医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

新しい高齢者医療制度について<追記>

2011年01月08日 | 医療制度

  新しい高齢者医療制度について<追記> 

 1、最終報告案、大筋了承される

 12月20日「高齢者医療改革会議」は、12月8日に示されていた新高齢者医療制度についての最終報告案を、全国知事会の国保の都道府県移管に反対や、財源問題が不明確などの疑問・不満が出されたが、大筋で了承しました。そして、「高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ)」として、厚生労働大臣に提出しました。

 2、新制度とは名のみで、新しいものは改悪と負担増

 最終報告は①後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上(約1400万人)の8割は国保に、残る2割の扶養家族や勤務者は被用者保険に移行②国保に戻る75歳以上の運営を市町村から都道府県に移管③2018年度からは国保の運営をすべて都道府県に委ねる。また、④現役世代から高齢者への支援金に、報酬が高いほど負担も増える「総報酬割り」を全面的に導入する。⑤70~74歳の医療費の窓口負担割合を現行の1割から2割にアップ⑥75歳以上の低所得者に対する保険料の軽減措置(最大9割)を縮小するという、現役世代、高齢者への負担増も盛り込みました。

  3、最終報告は厚労省の筋書き通り

 国保に戻る75歳以上の高齢者について、一般とは別立てにし、それを都道府県単位で運営するということは、看板の付け替えにすぎないということになりかねません。 また、そのことを梃子に、国保すべてを、2018年には都道府県単位に一元化する方向も、明確に打ち出されています。 後期高齢者医療制度を廃止し、高齢者のための新しい制度を作るという口実で、これを絶好の機会として、厚労省の念願であった国保の都道府県への一元化や、現役世代・高齢者への負担増を、持ち込んできたといえます。 こうしたことに、全国知事会・健保連などが反発を強めていますし、野党の反対はもちろんのこと、与党内部からも法案作成・上程についての危惧まで出されています。

  4、高齢者医療は無料にという方針で 

 後期高齢者医療制度廃止というだけではなく、新しい高齢者医療制度の方向は、高齢者医療を無料にするという方向で運動を強めなければなりません。 高齢者のみならず、医療費が無料という国々は、イギリス・カナダ・ニュージーランドや北欧のスエーデン・ノルウエー・デンマークなど、またキューバやブルネイ(無税)など、けっして少なくありません。 日本においても1970年代までは、健保本人10割給付で、老人医療は無料であったことを思い出してください。 制度廃止というだけでは不十分です。少なくとも「高齢者医療は無料に」という方針で、これからの運動を強化してゆくべきだと考えます。 

                                                                                                                                 2011,1,1harayosi-2