害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ツブトゲダニの一種

2013-09-10 07:41:46 | 自然観察
先頃、日本各地のオサムシ類からコウチュウダニを探しているときには、まったく別の分類群のダニのほうが多かった。
サドマイマイカブリのさやばね下の後胸背板あたりにいたトゲダニ目は、ブドウの実のようなまん丸い体型だった。
オサムシ類は外側から鑑賞するだけというのが正しい虫なので、さやばねをメキョッとはずれかけるまで持ち上げたりするのは、自分の心にも何かが引き裂かれたような痛みが走るので、もうなんかツライ。
一度解体した甲虫の標本は、ニカワなどで元通りの外観に戻せば、ガクジュツ的には問題ないだろう。けれど、コレクターズアイテムとしては格下の「修理品」となり、「完品」とは呼んでもらえなくなる。どうでもいいことだが。
コナダニ団以外は観察するつもりはなかったけど、捨てるとバチが当たりそうだし、ナニやら気になるので球状トゲダニもプレパラートにしてみた。
カラダから中身を押し出して除去したあと、背板と体下面に分離した状態で標本にした。先のまるい棘が体下面のあちこちにみられた。
Iphidosoma_01



調べてみるとツブトゲダニの一種 Iphidosoma sp. (ツブトゲダニ科 Ologamasidae)の第二若虫だった。ツブトゲダニ科は成虫になると自由生活して、トビムシや線虫を捕食するらしい。

害虫駆除業務とはマッタク縁がないことがハッキリしているこんな科を、なにゆえ観察しているのか自分でもナゾである。

ナゾといえば、甲虫に便乗しているとされるツブトゲダニ若虫だけれども、何を食べてあんな超肥満児体型になったのだろう?
ブっといカラダで、さやばねと腹背板の間のキチキチな隙間をどうやってくぐり内部に入り込めたのだろう?最初はガリガリに痩せていたが、腹背板上に侵入した後に太ったとしたら、それは便乗ではなく寄生になるのでは?と疑問だらけ。
Iphidosoma_02


Iphidosoma_03


Iphidosoma_04