やさしく、やさしく、やさしく

　雨上がり。きれいな山茶花を見つける。

　山茶花を見ていたら、急に夫にもっと優しくしようと思った。

　単身赴任解消で自宅から通勤するようになって、夫の体重は減ってきたが、健康診断の結果は最悪。高血圧、高脂血症、尿酸値は高く、肥満。アルコールを毎晩１リットル。500mlに押さえようと提案しても「俺の勝手や。ほっといてくれ」　アルコールを摂るので、ご飯を出さないと、夕食の量が少ないと文句を言う。それならばとレタスやキャベツを出していたら、「オレはヤギか」と言って自分でせんべいやつまみを買ってきだした。
　夫の健康をいくら考えても、アルコールの量は減らないし、休肝日はつくらない、カロリーの高いおつまみを食べる。低カロリーの食事を作っても私の努力は報われない。
　ある日、頭にきた私は「あんたを殺すのは簡単や」と言ってやった。「あんたが食べたいものを自由に食べさせて、アルコールも好きなだけ飲ましたら、３年で死ぬな」「あんたのしたいことに何も言わんかったら、ケンカになれへんし、ええんちゃう」・・・夫は絶句。凍りつきながらも肯く子どもたち。
　腹が立ってしかたがない私は、パート先で同僚に話す。すると、同僚曰く「やるなら、徹底的にやりや。中途半端やったら、死なんと あんたが介護で大変になるで」ひぇ～、わっわかりました・・・。
　あれから、夫と私は冷戦状態。子どもは、夫に「お母さんは、お父さんのこと、心配してんねんで」と諭す。子どもは、私にも「お母さんも言い方きついから気をつけて」。「子はかすがい」ですな。
　あれから、夫のアルコール量は少し減ってきた。でも、私の怒りはなかなかおさまらない。「私は悪くない！私は間違ったことをしていない!!健康を考えてごはんを作って、体を心配しているのに・・・」
　しかし、今日、山茶花を見たら急に思った。私の言い方もきつかったかもしれない、もっと優しい言い方で言えば よかったのかもしれないと。がんばって働いてくれているのだから、感謝しないといけない。
　お父さん、ごめんなさい。