数日前に、ある乾燥植物材料で、かなりまとまった数の生きたヤナギハカザリダニ Ameroseius plumosus をみつけた。
カビを食べるといろいろな本に書いてあるが、本当にカビカビなところではみかけたことがない。畳から検出されることがあるが、生息密度は低いし、たいてい古い死骸ばかり。
所々うっすらと菌糸が生えているところでなら、走り回っているのをみたことがあるが、どんなカビを食べているのかはよく分からない。体内の内容物をみると酵母みたいにみえるものが、消化管内に詰まっていたりする。
口のあたりをみていると、捕食行動をしそうに思われるけれど、明確な観察事例はないとされている。
文献ではヒトを刺咬することがあると書かれているものもあるが、ウチでは高密度の生息状況に出くわしたことがなく、基本的に無害種として扱っている。イヌの脱毛症で傷口付近にいたという論文もある。本種がたくさんいることが分かっている乾燥不十分な干し草には、裸で飛び込んだりすることをお勧めできない。「お日様のニオイがする」状態だったらOKだと思う。
グーグルブック*で調べていると、チェックリストを見つけたのでメモった。
Ameroseius Berlese, 1903
Kleemannia Oudemans, 1930
Primoseius Womersley, 1956
plumosus (Oudemans, 1902) (Seiulus)
macauleyi (Hughes, 1948) (Zercoseins)
macauleyi: Womersley, 1956 (Primoseius)
plumosus: Hughes, 1961 (Kleemania) (sic)
plumosus: Westerboer and Bernhard, 1963 (Ameroseius)
plumosus: Champ, 1965 (Kleemania) (sic)
plumosus: Champ, 1966 (Kleemania) (sic)
plumosa: Domrow, 1974 (Kleemannia)
plumosus: Hughes, 1976 (Kleemannia)
plumosa: Domrow, 1979 (Kleemannia)
plumosa: Lowry, 1980 (Kleemannia)
plumosus: Hallidai, 1997 (Ameroseius)
*HALLIDAY, B. (1998). Mites of Australia: a checklist and bibliographyから抜粋
偉い人たちのさまざまな苦労が、長い時を超えて今に続いてきていることが分かる。
sicというラテン語は「として」という意味で、ミススペルだけど「原文ノママ」だよということらしい。
ラテン語は興味深い言語だけれども、とてもややこしくて、ただでさえ難解な分類学をいっそう激ムズにしている嫌いがある。