畳を叩くと落ちてきた全長0.3mmほどの赤いダニを観察してみた。新しい畳なのだが、締め切った室内に長期間置いたためにカビがはえて、ダニやらチャタテが目立つ状態になっていた。
室内で、赤い小さなダニがいるのは別に珍しいことではない。
ツメダニ、テングダニ、ハリクチダニなどの仲間であることが多い。
今回のは、ハリクチダニ属 Raphignathus のメスだった。この属は世界で50種以上記録されていて、広域分布種が多いし、未記載種やらシノニムやらが多い厄介なグループ。ハリクチダニは、いつも神経質に歩き回っていて、ヒトの身体に親しげに寄ってくるような様子はないが、生息密度が室内で高まると、居住者は皮疹に悩まされることもあるだろうと思われる。
この個体を同定してみた。触指の毛は先端節から9-4(爪も含める)-2-2-0で、眼のある側背板には毛が3本、後背板は背面の1/3程度まで発達していることなどで検索してみるとヤマハリクチダニ Raphignathus gracilis ということになった。
ドイツ、ロシア、中国、日本、アメリカ、アルジェリア、エジプト、イスラエル、トルコ、ニュージーランドなどから記録されって・・・世界中にいてるんやね。
日本の図鑑では落葉下の種とだけ簡単に記述されているけど、いろんな文献を読んでみると樹上生活者の傾向が強いようだ。室内塵からもすでに記録がある。
イエハリクチダニ Raphignathus domesticusというのもいて、日本特産の室内種らしいのだが、こちらはまだ標本すらみることができないでいる。