三田市の雑木林でヒメフタトゲホソヒラタムシ Silvanus lewisi ブナホソヒラタムシ Silvanoprus fagiを30個体ほど採集した。
積んである粗朶を叩くと落ちてきたが、その気になれば数百個体は採れそうな密度で生息していた。粗朶叩きはよくやる採集方法だが、こんなに沢山いる状況を見たことはなかった。いる所にはいるものだ。
もちろん現場では同定できるわけもなく、ちょっと大きめで黒っぽい個体や、小型で黄褐色の個体がそれぞれ別種にみえて、ホソヒラタムシ科を同所的にこんなに何種も採集できるとは運がいいなァなんて思っていた。
ところが、持ってかえってよく見ると、全部同じ種類で、以前に何回か採集したこともある種だったりと。
腹部にヒサシダニの一種 Scutacaridae gen. sp. が付着しているのが1個体だけいた。
ヒメフタトゲホソヒラタムシは、日本が基産地だが外来種とされていて、国内外の貯穀害虫のリストにもでてくることがある種だけれど、残念ながら私は食品工場でまだ遭遇したことがない。
思い出してみると、本種との初めての出会いは、20数年前の奄美大島、金作原林道の土場を夜に見にいった時なので、外来種というイメージが持てないところもある。
もともと、自然林に広く生息する種が、たまに建物内のカビでみつかることなんて、よくあることだと思う。ましてや昔から知られている種なのに、外来種という判断をした理由は何なのだろうって思う。
南西諸島から本土の自然林に普通にいて、食品工場内でも多数みつけたことがある種というと、ミツモンセマルヒラタムシ Psammoecus triguttatusもそうなのだけれど、こちらはナゼか外来種として扱われることはないようだ。
*2012年8月30日追記)その後も資料を集めてみたが、やはりSilvanoprusの分類はよく分からない。この記事では図説の検索を生半可にたどってfagiとしたけれど、欧州のサイトで図示されているfagiとは、前胸の突起の形状にかなり違いがみられる。関西の低地で採集される種は、ホソムネホソヒラタムシ Silvanoprus angusticollis でいいような気がする。