









2019年春シーズン、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠でスタートした『特捜9』のセカンドシーズン。
前身は2006年から2017年まで12シーズン続いた『警視庁捜査一課9係』で、主役の加納係長を演じた渡瀬恒彦さんの急逝により「9係解散」そして「特捜9新設につき再結集」という形で2018年に仕切り直しとなりました。
加納係長の右腕だった浅輪刑事(井ノ原快彦)が主任に昇格、そして新班長の宗方警部(寺尾 聰)、新米の新藤刑事(山田裕貴)が加入したほか、レギュラー陣の羽田美智子、津田寛治、吹越 満、田口浩正、中越典子、原 沙知絵、里見浩太朗らはそのまま続投となりました。
『~9係』からトータルすると『科捜研の女』『相棒』に次ぐ長寿シリーズって事になるんでしょうか? この3本の中では『特捜9』が最もスタンダードな、つまり『太陽にほえろ!』に近いスタイルの刑事ドラマかと思います。
つまり個性豊かな刑事たちのチームワークを描いた作品なんだけど、他に類を見ないユニークな点が1つあって、それはコンビの組み合わせが完全に固定されてること。
刑事が必ず2人1組で行動するのは捜査のセオリーなんだけど、その組み合わせをエピソード毎に替えていくのも集団刑事ドラマの定石でした。そうすることでマンネリを防いだり、演じる俳優さんたちのスケジュールを調整できるメリットがあるからだろうと思います。バディ物の『あぶない刑事』でさえ、タカ&ユージがそれぞれ他の刑事とコンビを組む場面もしばしばありました。
それが『特捜9』の場合、『~9係』の時代から一貫して渡瀬&井ノ原、羽田&津田、吹越&田口、そして井ノ原&山田の組み合わせを替えないですよね。替えて行った方が創り手はラクな筈ですから、その点には相当なこだわりがあるんだろうと思います。
もしかすると、コンビの組み合わせを固定することで「バディ物」の面白さと「チーム物」の面白さを両立させようとしてるのかも知れません。つまり3種のバディ物を同時進行させて、最後に合流することでチーム物に切り替える、一粒で二度美味しいキャラメル方式。
実際、各ストーリー自体は凡庸な謎解き物でも、それぞれのコンビによる掛け合いの楽しさや絆のドラマが加わることで、決して退屈しない仕上がりになってる。そこがこのシリーズの人気を支えてるような気がします。
今回のシーズン2第1話は、若い主任の井ノ原くん&新米の山田くんのコンビによる、若者どうしならではのぶつかり合いと熱い絆が描かれ、青春ドラマみたいな味わいがありました。あわや殉職!?っていう展開もあり、やっぱ『太陽にほえろ!』を彷彿させます。
そして吹越さんが『デカワンコ』そのまんまのノリで田口さんをイジりまくる中堅お笑いコンビと、羽田さん側には全然その気が無いのに異性を意識しまくる津田さんの男女コンビ。それぞれに違った味わいがあるんですよね。
残念なのは、寺尾聰さんが『西部警察』における石原裕次郎さんみたいに、要所要所で井ノ原くんをサポートするアドバイザー的な役割しか担ってないこと。年齢を考えれば仕方がないんだけど、渡瀬さんみたいに現場でも活躍して欲しかった。
確かに「いるだけ」で充分な存在感を放つ人ではあるけど、なんだかニュースやワイドショーでキャスターの横に座ってるだけで高いギャラを取る、どっかの大御所コメンテーターみたいでちょっと幻滅です。
そんなワケで、毎週録画してまで観たいとは思わないけど、観れば確実にそれなりに楽しめるという、いかにもテレビ朝日の刑事ドラマらしいシリーズの1本です。
以降も破裏拳ポリマー実写版のダメダメな相方、青春映画、現在の朝ドラなどいろんな役のできるイケメンさんですよね!
通勤時ロケに遭遇したことがあるご縁なので、一度見てみます!
基本は1話完結なので、途中参加でも普通に楽しめるドラマかと思います。
新藤刑事はまだ青二才で確かにウザいけど、これから成長して落ち着いたら格好良くなるかも知れません。