ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『誇りの報酬』#25

2019-01-17 00:10:04 | 刑事ドラマ'80年代







 
☆第25話『あの美女は誰だ!?』

(1986.3.30.OA/脚本=柏原寛司/監督=西村 潔)

第24話で篠ひろ子さん扮する捜査一課長秘書・真山幸子(篠ひろ子)が退職という形で降板、代わりに今回から伊藤 蘭さん扮する結城 緑 巡査部長がレギュラー入りします。

脚本が柏原寛司さんなので、舞台は横浜w 窃盗団メンバーの男が殺害され、その現場からニセの一万円札が発見されます。恐らく偽札と知らずに現金を盗んだ窃盗犯が、偽造組織に消された。そう睨んだ田沼課長(柳生 博)は偽造組織を摘発すべく、芹沢刑事(中村雅俊)を窃盗団に潜入させます。

で、その窃盗団を以前からマークしてた練馬中央署の結城刑事が、勘違いして芹沢を逮捕する等のすったもんだがあり、窃盗団を追ってた結城が偽札組織を、偽札組織を追ってた芹沢が窃盗団を逮捕するという、ややこしい結果に。

その辣腕ぶりが評価されたのか、結城刑事は本庁捜査一課に栄転となり、秘書じゃなく捜査官として芹沢や萩原(根津甚八)と一緒に働くことになります。

いかにも'80年代らしい軽いノリと荒唐無稽な展開。新レギュラーの登場回ですから勢いよくハッピーに行こう!って事なんでしょう。

単独で行動し、ガンガン敵地に乗り込んでいく結城刑事は現実離れしてるけど、女性の描かれ方が進化し、やがて主役となっていく過渡期のキャラクターと言えましょう。

これより10年前の『俺たちの勲章』における紅一点は坂口良子さんで、現場には出ないどころか中野刑事(松田優作)にしょっちゅうお尻を触られて「いやん、もう!」なんて言ってるようなマスコットキャラでした。僅か10年で随分と変わったもんです。

結城刑事の使用拳銃は中型オートのベレッタM1934。ちなみに芹沢刑事はコルト・ローマンMk-III2インチ、萩原はS&W M29(44マグナム)6.5インチを使用。

そんなワケで『誇りの報酬』も後半戦に突入し、より軽く、よりオシャレにアクティブに、いよいよ『あぶない刑事』の世界へと近づいて行きます。

なお、窃盗団のリーダーを演じたのは若き日の平泉 成さん。血気盛んで髪の毛フサフサですw

伊藤蘭さんは当時31歳。ご存じの通りアイドルユニット「キャンディーズ」のリーダー的存在で、解散後は一旦「普通の女の子」に戻ったものの'80年の映画『ヒポクラテスたち』で女優業を始動、高い評価を受けて現在まで女優一筋で活躍を続けておられます。

『誇りの報酬』出演の2年後に水谷豊さんと結婚、長女の趣里さんも女優として活躍中。蘭さんご自身も映画『少年H』で28年ぶりに水谷さんと夫婦共演される等、まだまだ健在です。
 
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『誇りの報酬』#18

2019-01-16 12:00:06 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第18話『真昼の挑戦者』

(1986.2.9.OA/脚本=大原 豊/監督=西村 潔)

萩原刑事(根津甚八)はある夜、若い女性が暴漢に襲われてる現場に遭遇し、自慢のボクシングで暴漢を撃退し、女性を救います。

後日、お礼を言いに警視庁を訪れたその女性=由紀子(園みどり)が有名な国会議員の娘だと知って、出世欲の強い田沼課長(柳生 博)は大喜び。その美しさに芹沢刑事(中村雅俊)も鼻の下を伸ばします。

そして数日後、萩原の住むマンションの近くで若いOLの絞殺死体が発見されます。その首に残ったロープの痕跡から、犯人は腕っぷしの強い左利きの男と推定され、芹沢&萩原は所轄署と連携して捜査を開始します。

所轄署の刑事(鶴田 忍)と組んだ芹沢は被害者の交遊関係を調べ、彼女と別れ話がこじれて口論していた恋人=落合を重要参考人として引っ張りますが、本人は犯行を否定。物的証拠もなく釈放された翌日に、落合は絞殺死体となって発見されます。どうやらOL殺しと同一犯の仕業らしい……

萩原は、刑務所を仮釈放になったばかりの前科者=佐川(阿藤 快、当時のクレジットは阿藤 海)に眼をつけます。

佐川は5年前に似たような手口による殺人を犯し、当時は所轄の刑事だった萩原に逮捕された、左利きの男。殺されたOLとも落合とも接点は無いものの、殺したのは佐川だと萩原は直感したのでした。

でも、動機が見当たらない。萩原はなぜ、佐川が犯人だと決めつけるのか? 彼を徹底マークして挑発する萩原に、芹沢が疑問をぶつけます。

「佐川がお前を恨んでるんだったら、お前を狙う筈じゃないのか?」

「ヤツは俺に挑戦してるんだ。5年前と同じ手口で、もう一度パクってみろってな。そう思えば辻褄が合う」

そんな動機で殺されたんじゃ被害者はたまったもんじゃないけど、萩原の勘は当たってました。彼が国会議員の娘を暴漢から救ったことを報道で知った佐川は、由紀子を拉致監禁し、ロープで絞め殺そうとします。

父親から由紀子が行方不明になったことを聞いた萩原&芹沢は、佐川が使ってる車を緊急手配し、すんでのところで監禁場所を見つけ、彼女を救出します。

「手を出すなよ」

加勢しようとする芹沢を制止し、萩原は佐川と1対1の殴り合いを始めるのでした。

こういう西部劇チックな展開、私は大好物です。昨今の刑事ドラマじゃすっかり見られなくなった、男どうしのタイマン勝負。どうせ刑事が勝つと分かっててもシビれます。敵が阿藤快さんみたいな大男、しかも反則技を使いまくるド外道と来れば、なお一層盛り上がります。最高!

もちろん、萩原はボロボロになりながらも最後には勝利し、佐川に手錠を掛けます。そして父親の胸で震える由紀子に「大丈夫ですか?」と声を掛けるのですが……

「やめてくれっ! あっ、いや……やめて下さい。もう、沢山です」

萩原を拒絶した父親は、そそくさと由紀子を連れて帰るのでした。

「萩原……」

「いいんだ、何も言うな」

暴漢から救ってもらった恩はあっても、萩原と関わったばかりに由紀子は見知らぬ人間に殺されそうになった。父親が拒絶する気持ちもよく解ります。

こういうほろ苦い結末も、昭和刑事ドラマの魅力ですよね。だけど残念だったのは、エンディング主題歌に乗せて映像だけで語られるエピローグの中に、由紀子を見舞いに行った萩原を、笑顔で迎えた父親が頭を下げる描写があるんですよね。たぶん「先日はつい……すみませんでした」みたいなことを言ってる。

そんなフォロー、無い方が良かったと私は思います。ほろ苦いまま終わった方が、余韻が残って良いですよ。「挫折の美学」がモットーだった『俺たちの勲章』なら絶対そうした筈です。

このへんが'80年代なんですよね。明るく楽しく、なんでもかんでもハッピーにまとめちゃう軽薄な時代。そこに美学はありません。

とは言え、それを差し引いても見応えあるエピソードでした。以前レビューした第3話といい、刑事VS凶悪犯の対決ドラマは燃えます。『あぶない刑事』にもありましたよね。

そういうのがパタッと無くなっちゃうのは『踊る大捜査線』以降でしょうか? 刑事ドラマもすっかり女性客に媚びるようになり、命懸けのタイマン勝負なんていう野蛮な、頭の悪そうな描写は避けられるようになっちゃった。今はただ、ひたすら突っ立って謎解きするばかり。つまらん。まったくつまらん。まぁ、そういうのが似合う役者もいなくなっちゃいましたからね。破滅です。

由紀子に扮した園みどりさんは、当時23歳。'83年の映画『刑事物語2/りんごの詩』のヒロイン役でデビュー、その翌年に『太陽にほえろ!』のボギー刑事(世良公則)殉職編にもゲスト出演され、私にとっては忘れられない女優さんとなりました。

なのに、現在『警視庁捜査一課長』にレギュラー出演されてる未來貴子さんが、園みどりさんと同一人物であることを、私はつい最近ムーミンさんに教わるまで知りませんでしたm(__)m

いい女優さんなのに見かけなくなったなあって思ってたら、'87年あたりに改名され、ずっと第一線で活躍されてたんですね。私の眼は節穴ですm(__)m

ヌード写真はデビュー当時、21歳頃のものと思われます。素晴らしい!
 
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『誇りの報酬』#16

2019-01-16 00:00:05 | 刑事ドラマ'80年代









 
番組も1クールを経過し、オープニングのテーマ曲がバラード調からアップテンポ・バージョンに替わり、タイトルバックの映像も一部差し替えられ、よりアクティブさが強調されるようになりました。

確かに、バラード調の曲はメリハリが無くフワッとしてて、あの時代の空気、番組のカラーにも合ってない気がしてました。新バージョンの方が断然グッドです。

これらの変更によって『俺たちの勲章』の続編というイメージから離れ、'80年代ならではのポップなバディ・アクション刑事ドラマ、すなわち『あぶない刑事』前身としての『誇りの報酬』独自の世界観が確立されたように思います。

ちなみに音楽担当はタケカワユキヒデ&浅野孝己、音楽プロデューサーはジョニー野村という布陣。エンディング主題歌『日付変更線』を唄うのはもちろん、主演の中村雅俊さん。

なおオープニング変更に伴い、喫茶店「バルビゾン」のウエイトレス役も堀江しのぶさんから知らない女優さんに代わりました。本筋に関わらないチョイ役で毎週出演するには、堀江さんはちょっとメジャー過ぎたのかも知れません。ぼいぃぃ~ん!


☆第16話『三河湾に哀歌をきいた』

(1986.1.26.OA/脚本=長野 洋/監督=木下 亮)

新橋のサラ金に二人組の強盗が侵入、金庫の現金を強奪しようとするも途中で発見され、警備員の一人に重傷を負わせて逃走します。

その犯人たちはすぐに捕まるんだけど、金庫にあった現金500万円が行方不明。犯人は二人とも、奪う前に見つかったから「俺たちは盗ってない」と主張。

で、同じ現場にいながら負傷しなかった若い警備員=野口(安藤一夫)がネコババしたと睨んだ芹沢(中村雅俊)&萩原(根津甚八)は、彼をマークしますが取り逃がし、潜伏先と見られる愛知県の蒲郡(野口の生まれ故郷)へと飛びます。

野口は同じ蒲郡出身の婚約者=恵子(甲斐智枝美)に「蒲郡で会いたい」と連絡を入れており、彼を自首させたい恵子は芹沢たちと同行するのでした。

後はもう、三河湾の観光名所を巡る逃走&追跡劇が繰り広げられ、野口の口を封じたい黒幕(立川貴司)も絡んで吸った揉んだした挙げ句、もちろん最終的には野口も黒幕も逮捕され一件落着。地方ロケ編ってのは得てしてこんなもん、それ以上でも以下でもない、ってな内容でした。

ただ、最後に芹沢が野口を説得するときの台詞は良かったです。

「これ以上逃げ回ってどうするんだ? 刑務所に入るのがそんなに怖いのか? お前はまだいい。世間と隔離されて生きていけるんだからな。だが彼女は違うぞ! 彼女はこれから先、世間の冷たい眼を浴びながら生きていかなくちゃいけないんだ! 彼女こそこれから先どうやって生きていったらいいんだっ!?」

それと、地元の新米刑事役で登場した若い俳優さん。無名にしちゃヤケに演技が上手いなぁと思ったら、今やチョー売れっ子バイプレーヤーの光石 研さんなんですね。クレジットを見るまで全然判りませんでした。

ストーリーとしては凡作だけど、光石さんの好演と甲斐智枝美さんの熱演に救われました。キャスティングの勝利かと思います。

ヌード画像はもちろん甲斐智枝美さん、当時22歳。『スター誕生!』が生んだアイドル歌手で、本作と同じ'86年に『太陽にほえろ!PART2』第2話にもゲスト出演されてます。

本作でのしっとりとしたOL役とは対照的に、『太陽~』ではキャピキャピした女子大生の役。どちらも違和感なく魅力的に演じておられて、女優さんとしての才能を感じます。が、'90年の結婚を機に引退され、2006年に自ら命を絶たれてしまいました。合掌。
 
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『誇りの報酬』#03

2019-01-15 12:00:10 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第3話『賭けをするなら命がけ』

(1985.10.27.OA/脚本=大川俊道/監督=木下 亮)

ある夜、芹沢刑事(中村雅俊)が毎晩のように通ってた花屋の可憐な店員=紀子(白石まるみ)が、芹沢の目の前で狙撃され、即死します。

芹沢がその店に通い詰めてたのは勿論、紀子のことが好きだったから。その彼女が、もしかすると自分の身代わりで撃たれたかも知れない……芹沢は焦燥しますが、犯人に心当たりがありません。

すると自宅に電話が掛かって来て、芹沢は犯人らしき男に呼び出されます。指定された公園に出向くと、今度は芹沢の近くを通り掛かったOLが狙撃され、やはり即死しちゃうのでした。

犯人はやはり芹沢を狙ってるとしか思えないんだけど、狙いを外したにしては被害者たちの急所を1発で撃ち抜いてる。これには何か裏がある、と萩原刑事(根津甚八)は睨みます。

捜査の結果、二人の被害者に共通点があることが判明します。それは1年前に起こった通り魔殺人事件。雑居ビルのエレベーター内で、女子大生が酔っぱらいのヤクザに刺し殺されるのを、乗り合わせた二人のサラリーマンは怖くて救えなかった。そして今回殺された二人の女性は、そのサラリーマンたちの恋人と妻だった!

容疑者として浮かんだ若者=佐竹(遠藤憲一)は、通り魔に殺された女子大生を愛していた。つまり、彼女を見殺しにしたサラリーマンたちに、愛する者の命を奪われる悲しみと苦しみを味わわせる為に(あえて本人ではなく)それぞれのパートナーを殺した。その動機をカモフラージュする為に、芹沢はただ利用されただけなのでした。

「冗談じゃないっ、俺を何だと思ってるんだっ!? ふざけやがって、俺は絶対許さねえぞっ!!」

ハイパー激怒する芹沢だけど、物的証拠は何もありません。焦った芹沢は佐竹の部屋に踏み込み、礼状も無しで家宅捜索するんだけど、凶器のライフルは見つかりません。

しかも佐竹に殴る蹴るの暴行を働いた芹沢は、全治三週間の怪我を負わせてしまい、あえなく謹慎処分に。もちろん、これじゃ二度と家宅捜索は出来ません。間違いなく佐竹が犯人なのに、手も足も出ない……

「貴様のような奴は、俺の手でぶっ殺してやるっ!」

ついに芹沢は気が狂ったのか、丸腰の佐竹に銃口を向け、止めに入った萩原の腹部に弾丸をぶち込みます。

「ひっ、人殺し!」

仰天し、必死に逃げ回る佐竹は、ついに隠し場所からライフルを取り出すんだけど、死んだ筈の萩原に44マグナムで弾き飛ばされちゃいます。

「危なかったな、相棒」

「しかし、こんなにうまくいくとは思わなかった」

「無茶するよ、お前は。カラの拳銃で本物のライフルに立ち向かうんだから」

「へへ、お前の腕を信じてたのよ」

「よく言うよ」

芹沢の拳銃に込められた弾丸は、すべて空砲だった。佐竹に証拠のライフルを出させる為に、二人はひと芝居打ったのでした。

さすが大川俊道さんの脚本らしい、ハードで「ぶっ飛んだ」展開とノリの良さ。さらにナルシーで小粋なジョークが加われば『あぶない刑事』そのもので、既に素地は出来上がってたワケですね。

容疑が佐竹に定まってから以降の展開はイーストウッド御大の出世作『ダーティハリー』1作目を彷彿させるものがあり、たぶん大川さんは意識されてただろうと思います。

あの「スコーピオン」にも匹敵するサイコなライフル魔を演じたのが、若き日の遠藤憲一さん。みどころ満載のエピソードと言えましょう。

セクシー画像は、最初の犠牲者を演じた白石まるみさん、当時22歳。デビューはTBSドラマ『ムー一族』だけど、私が初めて拝見したのは日テレ青春シリーズの『あさひが丘の大統領』で、井上純一さんとのキスシーンが話題になってました。

その後も『噂の刑事トミーとマツ』や『特捜最前線』など数々のドラマにゲスト出演、中でも『太陽にほえろ!』は通算5回の最多出演で、我々『太陽~』マニアのミューズ的存在だった女優さんでもあります。

バラエティーやラジオ番組でも活躍され、近年も娘さんでグラビアアイドルの守永真彩さんと親子でコント番組に出られたり等、元気に活動されてる模様。ヌード写真は25~26歳頃のものと思われます。
 
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『五番目の刑事』#02

2019-01-15 00:00:33 | 刑事ドラマ'60年代









 
☆第2話『けだもの狩り』(1969.10.9.OA/脚本=石森史郎/監督=永野靖忠)

原田(原田芳雄)が隣町の所轄署との合同捜査でコンビを組んだ、ベテランの鈴木刑事(信 欽三)が何者かに襲われ、拳銃を奪われてしまいます。

犯人の顔は見なかったものの左利きであることが判明し、鈴木は家出したまま行方不明の息子=武(寺田 農)に疑いの眼を向けます。最近あちこちで借金して回ってるらしい武も、やはり左利きなのでした。

で、武と恋仲らしいソープ嬢の春恵(太地喜和子)と会った鈴木は、彼女が妊娠していることを知り、その為に武はカネが必要になったんだろうと疑惑をますます募らせます。

そうこうしてる間に鈴木の拳銃を使った殺人事件が連続発生。武のアパートを突き止めた鈴木は、机の引き出しから銃弾の空薬莢を見つけてしまうのでした。

一方、事件の背後に暴力団どうしの抗争が絡んでると睨んだ原田は、その線から捜査を進め、笹内(石川徹郎)という男に眼をつけます。笹内は、ソープ嬢・春恵の実の兄だった!

果たして、真犯人は武なのか笹内なのか? それぞれが捜査により犯人の居所をつかみ、二人で踏み込む鈴木と原田。そこに潜んでいたのは果たして……?

暗闇から狙撃され、必死に「銃を捨てるんだ武!」と叫ぶ鈴木をかばって撃たれたのは、息子の武その人でした。

そう、真犯人は笹内だった。武は恋人の兄である笹内の犯行を知り、鈴木に相談するつもりだったのに、父は息子が自分を恨んでるものと思い込み、犯人だと決めつけてしまった。

「父さん……春恵のこと、頼むよ……あの子は父さんが思ってるようなアバズレじゃない」

そう言って武は、涙を流す鈴木の腕に抱かれ、息を引き取るのでした。

これもまぁ悲惨な話だけど、ゲーム感覚で作られた昨今のドラマや漫画みたいな陰湿さは感じません。そこに描かれてるのは父と息子の確執、ありがちな心のすれ違いであり、こんな事にならないようコミュニケーションを大切にしようっていう創り手のメッセージでしょうから、ちゃんと魂がこもってます。

一番可哀想なのは、恋人(そしてお腹にいる子の父親)を失い、同時に凶悪犯の妹になってしまった春恵で、原田がその事実を彼女に伝える無音のラストシーンがとても切ないです。

演じる太地喜和子さんは当時27歳か28歳くらいだけど、妖艶さと純朴さを兼ね備えた少女っぽいエロ可愛さで、二階堂ふみさんにもよく似てて、萌えますw

この僅か1年後にゲスト出演される『太陽にほえろ!』第11話では、実年齢より上のアバズレ人妻をこれまた違和感なく演じ、大女優の凄みを見せつけてくれます。ほんと素晴らしい女優さんです。

そして寺田農さんもお若い! いや、信欽三さんの息子役にしては大人っぽ過ぎるんだけどw そもそも主演の原田芳雄さんがとても30歳手前とは思えぬ貫禄ぶりですw

ストーリーの主役は完全にゲスト=鈴木親子で、レギュラーの刑事たちが単なるナビゲーターに過ぎないのがちょっと残念だけど、それこそが『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマの特徴なんですよね。これがもし『太陽~』なら、長さん(下川辰平)あたりがゲスト親子の悲劇を目の当たりにし、自分の息子との距離感を見つめ直すみたいな「共感」のドラマが描かれた筈です。

時代は巡り、現在は刑事のプライベートを描かない作品が主流になってますが、そろそろ一周して『太陽~』型の刑事ドラマが復活してもいい頃かも知れません。

謎解きメインの『相棒』型ドラマは(あくまで個人的に)早く廃れて欲しいんだけど、日本の景気がもっと良くならない限り、やっぱ安上がりに作れる謎解きモノが幅を利かせ続けるんでしょうね。破滅です。
 
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