別にコナダニを集めようとは思っていないのだが、奇遇にお目にかかることしばしばである。
相生市の仕事先の裏山を覗いてみると、線下伐採による丸太が数本放置されていた。材に生じた多数の貝殻のようなカワラタケの隙間に目をやると、普通種のアカハバビロオオキノコがいた。次の瞬間、なぜかその丸太は我社の工事車両に積み込まれていた。
全長約50cmほど、大人の太ももくらいの太さのソレを狭い事務所のドコへ置く気?への答えは現在も熟考中。
ひとひらのカワラタケをむしって、実体顕微鏡で観察すると、やはり細長いコナダニがいた。いままで、多孔菌の傘の裏にいるゴミムシダマシ類だのキノコバエ類だのとかを眺めているときに、視野の端でみかけていたアレだ。カワラタケの管孔とピッタリサイズのコナダニで、強い光をあてると管孔にスッポリ入り込んで出て来なくなる。
普通種の名前くらいは知っておきたいので、プレパラートにしてみた。体形からムシクイコナダニの属と思っていたのだが違っていた。特徴的な歩行器がみられないし、背板のあたりにウロコ模様みたいなものがある。
調べてみると、ネット上で公開されている文献でうまい具合に属にたどり着いた。
Umakefeqという属。語尾がqで終わるって新鮮。
で、日本からは Umakefeq microophtalmus Klimov, 2000が記録されていた。ただし、成虫はロシアでのみ記録がある種が図示されているだけで、日本にもいる種はヒポプスだけで記載されていた。つまりこの文献だけでは、日本で採集された成虫について、属までの判断はできても、種までは特定できないということ。
文献を読んでいると、このコナダニはオオキノコムシの体表にヒポプスがみつかるとのこと。最初に見かけたアカハバビロオオキノコを、フィルムケースから取り出して調べてみると、ちゃんと文献どおりにヒポプスがへんばりついていた。
しかも、U. microophtalmusと特徴はほぼ一致した。
同じカワラタケ上で見つかったとはいえ、ヒポプスと成虫の関係はハッキリ確認したワケではないので、やはりいまのところ成虫の方は属までの同定にとどめるしかなさそう。このあたりは、追々観察してると確認できるかも・・・ちょっとまて、丸太からヒポプスが発生しだしたら仕事場がヤバいのでは!