医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

国保料の年金天引き

2007年07月22日 | 医療制度


   国保料の年金天引き

  厚労省 事務連絡という名の強制通達

 
  厚生労働省は6月14日、2008年4月から開始される、国保料を年金から天引きする特別徴収制度について、都道府県に事務連絡を下ろしました。 
  その内容は、事務連絡となっていますが、きわめて露骨な特別徴収の強要であり、導入しなければ「法令に反する」と、脅しともとれる文言まであります。

  直近3年間の平均収納率が98%を超えるか、もしくは、口座振替と納付組織の実施割合が85%を超える場合は、導入は任意としています。
 この通知で、都市部の国保保険者(地方自治体)は大慌てとなっていると思われます。
  なぜなら、収納率が90%前後の大都市国保であっても、高齢被保険者の納付率は高く、年金からの特別徴収を、予定していないところが多かったからです。

   国保料は個人単位ではなく、若年者も含む世帯単位となっていることから、制度設計には数多くの制約があります。多額の経費をかけて複雑なシステムを構築し、特別徴収を導入しても、実効が見込めないことから、ほとんどの保険者は導入を見送ることにしていました。
  しかし、この厚労省の事務連絡では、非常に高いハードルを設定して、それをクリアできない保険者に、導入を強制する通達となっているのです。

  この背景は、2005年10月の「厚労省医療制度改革試案」にあります。その試案では、75歳からの後期高齢者医療制度・65歳からの前期高齢者医療制度の創設、そして、保険料はそれぞれ年金から天引きとし、負担は1割・2割と整理されていました。ちなみに64歳以下の若年層が3割負担でした。
  しかし、小泉政権の官邸サイドから、カタカナ医療保険の意を受けての、高齢者であっても現役並み所得者は3割負担という、強引な横車が押されたのです。そうしたことから、前期高齢者医療制度の創設を先送りとした、2006年医療制度改革関連法案が、作られることとなったのです。

  現役並み所得者3割負担導入を先行させることで、前期高齢者医療制度は先送りの法案となりましたが、厚労省はその「法案」の中に、65歳以上の国保被保険者の保険料を、年金から天引きすることのできる、特別徴収制度の創設を盛り込んだのです。
  先送りされた前期高齢者の制度創設を、厚労省は決してあきらめてはいません。法が成立していなくとも、その制度実施にむけての地均しとして、65歳からの年金天引きを、強引に進めようとしているのです。
  それが、この成立した「法の条文」を拡大解釈し、一方的に高いハードルを設定して、実効が見込めない特別徴収を強要する事務連絡となっているのです。

  「保険金融資本」の利益のために、露骨に動いた官邸サイドの「政治屋」、また、その背後は似たり寄ったりですが、自らの構想実現のためには、法が成立していなくとも、強引に地均しを進める「官僚群」、こうした財・政・官の癒着利権構造、こうしたことをまったく報道しないマスメディア、さらにこれを補完する御用学者、御用組合、地方政治屋(この問題でここまで膨らますと、ちょっと八つ当たり気味ですが、相手方は7者構成です)、この「21世紀臨調」の構図を打ち破らなければなりません。

  小泉政権は、ジュニアブッシュのポチであり、多国籍資本の走狗でした。後継の安倍政権は、不安倍増内閣であり、「美しい国」ではなく「憎いし苦痛」であり、醜いし苦痛を押し付けるだけの政権ではないでしょうか。
  この参議院選挙で一撃をくわえ、展望を切り開きたいものです。
                                                                       2007・07・21 harayosi-2


1 コメント

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国民年金生活者と国保の天引き (憂楽嘲(ごまめの翁))
2007-07-22 19:42:54
医療制度改革批判と社会保障と憲法さま

 TBありがとうございます。また当方も勝手にTBしてご迷惑かけております。

 当方、自分のTB作りが精いっぱいで、コメントを書く暇がなく失礼ばかりしております。

 私も引退するまで歯科技工士をしていましたから、医療には多少関係していますが、歯科技工士の職業分類は、製造業という不思議な分類になっています。
 医療はたくさんの職種によって支えられています。DRを幹とすれば、細い枝先ほど恵まれていないのが現状で、患者さんは其の事に気付いていないのが現状でしょう。介護士の待遇の悪さはその典型でしょう。

 さて国保の保険料、支払いをしない層が増えてくるので年金からの天引き、官僚の考えそうなことですが、これは全くの弱いものいじめの典型で、行政は、なぜこの人は保険料が支払いできないかと考えたことがないのでしょう。
 考えると、持ち家でなければ年金を返上して生活保護に指定される方が国保料金を払わなくてすみます。
 と言うことは、基礎年金は生きていけない金額だといえます。国民年金生活者が言っているのだから間違いありません。

 だから私は、子供が補助してくれるのでなんとか生きています。
 引退して4年になります。面白いのは毎年国保の所得割りは引退した初年度は0円。しかし次年度から毎年増える。と言う事は所得割りに対する解釈を官僚一流の解釈に替えています。
 それに所得割りは介護保険にも連動していますので、
所得割り0円から
 4年の間に婆さんと二人で、介護保険と国保が18万円ほど増えました。と言うことは、三か月の食費が消えたことになります。
 本当に一揆を起したい気分です。

 時代劇の悪代官とそっくりなのが自民党。
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