマは、書く人自身の人間性がものを言います。思慮深さや人間観察眼、感性が無ければ書けません。それこそが「才能」ってやつだと私は思います

『実験刑事トトリ』シリーズの場合、犯人は最初から判ってます。謎解きの答えが先に提示され、主人公がそこに行き着くまでの過程を楽しむドラマです。

『刑事コロンボ』で広く知られるようになった「倒叙法」の作劇で、上手くやれば通常の謎解き物よりずっと面白くなるんだけど、チャレンジする創り手が極めて少ないのは、やっぱりそれだけハードルが高い手法なんだろうと思います。

そう考えれば『古畑任三郎』シリーズを創った三谷幸喜さんは、才能だけじゃなくとても勇気のある方なんでしょう。「コロンボのパクり」って言われるのも覚悟の上なワケですから。

『トトリ』の創り手たちも同様です。巷に溢れ返る謎解きドラマの中でも、本作の面白さは群を抜いてます。同じ「ホームズ&ワトソン」スタイルでも香取くんの『MONSTERS』とは大違いw

古畑にせよ都鳥にせよ、やっぱりキャラクターが魅力的なんです。もちろん田村正和、三上博史という優れた俳優さん達が演じなければ、その魅力は充分に発揮出来なかった事でしょう。

動物学者から刑事に転職した変わり種で、何か疑問が湧くとすぐ実験して確かめないと気が済まず、それがいつも結果的に事件の謎を解く鍵になる。

こういうマニア気質のキャラクターを演じる役者さんは、ハマり過ぎると気持ち悪いし、かと言ってかけ離れたキャラでも成立しない。三上博史さんは、神経質さと大らかさを同時に表現出来る演技力と、生まれ持ったチャーミングさで、都鳥刑事をとても魅力的な人物に仕上げてくれました。

それと、古畑任三郎に今泉くんという良き(?)相棒がいたように、都鳥刑事にも安永刑事(高橋光臣)というチャーミングな相棒がいて、この2人の掛け合いが絶妙なスパイスになってます。

『トトリ』の場合は「40代の新人刑事」であるのがミソで、ずっと歳下の頼りない安永が彼を「都鳥くん」って呼んで、どう見ても安永より優秀な都鳥が「先輩」って呼んで敬語で話してる様が、そこはかとなく可笑しいw

それで安永は調子に乗ったり、時には「僕なんかより都鳥くんの方が……」ってイジケたりして、都鳥が気を遣って「そんな事ないですよ先輩」って慰めたりするw

高橋光臣さんの如何にも実直そうな佇まいが、そんな安永刑事にピッタリなんですよね。当たり役だと思います。

このコンビ以外は、仕事してるのかしてないのかよく分かんない部屋長の三船(笹野高史)と、同じくただ座ってるだけの内勤員=弥生(高橋 愛、第2シリーズから登場)の2人しか刑事部屋にいないのが、またシュールなんですよねw

ほか、バラエティー番組の人気司会者=マコリン(栗山千明)が、なぜかいつもテレビを通じて謎解きのヒントを与えてくれます。こうして書いてみると、相当ヘンな刑事ドラマですね、これw

かと言って小ネタ遊び優先で人物描写がおざなりにされる事もなく、犯罪者側のドラマも丹念に練り込まれてます。

シーズン2の第1話は、コンビでの仕事で高い評価を受けて来た建築家の男女が、男性側の結婚&独立によって関係が崩れ、計画殺人に発展しちゃうという『刑事コロンボ』にもありそうなストーリーでした。

だけど富や名誉が動機なんじゃなくて、実は心に秘めた愛情が悲劇を生んだんですね。パートナーの結婚相手を殺しちゃった女性建築家は、彼よりずっと歳上なんです。

彼女、殺害は認めても、彼への思慕は最後まで隠そうとする。木野花さんの好演もあって、仕事一筋に生きたオールドミスの悲哀が胸に迫って、私は泣いてしまいました。

粗製乱造と言わざるを得ない謎解きドラマ大繁殖のなか、さすがNHKと言うしかないクオリティーの高さで、これはオススメしたい作品です。
 
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『MONSTERS』2012

2019-08-24 12:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の秋シーズン、TBS系列の日曜夜9時「日曜劇場」枠で全8話が放映されたミステリードラマ。

警視庁捜査一課の敏腕刑事だけど変人すぎて周りから嫌われ、隔離された部屋でたった1人の「平塚班」の班長を務める平塚平八(香取慎吾)と、彼の監視役を命じられた新米刑事=西園寺公輔(山下智久)がコンビを組み、殺人事件の謎を解いていきます。

ほか、捜査一課・金田班の班長に遠藤憲一、捜査一課長に大竹まこと、西園寺の婚約者に柳原可奈子、といったレギュラーキャスト陣に毎回豪華なゲストが絡んでいきます。

プロデューサーは構想に丸1年を費やしたそうだけど、私から見れば『相棒』と『古畑任三郎』のパロディをジャニーズアイドルにやらせただけ、のお手軽企画としか思えません。実際それ以上でも以下でもなく、どこに1年も考える必要があったのか理解に苦しみます。

とにかく香取慎吾くんのオーバーアクションが無意味に炸裂しまくり、それに負けじと山下智久くんも全身全霊でコメディ演技を披露しており、このお二人のファンでなければ到底観てられる代物じゃありません。酷い連ドラも山ほど観て来ましたが、これ以上に酷いものは無かったような気がしますw

本心は何を考えてるのか判らない、笑ってても眼が笑ってないアイドル=香取慎吾のイメージをそのままドラマに活かそうとしたらしいけど、そんな香取くんのキャラに馴染んでるファンは楽しいかも知れないけど、それ以外の一般視聴者からすればひたすら「気持ち悪い」だけなんですよね。

香取くん本人のキャラクターで笑わせたいなら、ファンに向けたバラエティー番組『SMAP×SMAP』のコントでやってくれれば良かった。それなら誰も不快な思いをしなくて済むんです。

香取くんはきっと、サービス精神旺盛な人なんだと思います。ファンを楽しませる為に全力を尽くしておられるのはよく解ります。けど、ファンじゃない人たち、ただ普通にドラマを楽しみたいだけの我々にとって、あの無意味なオーバーアクションはひたすらうるさく、邪魔で鬱陶しいだけなんですね。

たぶん香取くんは解ってない。単にヘンな顔をしたり、ヘンな動きをすれば視聴者は笑うと思い込んでるフシがある。実際、ファンはそれで簡単に笑ってくれるから勘違いしたんでしょう。で、勘違いしたまま大スターになっちゃったから、それを指摘して正してやれる人間が周りにいなくなっちゃった。実にありがちな「裸の王様」の姿です。

いや、天下の「日曜劇場」で刑事ドラマの看板を背負うというのは、本来なら香取くんの眼を醒まさせる絶好のチャンスだったかも知れません。なのに、プロデューサーが1年も考え抜いた企画がコレですから……

ただヘンな顔やヘンな動きをしたからって、そこに何かしらの意味がなければ大人は笑いません。幼児向けの番組ならともかく、人の生き死にを扱うミステリーを観る大人の視聴者に、香取くんの方法論は通用しません。

とは言え、です。もし仮に、香取くんの破壊的な怪演が無かったとしたら? そこにあるのは単に『相棒』と『古畑任三郎』を形だけなぞっただけの(しかも『相棒』ほど深くもなければ『古畑~』ほど笑えもしない)平凡極まる謎解きドラマに過ぎず、こうして悪口を書く気にもならなかったかも?(悪口にもエネルギーが要るのです)

香取くんは、そんなあまりに凡庸すぎる企画に何とか個性を持たせたい一心で、一生懸命ヘンな顔とヘンな動きを考えてくれたのかも知れません。

そもそもストーリーがしっかり面白ければ、香取くんがどう演じようとここまで辛口のレビューにはならなかった筈。

数字を稼ぐことしか考えないでドラマを作るから、こんな事になる。お金を掛けて人気タレントを揃え、ヒット作のパターンさえなぞっておけば客は喜ぶと思ってる。日曜劇場とは基本、そういう番組です。

セクシーショットは第1話ゲストのお一人、加藤夏希さん。ご本人は憶えておられないかも知れないけど、かつて映画の撮影現場でご一緒した事があります。
 
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『捜査地図の女』2012

2019-08-24 00:00:09 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の秋シーズンにテレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠で全7話が放映された、テレビ朝日&東映の制作による刑事ドラマ。

広域地図や犯行現場の見取図などを作らせたら右に出る者がいないという、「地図は生きている」が決め台詞の京都府警捜査一課刑事・橘 珠子(真矢みき)の活躍が描かれます。

班長に中村梅雀、同僚刑事に石黒 賢、内山理名、宇梶剛士、阿部 力、珠子の夫に渡辺いっけい、母に草笛光子、といったレギュラーキャスト陣。

基本は人情系の謎解きドラマだけど、地図を最大限に活用する珠子のマニアックさが見もので、犯行ルートや犯行時間の割り出し、容疑者の隠れ場所や逃走先まで地図で先読みしちゃう捜査法が新鮮で面白いです。

同じ京都を舞台にした刑事物でも、単に背景が京都なだけの番組が大半を占める中、本作は京都の地理や建物の特色がちゃんとストーリーに活かされてるんですよね。たぶん、それこそが目的で「捜査地図」をクローズアップする企画が発案された。だから京都という場所に思い入れのある方なら、事件のこと抜きでも楽しめると思います。

また、第1話には同じ木曜ミステリー枠の人気シリーズ『京都地検の女』のレギュラーである成増刑事(寺島 進)が珠子の元カレという裏設定で特別出演。そういった番組どうしのコラボが見られるのも東映京都ミステリーの楽しさかと思います。

腋の下ショットは、第1話ゲストの前田亜季さん。ご存知かと思いますが前田愛さんの実妹で、すなわち6代目・中村勘九郎さんの義妹。'90年代半ばから活躍されてますから今やベテラン女優。最近ではスペシャルドラマ『鬼畜』で刑事役を演じておられます。
 
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『コドモ警察』2012

2019-08-23 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
いまだに『太陽にほえろ!』の復活を待望してるファンもおられるみたいだけど、我々が愛した『太陽』はもう、二度と再現する事は出来ません。

相応しい俳優もいない、アクションの撮影も困難、今なら確実にビデオ撮影だし、根本的に時代背景がもはや違い過ぎます。『太陽』が好きであればあるほど、観れば失望すること必至でしょう。

そんな不毛な望みを抱くよりも、新しいドラマに目を向けた方がよっぽど楽しいです。そこには確実に『太陽』の遺伝子が宿ってますから。

つまり、少年期から思春期を『太陽』を観て過ごした世代が今、映像業界の中心で活躍されてるワケです。『ケータイ刑事』シリーズ等が典型例で、様々なジャンルで『太陽』オマージュやパロディが見られます。


☆『太陽』遺伝子を最もストレートに受け継いでるのは、TVドラマよりCMの世界かも知れません。ゴリさん(竜 雷太)と長さん(下川辰平)が出演し、岸谷五朗さんが新人ブレンディ刑事を演じた、缶コーヒー「ブレンディ」のCMはシリーズ化されました。

缶コーヒーと言えばおなじみ「BOSS」のCMでも、ゴリさんや殿下(小野寺 昭)、テキサス(勝野 洋)、ロッキー(木之元 亮)、そしてボス(ゆうたろうw)らが宇宙人トミー・リー・ジョーンズに刑事魂を叩き込みました。

あと、SMAPの草なぎ剛くんがジーパン(松田優作)のコスプレをして「なんじゃこりゃあーっ!?」ってやったのは、デジカメのCMでしたね。あれはスベってましたw

給湯システムのCMで小野寺昭さんが「ボス、電化(殿下)だ!」ってダジャレを言うのもあったし、ENEOSのCMでは竜雷太さんが「エネゴリさん」と夢の共演を果たされました。


☆『太陽にほえろ!』は『水戸黄門』や『サザエさん』『ドラえもん』『巨人の星』等と並んで、誰もが知ってる番組ゆえにパロディのネタにされ易いんですね。バラエティー番組では数限りなく『太陽』パロディがありました。

ドラマとバラエティーが融合したような’80年代の番組『翔んだカップル』では、柳沢慎吾さんが山さん(露口 茂)を真似た『太陽にまねろ!』ってコーナーがありました。ノッポなADさんがジーパン役を演じて、そのコスプレ衣装は全て慎吾さんの自前だったそうですw

とんねるずの番組では『太陽にぽえろ!』『太陽にほえるな!』等で石橋貴明さんがやってた、バミューダ刑事が印象深いです。木梨憲武さんが山さん役で、そう言えば確か本物のトシさん(地井武男)も出ておられました。この辺りから地井さんが「チイチイ」って呼ばれるようになったんですよねw

ほか、ドリフターズやダウンタウン、ビートたけし氏も『太陽』はよくネタにしてました。だけど最近はもう、誰もが知ってるTV番組なんて皆無ですから、パロディという手法そのものが減ってますよね。


☆特撮ヒーロー物にも『太陽』遺伝子は受け継がれており、中でも『特捜戦隊デカレンジャー』はストレートに’70~’80年代の刑事ドラマにオマージュを捧げてました。

なぜかボスが顔だけ犬なんだけどw(まさにデカワンコ!)、扱われ方が刑事ドラマのボスそのものなんですよね! 最終回で大爆発に巻き込まれ、死んだと思われたボスが、スローモーションで炎の中から歩き出して来る姿は、完全に石原裕次郎気取りでしたw

『太陽にほえろ!』のボスにせよ『西部警察』の団長にせよ、何があっても死なないし、なぜ死なずに済んだのか、ボスや団長に限っては説明不要なんですよね。死なない理由はただ1つ、ボスだからです。

その場面を観て『デカレンジャー』のスタッフが私と同世代である事を確信しました。道理で、’70年代アイドルの石野真子さんがレギュラー出演されてたんですよね。

ほか、私は未見ですが『鳥人戦隊ジェットマン』の最終回がマカロニ殉職編とソックリだったそうです。アニメの『勇者警察ジェイデッカー』もオープニング映像の構成とメンバーのネーミングがモロ『太陽』だったとか。(Wikipedia情報)


☆あと『太陽』OBのキャストによるセルフパロディも多々ありました。東映Vシネマ第1弾の『クライムハンター』は主演がボギー刑事の世良公則、敵役がブルース刑事の又野誠治で、役名が「ブルース澤村」でしたw

中村雅俊&勝野 洋が凸凹コンビを演じる映画『刑事珍道中』では、雅俊さんがこれからエッチしようとしてる女性に「テキサス刑事が好きなの」って言われてゲンナリする場面がありましたw

ドラマ『大追跡』では沖 雅也さんが「スコッチ刑事って最高ですよね」って言ったら、相手の女性に「ジーパン刑事が好きなの」って言われてショボンとする場面がありましたw

そのジーパン刑事=松田優作さんはドラマ『探偵物語』で、子分に捜査を指示する時には「ゴリ、殿下、ロッキー!」ってアドリブをかましてましたw


☆もっと本格的なオマージュを捧げたドラマと言えば、まずは前述の『ケータイ刑事』シリーズが挙げられます。

宮崎あおい、堀北真希といったフレッシュな若手女優を起用し、ブレイクさせた点が「新人俳優の登竜門」と云われた『太陽』を彷彿させる上、実際『太陽』でスニーカー刑事だった山下真司さんをヒロインの相棒役に起用、役名もそのまんま「五代 潤」としました。

『トリック』の堤幸彦監督もどうやら『太陽』フェチで、『ケイゾク』『SPEC』で竜雷太さんを起用して「昔はゴリさんだった」事を小出しに匂わせたり、ヒロイン(中谷美紀)にジーパン刑事と同じ「柴田 純」って役名をつけたりしてました。

多部未華子主演の『デカワンコ』は、『太陽にほえろ!』のテーマ曲をリミックスしてそのまま使っちゃうという、大胆なオマージュで我々の度肝を抜いてくれました。

このドラマは一見、単なるネタとして『太陽』を扱ってるように見えるけど、実は根本的な部分で『太陽』スピリットを忠実に受け継いでる番組なんですよね。

例えば、新人刑事=ワンコの成長を軸に物語が組まれてること。毎回コンビを組む先輩刑事が入れ替わり、それぞれのやり方で刑事魂を伝授していく構成は、初期の『太陽』そのまんまです。

そしてニックネーム。鼻が効く+一子という名前=ワンコ、っていうネーミングの方程式は、かなり『太陽』的センスに近いと私は思います。ボス、シゲさん、コマさん、ちゃんこ、デューク、キリ等、他の刑事達も七曲署にいてちっとも不思議じゃないニックネームでした。デュークは実際にいたしw

さらに、安上がりな屋内推理劇でお茶を濁す捜査ドラマばかり粗製濫造されるこのご時世に、『デカワンコ』はロケを多用し、立ち回りによるアクティブな逮捕劇をきっちり見せてくれました。何より、新人刑事であるワンコ=多部ちゃんが、ホントによく走ってくれました。チョー鈍足という捻りは加えてあるものの、『太陽にほえろ!』=「走る新人刑事」ですからね。


☆さて! ここでようやく『コドモ警察』の登場ですw

本放映は2012年の春シーズン、MBS(毎日放送)が制作し、TBS系列で深夜に放映されました。脚本とメイン演出は『東京DOGS』や『勇者ヨシヒコ』シリーズ等で知られる福田雄一さん。

数あるオマージュ作品の中でも、この『コドモ警察』ほどストレートに、そして大真面目に『太陽にほえろ!』を再現したドラマは空前絶後かも知れません。

何しろ、刑事達が(新人刑事以外は)全員コドモですからw、どんなにストレートに真似しても『太陽』と同じには絶対ならないし、真面目にやればやるほど笑えちゃうワケです。この発想はホントに素晴らしい!

ただパロディとして面白いだけじゃなく、我々世代にとってはある種ノスタルジーなんですよね。我々がコドモだった頃、オトナの刑事になりきって「太陽にほえろ!ごっこ」をやってたのと、まったく同じ光景がテレビ画面に映ってるワケですから。(あんなに本格的なコスプレは出来なかったけどw)

だけど演じてる子役たちは『太陽』を全く知らない世代なワケで、なのにオトナでも言いづらそうな難しい台詞やキザな台詞を、舌っ足らずな声で一生懸命言ってる姿が、見てて愛おしくなって来ちゃう。

その子役たちのキャスティングにしても、ホントに『太陽』のオリジナルメンバーたちが敵組織「レッドヴィーナス」の罠(吸うと身体だけコドモになっちゃう特殊ガス)でコドモにされちゃったみたいな、個性と実力とスター性を持った子ばかりが選ばれてる。

「デカ長」の鈴木 福くんは子役界の大スターで、まさに『太陽』のボス(石原裕次郎)を彷彿させるオーラを放ってます。その根っから明るい性格も、太陽をイメージさせるボスそのもの。

「マイコ」の本田望結ちゃんは『あぶない刑事』の浅野温子さんがモデルらしいけど、あんな気が狂ったキャラとは全然違いますからねw 実年齢とはアンバランスな色っぽさは、やっぱり『太陽』のシンコ(関根恵子)にリンクしてると私は思います。

「ナベさん」の鏑木海智くんは山さん(露口 茂)がモデルっぽいけど、雰囲気はむしろ長さん(下川辰平)ですよねw そのコドモ離れした落ち着きぶりはベテラン刑事そのもの。

「イノさん」の青木勁都くんは見るからに豪傑で食いしん坊、誰がどう見たってゴリさん(竜 雷太)ですw いや、ゴリさんより貫禄ありますw

「スマート」の秋元 黎くんは女性視聴者をメロメロにさせるキュートさで、まさに殿下(小野寺 昭)そのもの。彼の場合はコドモなんで、男の私ですらメロメロになりそうですw

「ブル」の竜跳くんはジーパン(松田優作)のコスプレをしてるけど、その鬱陶しいほどの熱血ぶりは『太陽』の歴代新人刑事を集約したようなキャラクターですね。

「エナメル」の相澤侑我くんだけは、誰がモデルになってるのか判りません。非常に現代的なチャラ男で、恐らく『太陽』がずっと続いてたらこんな新人刑事も登場したのでは?っていう発想で生まれたキャラクター。

「新人」(なかなかニックネームを決めてもらえない)の勝地 涼くんは、1人だけオトナですw 確かな演技力を持つ俳優を加える事で、番組が学芸会に陥るのを防ぐ目的なんでしょうけど、その人物を一番下っ端のイジられキャラにしちゃう発想が素晴らしいw

さらに、デカ長とデキてるらしい美人鑑識課員に吉瀬美智子、本庁のキャリア警視にマリウス葉(彼が主演のスピンオフドラマ『コドモ警視』も2013年冬シーズンに全10話が制作・放映されました)といったレギュラー陣。

そして2013年春に公開された劇場版には、マリウスくんの上官として元祖「殿下」の小野寺昭さんが登場、本家『太陽にほえろ!』とのリンク役を果たしてくれました。

視聴者が「なんだこれは!?」と驚くような、出現感のある番組をやろうっていう発想から生まれたらしい『コドモ警察』。まさにそのインパクトは最大級で、前述の『デカワンコ』と並ぶ『太陽』オマージュの最高傑作じゃないかと私は思ってます。

この2作品以降、今のところ『太陽』オマージュあるいはパロディで、これと言った作品は登場してません。そろそろ視聴者も創り手も『太陽』を知らない世代が中心になって来たんでしょう。

それでも、『太陽』スピリットは形を変えて色んな作品に受け継がれていく筈。そう信じたいですね。
 
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『Answer/警視庁検証捜査官』2012

2019-08-22 12:00:21 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の春シーズン、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全9話が放映された刑事ドラマ。

冤罪などが相次ぎ、失墜した警察の信用を回復するため警視庁捜査一課に「検証捜査係」が新設されるも、その実質は調書の誤字脱字をチェックして検察庁に提出するだけの事務作業。

そこに正義感が強すぎて出世コースから外されたキャリア=新海警視(観月ありさ)が管理官として就任。調書から感じる些細な違和感から解決済み事件を洗い直し、現場の刑事たちに疎まれながらもブレずに真実を追及し、冤罪を次々と晴らしていく彼女の姿に、お役所体質が染み付いた部下たちもやがて感化され、本来あるべき検証捜査係の姿に変わっていくというストーリー。

検証捜査係のメンバーに片岡鶴太郎、松重 豊、五十嵐隼士、強行犯係のメンバーに田辺誠一、眞島秀和、橘 慶太、首席管理官に風見しんご、捜査一課長に田山涼成、検察事務官に西田尚美、鑑識課員に野間口 徹、といったレギュラーキャスト陣。

おそらく「観月ありさにクールな凄腕捜査官を演らせよう」っていう着想からスタートし、捜査ドラマの人気ジャンルとして定着した「コールドケース」物と、都落ちしたエリートが覇気をなくした庶民たちの意識を変えていく、これまた過去のヒット作のパターンを組み合わせて出来た企画かと思われます。

ほとんど全てのドラマはそうして過去作の「いいとこ取り」で成り立ってるワケで、特に刑事物はあらゆるパターンをやり尽くしてますから、マンネリだパクリだと文句を言うのは不毛なこと。それを誰がどう演じるかを楽しめばいいんだって、今となっては割り切ってます。

けど、放映当時の私はまだ諦めてなかったw 前々回の『ATARU』と同じように、当時のブログに書いた記事を下にコピペしておきます。テレビ業界に対してまだ期待を抱いてたからこそ、文面は今より辛口になってます。

あれから7年……状況は何も変わらず、むしろ悪くなる一方で、私はすっかり諦め、落ち着いて、ますますハリソン・フォードそっくりになりました。


☆『Answer/警視庁検証捜査官』#01(2012年の記事)

これはもう、どんな内容で、それを自分がどう感じるのか、観る前から分かってましたので、別に腹も立ちません。

『鍵のかかった部屋』が福山雅治くんのヒット作『ガリレオ』そっくりで、フジテレビは役者と設定を微妙に変えながら、そのパターンを延々と続けて行くつもりじゃないか?っていうコメントも頂きました。

このテのタイトル、例えば『CHIKUBI/警視庁特別チョメチョメ班』みたいな正統派の刑事ドラマは、まさにそんな感じですよね。固定されたフォーマットをちょっとずつ変え、役者を入れ替えて、延々と続いてる1つのシリーズ物みたい。

個性のカケラもないタイトルのつけ方に、それが象徴されてます。この番組で勝負する気はサラサラありませんって感じで。うまく役者がハマって『アンフェア』とか『BOSS』みたいに当たってくれれば儲けもの、みたいな。それを期待して刑事物の放映枠をとりあえずキープし続けてる。

過去を振り返ってもしょうがないけど、かつて刑事ドラマと言えば各テレビ局の看板であり、勝負番組でした。若い世代には想像もつかないだろうけど、ホントにそんな時代があったんです!

それが、フィルム撮りドラマの消滅と呼応するかのように、刑事物の地位というか、価値がどんどん下がっちゃった……という気がしてなりません。

「ここの枠、空いちゃったの? じゃあ刑事物でも放り込むか」「この役者のスケジュールを押さえたけど、いい企画が出ない? じゃあ刑事物でもあてがっとくか」みたいな空気。

私は、刑事ドラマが花形の4番バッターだった時代に思春期を過ごして来ましたから、現在の戦力外スレスレみたいな扱われ方には、何とも言えない淋しさを覚えずにいられません。

いや、正確に言えば「刑事ドラマ」はもう、とっくに絶滅してるんですよね。さっき書いた通り、フィルムで撮影するドラマが途絶えたのと、ちょうど時を同じくして……

私の言う「刑事ドラマ」とは、文字通り刑事が主役のドラマです。事件捜査を通して、刑事という職業に就いた「人間」の成長を描くドラマ。まぁ要するに『太陽にほえろ!』の事ですw

それが『踊る大捜査線』の大ヒットで、決定的に変わりました。刑事の目線を通して警察組織というカンパニーを描く、お仕事ドラマにシフトして行った。刑事ドラマというより警察ドラマですね。

青島刑事(織田裕二)は確かに魅力的なキャラだけど、その実、彼はストーリーの進行係であって、一つの駒に過ぎない。だからいつまで経っても成長しません(出世はしたけど、それと内面的な成長とは違います)。

で、そんな警察ドラマも飽きられて来たところに登場したのが『相棒』です。これも刑事はただの進行係で、主役は事件であり謎解きなんです。これが安上がりで不景気の世にたいへん便利って事で、現在の主流……というか、これ一色w

そうなるともう、主人公は刑事であろうが探偵であろうがやる事は一緒。弁護士、医者、オタク、家政婦、子供、果てはネコでも中身は変わらない。たまたま刑事が主人公であるだけの番組を、私は「刑事ドラマ」とは呼びたくないですホントに。

それでも、この硬直化した状態を打ち破るような、新たな衝撃作がいつか現れるんじゃないかって、僅かな希望に賭けて捜査ドラマをチェックし続けてる私って、ほんと哀れですw

でも、そのお陰で『デカワンコ』に出会い、幸か不幸かwタベリストとなって新たな仲間達にも出会えたワケですから、決して無駄な事ではない。

実際『ジウ』や『悪党』『SPEC』みたいに個性的な番組も突発的に現れてますから、油断は出来ません。まぁ、今年は刑事よりも弁護士や浪花の女教師(注:多部未華子さんの『浪花少年探偵団』)が楽しい捜査を見せてくれそうですがw

で、今回の『Answer』は、観月ありさが所轄の署長から降格され、解決した事件の調書を検察へ送る前にチェックする窓際部署の係長に就任、あやうく冤罪になりそうな事件を鋭く見抜いて洗い直すという、要するにスタンダードな捜査物です。

既に判決まで下りた事件を、所轄の一刑事が自らのクビを賭けて再捜査するって話は『太陽にほえろ!』にもありました。身内である警察組織ならびに検察庁、裁判所をも敵に回すワケですから、現実にはあり得ないにせよ、とても見応えある熱いエピソードでした。

でも、観月さんの場合は送検する前の洗い直しですから、実際に捜査した連中から疎まれる事はあっても、クビを賭ける程のリスクは背負わない。描かれるのは刑事の心意気よりも、やっぱり謎解きメインなんですよね。ちっとも熱くない。

他にも言いたい文句は色々あるんだけど、それもこれも言い飽きた事ばっかりなんでw、いかに「いつも通りのやり方」をなぞってるドラマかって事ですね。


観月さんは、こんなクールな役をやっても光らないです。かと言って十八番のドジっ子役で通せる年齢でもないでしょうから、試練の時期かと思います。(乳首)
 
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