害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

コケから転がり落ちる難問

2008-01-22 23:55:00 | 自然観察

先日採集した和泉市のマルグンバイを科博に送って、名前が分かった。ミヤモトマルグンバイ Acalypta miyamotoi だった(忙しい中、時間を割いて同定してくださったT先生に多謝!)。この仲間は、個体群内での変異や、雌雄の形態差もかなりあるので分類は一筋縄ではいかないとのこと。他地域の翅端の翅室の列数が乱れている個体群をみていると、何がなんだか分からなくなっていたのだが、やはり専門家でないと難しいグループなのだと改めて感じた。

なんだか他の昆虫でも、この手の話題はいままでに聞いたことがあるような気がする。明確な区別点と思われているものが、標本が集まるにしたがってムニャムニャな感じになっていって、分類学者が再びスパッと線引きし直すまでは、分かる人がとても少ない状態なグループって結構あると思う。

そういえば、同じように冬にコケから採れるシコクチビマルトゲムシっていうチビコイ虫も、分類的に複雑な問題がいろいろあるらしい。
写真は四條畷市の室池付近で昨日採集した個体。
シコクチビマルトゲムシのことをいろいろ調べていると、文献にまたもやT先生の名前が!ああ、やっぱりコケつながりの虫は、研究してる人が少ないんやなー。多分、これらの難問がスッキリするのはまだまだ先のことに違いない。Simplocariashikokensis_2