ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#122

2019-04-25 00:00:05 | 刑事ドラマ'70年代









 
ゴリさん(竜 雷太)の恋人=小林道代(武原英子)が初登場します。

と同時に、刑事・ゴリさんのアイデンティティをまたもや大きく揺さぶるエピソードでもあり、制作陣のゴリさん愛がイヤというほど伝わって来ますw

ほんとゴリさんって、美味しいキャラですよね。ボン=宮内 淳さんがやたら「ゴリさんばっかりズルい!」って、愚痴られてた気持ちがよ~く解りますw


☆第122話『信念に賭けろ!』

(1974.11.15.OA/脚本=長野 洋/監督=竹林 進)

今回、チャコ(浅野ゆう子)の出番は序盤の1シーンだけ。タメ口でゴリさんを冷やかし、一係メンバーで恋人にするなら誰?と聞かれてボス(石原裕次郎)を指名し、馴れ馴れしく腕を組んだりする姿を見てると、確かにちょっとイラっと来ますねw

タメ口は前任者の久美(青木英美)も同じなんだけど、庶民的、下町的な愛嬌があった青木さんと違って、すこぶる都会的でトレンディーな浅野さんがやると、お高くとまってるように感じちゃう。

しかもまだ中学生の年齢ですから、一般の女性視聴者に嫌われるのも無理からぬこと、だったかも知れません。

さて、ゴリさんが道代と待ち合わせした喫茶店の近くで、派出所の巡査が拳銃を奪われる事件が発生。ゴリさんが犯人を追跡するも逃げられてしまう。

七曲署の署長=西山警視(平田昭彦)は、ゴリさんがいつも拳銃に弾丸を入れてない事を、犯人を取り逃がした理由として問題視します。

同僚の殿下(小野寺 昭)からも「ゴリさんの拳銃に弾が入ってない事を知ったら、道代さんはどう思うでしょうね?」と、やんわり批判されちゃうゴリさん。

その上、拳銃を奪われる際に弾丸を浴びた巡査が、一命は取り留めたものの半身不随となり、恋人を泣かせてる光景を見せつけられるゴリさん。

不用意に犯人の生命を奪わない為に、絶対必要な時以外は拳銃に弾丸をこめない。そんなゴリさんのポリシーが、自分の身を案じてくれる恋人の出現によって、大きく揺らぎます。

しかも、道代が犯人の姿を目撃しちゃってるもんだから、生命を狙われる危険性もはらんでる。いよいよゴリさんは、弾倉に1発の弾丸を装填します。

果たして、道代が人質にされ、ゴリさんは犯人に拳銃を奪われちゃうんだけど、動じずに向かって行きます。

「信じて下さい。俺が必ず、あなたを守ります」

「信じます。あなたを信じます!」

2人の心の声が交差する、感動のクライマックス。犯人は道代の頭に向けた拳銃の引金を引くんだけど、入ってた筈の弾丸が入ってない!

当然ながら、怒りのゴリパンチを180発ほど浴びた犯人は、めでたく廃人となるのでしたw

これより前に、弾丸をこめない理由を「俺は頭に血が上りやすいから(犯人を殺してしまうかも)」と言うゴリさんに、山さん(露口 茂)が「お前さんは冷静に状況判断が出来る男だよ」って、人差し指を立てながら言うシーンがありました。

それが伏線だったんですね。犯人が巡査から奪った拳銃の残弾数や、向こう見ずなテキサス(勝野 洋)が一緒にいる状況を見て、とっさにゴリさんは拳銃から弾丸を抜いていた。こうなる可能性を冷静に予測したワケです。

結果的に、信念を貫いたゴリさんの全面勝利。どうですか、格好良すぎじゃないですか? ゴリさんばっかりズルい!って、そりゃ言いたくなりますよねw

もちろん、そんなゴリさんに道代はメロメロで、やがて婚約を交わすワケですが、七曲署の刑事に幸せな結婚は、ごく一部の例外を除いて有り得ないのです。

互いに敬語で会話するゴリさん&道代は、本当にお似合いで理想的カップルなんだけど、道代の叔父(小林昭二)が犯罪に関わってしまい、切ない別離を迎えることになります。(第200話)

道代役の武原英子さんは、当時28歳。’67年のNHKドラマ『素顔の青春』でデビュー後、幾多のTVドラマや映画、舞台で活躍された女優さんです。

酒井和歌子さんや竹下景子さんの系譜に入る、いかにも『太陽』らしい……ていうか岡田P好みのw、清楚かつ知的な女優さんで、私も大好きでした。我々世代としては『おれは男だ!』の藤宮先生役も印象深いです。

’80年に錦野 旦さんと結婚するも、’96年に乳癌で他界。50歳という若さでした。合掌。
 
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『太陽にほえろ!』#118

2019-04-24 00:00:19 | 刑事ドラマ'70年代









 
さて……時は流れ、テキサス刑事(勝野 洋)の時代。

久美(青木英美)に代わって今回、2代目マスコットガール(庶務係)の長山久子=チャコ(浅野ゆう子)が登場します。

浅野ゆう子さんは当時14歳。アイドル歌手としてデビューしたばかりで、今や国民的人気番組となった『太陽にほえろ!』へのレギュラー出演は、まさに大抜擢と言えましょう。

ところが、外人ファッションモデル並みの長身と、華があり過ぎるキャラクターがかえって災いし、女性視聴者たちの猛反発を食らう羽目になっちゃいます。

「わたしの殿下に触らないで!」みたいな抗議文(脅迫状)がカミソリ入りで大量に届く事態に、これは番組にとっても浅野さん本人にとってもプラスにはならないだろうって事で、僅か1クールでチャコはあえなくフェードアウトとなりました。


☆第118話『信じあう仲間』

(1974.10.18.OA/脚本=長野 洋/監督=山本迪夫)

ゴリさん(竜 雷太)をかつての親友=大高(富川淑夫)が訪ねて来ます。発展途上国で畜産指導する仕事に情熱を燃やす大高は、ゴリさんに「警察を辞めて俺の仕事を手伝ってくれ」と懇願します。

そんな折り、連続強盗事件の捜査に本庁キャリアの土井警部(波多野 憲)が参加する事になり、所轄刑事のゴリさんは運転手&案内係としてコマ扱いされます。『踊る大捜査線』なんか新しくも何ともないw

で、掘っ建て小屋に立てこもった犯人を炙り出す為に土井警部は、テキサスを囮にして突っ込ませる。犯人は拳銃を所持しているというのに!

幸いテキサスは無事だったものの、仲間(ジーパン)を亡くしたばかりのゴリさんは激怒し、土井警部に猛抗議します。けど、ボス(石原裕次郎)に止められ、逆に謝罪させられちゃう。

もう刑事なんかやってられん! 心底嫌気が差したゴリさんは、親友からの誘いに気持ちが傾きます。

ところが追い討ちをかけるように、その親友=大高に麻薬密輸の疑惑が浮上、その容疑がゴリさんにまで及ぶ事態に。

八方塞がりで七転八倒のゴリさんを救ったのは、あくまで彼を信じて淡々と捜査を進める、七曲藤堂一家の仲間たち。本庁の言いなりに見えたボスも、実は上の圧力からゴリさんを守ってくれていた。

しかし最終的にゴリさんは親友を射殺する羽目になるという、試練に次ぐ試練。泣きっ面に蜂どころか蜂の巣状態なんだけど、信じあう仲間に支えられ、通算4通目となる辞表を取り下げるのでした。

子供の頃に観た時は、ちょっとクサいエピソードに感じたような記憶があるけど、今となっては非常に身につまされる話で、ゴリさんの気持ちが痛いほどよく解ります。

会議室の連中が現場で働く者を人間扱いしないのは、どこの組織でも同じなんですね。辞めたくなる瞬間はしょっちゅうあるけど、それでも踏みとどまれるのは、同僚のさりげない励ましがあるから、だったりもする。

大衆が『太陽にほえろ!』を支持したのは、多くの労働者が共感出来るストーリーと、七曲藤堂一家っていう理想的な職場、本当の家族みたいなチームの在り方が、心の拠り所になったからに違いありません。特にテキサス期からは藤堂チームのファミリー化が顕著になったように思います。

そんな中で浅野ゆう子さんは、やっぱり華やか過ぎたのかも知れません。もうちょっと地味で控えめな、妹的キャラじゃないとファミリーから浮いてしまう。

だけど今観ると、14歳の浅野さんはやっぱりキュートです。トレンディー女優として注目された浅野さんには全然興味ないけど、チャコを演じるゆう子ちゃんには正直、萌えますw

PS. 画像をよくご覧下さい。新米のテキサスが、どさくさに紛れてチャコのオッパイを触ってます。中学生かよ!?w
 
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『向かいのバズる家族』#01~#03

2019-04-23 00:00:04 | TVドラマ全般









 
2019年春シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜枠でスタートした連続ドラマ。このシーズン、刑事物以外で興味を引かれた唯一の番組がコレです。

その理由は2つあって、1つは主演が内田理央さんであること。最初はセクシーグラビアの素晴らしいお尻に惹かれたんだけど、『おっさんずラブ』等のドラマでお見かけし、あらためて可愛いと思ったし、しっかりした演技をされてて注目してました。

そしてもう1つは、SNSにまつわるトラブルを題材にしたドラマであること。私自身はツイッターにも動画配信にも興味が無いんだけど、ブログは完全に生活の一部というか、今やブログを書くために生きてるような節もあり、またネット上のトラブルに巻き込まれたり自ら起こした経験もあるもんで、いま最も身近な問題と言っても決して過言じゃない。

「バズる」っていうのはネット上で大多数から注目されることで、言わば「炎上」のポジティブ版みたいな意味なんですね。このドラマを観て初めて知りました。

単に奇抜な(たいていは下らない)ことをして世間の注目を浴びたいだけのバカは知った事じゃないけど、自分が発信するものに対する「フォロワー」の数が増えると嬉しいっていう気持ちはよく解ります。

ちょっと話が逸れますけど、最近このブログの掲載元であるgoo blogさんがデザインや機能をリニューアルして、スマホ版の表紙にフォロワー数が大きく表示されるようになっちゃいました。

この場合のフォロワー数って、わざわざgoo blogに入会して読者登録してくれた人の数を指すんだけど、ウチは今のところ「3フォロワー」。これって、まるで3人しか読んでる人がいないみたいでめっちゃイヤなんですけどw(もちろん実際はもっと沢山の方が閲覧されてます)

そんな何の参考にもならない数字をことさら大きく表示する意図が全然分かんないし、レイアウトも超絶にダサいし、リニューアルされて良くなった要素がほぼ皆無。スタッフブログのコメント欄にはユーザー達からのクレームが殺到してるってのに、改善する気配はまるで無し。いったい何をやってくれてんだ、goo blogさんよ?(乳首)

閑話休題。とにかく、そういったネット上のお祭りやトラブルに翻弄されるファミリーの物語ってことで、大いに興味を引かれたし、実際観たら想像以上に面白かったです。

理央さん扮する長女は、カフェで雇われ店長を務めてるんだけど、タチの悪いクレーマーに謝ってる姿を客に盗撮され、それがネット上で拡散されるや「ここの店長、可愛い!」ってことで一躍注目……いや、バズっちゃうワケです。

で、カフェは店長目当ての客が連日押しかけ大繁盛。アイドル気分も味わえて彼女は舞い上がるんだけど、そのキッカケを作ったクレーマーのおじさんは逆に「炎上」の果てに職を失する羽目になり……

高岡早紀さん扮する母親は、自ら出演する簡単クッキングの動画配信にハマってて、顔はもちろん肌の露出も(フォロワーたちに乗せられて)増えつつあり、そのうち大ヤケドしそうな予感です。

木下隆行さん扮する父親はテレビ番組の下請けプロデューサーで、新番組のドラマでキャスティングに失敗し、ただいま大炎上中w

で、那智くん扮する長男は、正義の名の下で火消し役に回るんだけど、その喧嘩腰の書き込みがまた火に油を注ぎそう。

家族それぞれネットに夢中でお互い無関心なんだけど、例えば理央さんのカフェで働く調理師が早紀さんの動画にハマってたり、木下さんのドラマの主演俳優が理央さんの画像を見て会いに来たりと、本人たちが気づかない内に繋がってるのが可笑しいし、それがまたトラブルを生んで行きそうで楽しみです。

だけど私が一番このドラマに惹かれたのは、理央さんの裏の顔=「なまはげチョップ」の存在なんですよね。

マジメな理央さんは、いつも笑顔で模範的な店長を演じてるんだけど、それで溜まったストレスをぶつける相手がいない。で、子供の頃に自作したナマハゲのお面を被り、カラオケBOXでラップに乗せて罵詈雑言を吐き出し、それを自撮りして動画配信するという密かな趣味がある。それが「なまはげチョップ」。

自分のセレブ自慢や幸せアピールのSNSなんか糞食らえだけど、この「なまはげチョップ」には共感できます。「破滅です」を連呼する私のブログは完全に同じカテゴリーでしょうw 理央さんのラップがまた上手なんですよねw

カレシが出来そうになり、一度は捨てようとしたナマハゲのお面が、どうしても捨てられない理央さん。バズって調子に乗った自分を反省し、生配信で事態終息を宣言するつもりが、フォロワー数1万人超えの状況に舞い上がり、つい「なまはげチョップ」動画の宣伝をしてしまう理央さんw

そう、これは単なる喜劇じゃなくて、彼女がいつか「なまはげチョップ」を卒業し、本当の意味で自立するまでを描く成長ドラマなんですよね。それが根っこにあるから面白いし、ハートにも響いて来る。

今どきの題材を取り上げながら、実はごく普遍的な成長ストーリー。古今東西、優れたドラマってそういうもんだと思います。

そんな理央さんの脱皮を見届けたいし、木下さんの炎上ドラマがどうなっちゃうかも興味津々でw、これは2019年春のナンバー1ドラマ……っていうか最後まで観られる唯一の連ドラになりそうです。
 
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『特捜9』2―#01

2019-04-22 00:15:09 | 刑事ドラマ2000年~









 
2019年春シーズン、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠でスタートした『特捜9』のセカンドシーズン。

前身は2006年から2017年まで12シーズン続いた『警視庁捜査一課9係』で、主役の加納係長を演じた渡瀬恒彦さんの急逝により「9係解散」そして「特捜9新設につき再結集」という形で2018年に仕切り直しとなりました。

加納係長の右腕だった浅輪刑事(井ノ原快彦)が主任に昇格、そして新班長の宗方警部(寺尾 聰)、新米の新藤刑事(山田裕貴)が加入したほか、レギュラー陣の羽田美智子、津田寛治、吹越 満、田口浩正、中越典子、原 沙知絵、里見浩太朗らはそのまま続投となりました。

『~9係』からトータルすると『科捜研の女』『相棒』に次ぐ長寿シリーズって事になるんでしょうか? この3本の中では『特捜9』が最もスタンダードな、つまり『太陽にほえろ!』に近いスタイルの刑事ドラマかと思います。

つまり個性豊かな刑事たちのチームワークを描いた作品なんだけど、他に類を見ないユニークな点が1つあって、それはコンビの組み合わせが完全に固定されてること。

刑事が必ず2人1組で行動するのは捜査のセオリーなんだけど、その組み合わせをエピソード毎に替えていくのも集団刑事ドラマの定石でした。そうすることでマンネリを防いだり、演じる俳優さんたちのスケジュールを調整できるメリットがあるからだろうと思います。バディ物の『あぶない刑事』でさえ、タカ&ユージがそれぞれ他の刑事とコンビを組む場面もしばしばありました。

それが『特捜9』の場合、『~9係』の時代から一貫して渡瀬&井ノ原、羽田&津田、吹越&田口、そして井ノ原&山田の組み合わせを替えないですよね。替えて行った方が創り手はラクな筈ですから、その点には相当なこだわりがあるんだろうと思います。

もしかすると、コンビの組み合わせを固定することで「バディ物」の面白さと「チーム物」の面白さを両立させようとしてるのかも知れません。つまり3種のバディ物を同時進行させて、最後に合流することでチーム物に切り替える、一粒で二度美味しいキャラメル方式。

実際、各ストーリー自体は凡庸な謎解き物でも、それぞれのコンビによる掛け合いの楽しさや絆のドラマが加わることで、決して退屈しない仕上がりになってる。そこがこのシリーズの人気を支えてるような気がします。

今回のシーズン2第1話は、若い主任の井ノ原くん&新米の山田くんのコンビによる、若者どうしならではのぶつかり合いと熱い絆が描かれ、青春ドラマみたいな味わいがありました。あわや殉職!?っていう展開もあり、やっぱ『太陽にほえろ!』を彷彿させます。

そして吹越さんが『デカワンコ』そのまんまのノリで田口さんをイジりまくる中堅お笑いコンビと、羽田さん側には全然その気が無いのに異性を意識しまくる津田さんの男女コンビ。それぞれに違った味わいがあるんですよね。

残念なのは、寺尾聰さんが『西部警察』における石原裕次郎さんみたいに、要所要所で井ノ原くんをサポートするアドバイザー的な役割しか担ってないこと。年齢を考えれば仕方がないんだけど、渡瀬さんみたいに現場でも活躍して欲しかった。

確かに「いるだけ」で充分な存在感を放つ人ではあるけど、なんだかニュースやワイドショーでキャスターの横に座ってるだけで高いギャラを取る、どっかの大御所コメンテーターみたいでちょっと幻滅です。

そんなワケで、毎週録画してまで観たいとは思わないけど、観れば確実にそれなりに楽しめるという、いかにもテレビ朝日の刑事ドラマらしいシリーズの1本です。
 
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『科捜研の女』19―#01

2019-04-21 00:00:16 | 刑事ドラマ2000年~









 
2019年春シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠でスタートした、人気シリーズの第19弾。

1999年からスタートし、今年は番組20周年&テレビ朝日開局60周年の節目って事で、なんと1年間の連続放映が決定! この世知辛いご時世のなか、いかに安定した人気と視聴率が約束された番組かっていう証明ですよね。

その人気の秘密を私なりに考察すると、まず1つにはキャラクターたちの等身大の魅力が挙げられると思います。沢口靖子さん演じる法医研究員=榊マリコは優等生だしちょっと浮世離れした感じはあるけど、決して飛び抜けた天才でもなければ変人でもない。

ひとりの天才(たいてい変人)が特殊能力で事件の謎を解くんじゃなくて、科学捜査のプロフェッショナルたちが地道な作業を積み重ねて真実へと辿り着く、つまり我々視聴者と変わらない普通の人たちが、努力して成果を掴みとる物語。老若男女、誰が観ても共感出来るはずです。

そして不快な人物がひとりも出てこない、その居心地の良さ。警察組織内の対立だの陰謀だのはいっさい描かないし、主人公をむやみに目の敵にするような輩も登場しない。番組初期は違ってたみたいだけど、長年やってる内にそういう無駄がどんどん削がれていったんだろうと思います。

今回は檀れい扮する科学警察研究所の女性主任、すなわち「科警研の女」が登場し、マリコらの鑑定と推理にことごとく異を唱えるんだけど、ちゃんと筋が通ってるし、自分の間違いに気づけば素直に謝る好人物として描かれてました。

この作品を観てると、他の刑事ドラマがいかに余計な描写や無駄なキャラクターで尺を浪費してるかがよく判ります。ただ捜査をして事件を解決する。それだけでちゃんと面白いドラマになるんですよね。

もちろん、それには優れた脚本と魅力的なキャラクター、そしてキャストの存在が欠かせません。実直な沢口靖子さんの魅力を最大限に活かすべく、一見地味だけど確かな実力を持つバイプレーヤーたちが彼女をもり立ててます。

それと私が特に好きなのが、絶妙なさじ加減による独特なユーモア感覚。誰ひとりとしてフザケてないのに、そこはかとなく可笑しいという大人の笑い。

そのユーモアをさらに進化させたのが、姉妹番組とも言えそうな『警視庁捜査一課長』シリーズで、主演はこの『科捜研~』シリーズにも土門刑事役でレギュラー出演されてる内藤剛志さん。

で、『科捜研~』で内藤さんの上司を演じてる金田明夫さんが、『~捜査一課長』では内藤さんの部下を演じてるw 物凄くマジメな番組なのにそういうお遊びが随所に隠されてて、それを我々が見つけていく楽しさがあるんですよね。しっかり観てる人にだけ分かる、けど別に分からなくても本筋には影響しないという。

そういうお遊びは他の番組でもやってる事ではあるけど、特にこの両番組のユーモアには品があるというか、オトナの味わいがあって私は好きです。

そう、抜群の安定感と、この品の良さが『科捜研の女』シリーズ最大の魅力であり、長く広く愛されてる秘訣なんだろうと思います。

セクシー画像は、京都の舞妓さんにして真犯人の役を演じた、片山萌美さん。グラビアアイドル出身だけど舞台演劇にも数多く出演されており、今後の活躍が期待できる女優さんの1人です。
 
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