建物の屋根の端で、小鳥の巣を発見した。差し渡し約15cmほど、浅いお椀形。外からはまったく見えない位置だった。鉄骨の隙間から枯れ草が数本垂れ下がっているのが変だと思って、鉄骨の上をのぞき込んでみると、もぬけのからの巣をみつけた。
巣には細い枯れ草が高密度に使用されていることや、少しばかり獣毛なども敷かれていることなどから、主を推測するとハクセキレイが一番有力候補かと思う。
巣の下に落ちた糞による汚れ具合から、ひな鳥が巣立った後だろうと判断して、巣を採集した。
素早くポリ袋に放り込んで、堅く口を縛った。
仕事場に戻って、巣の保管容器を作った。樹脂性収納ケースの底に、石けん水を薄く流し込み、フタ無しの小さくて浅い容器を置いて二重容器にした。浅い容器の上に、鳥の巣をポリ袋のままのせて、ポリ袋の端をハサミで大きく切った。
ポリ袋から何かがはい出してきても、石けん水に阻まれて脱出できないようにしておいた。
翌日、ポリ袋表面の端に、前日にはなかった5mmほどの黒っぽいカタマリのようなものをみつけた。黒っぽいカタマリはヒトの息を感じると、途端に四散した。
触れないように用心しつつルーペでカタマリから分散した点々を拡大してみると、それらはぜんぶスズメサシダニ Dermanyssus hirundinis トリサシダニOrnithonyssus sylviarum(7/4訂正、間違えてた)だった。
スズメのお宿とは違うと思っていたが、こんなヤツらのお宿だったというわけか。
血をくれそうなひとを、待ち受け中。
菌食性微小甲虫狙いで、鳥の巣に手を出しがちだが、ついつい吸血種の存在を忘れるのでヤバイ。