ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『白の闇』『浮遊霊ブラジル』

2020-05-31 15:54:54 | 
『白の闇』 ジョゼ・サラマーゴ 雨沢泰訳 NHK出版
 ある男が、突然失明した。それは原因不明のまま次々と周囲に伝染していった。事態を重く見た政府は、感染患者を隔離しはじめる。介助者のいない収容所のなかで人々は秩序を失い、やがて汚辱の世界にまみれていく。しかし、そこにはたったひとりだけ目が見える女性が紛れ込んでいた……。
 ノーベル文学賞受賞作家による「疫病小説」。視界が真っ白になり見えなくなる原因不明の感染症が蔓延する。隔離された収容所の中では、介助者も治療者もおらず、やがて食料の独占や暴力がはびこっていく。コロナ禍の最中に、この本を読むとは思わなかった。現代との違いは、感染症が失明するもので感染力が強いこと。次々と人々は感染し、社会は麻痺してしまう。電気、水はとまり、食料はない。異臭。略奪。糞便だらけ、死体だらけの街を人々は夢遊病者のようにさまよう。
 突然失明し、見えない中で、人々は如何に人間らしく生きて行けるのか。人の視線がないことで、人間の獣性がむき出しになる。なぜか一人失明を免れた医者の妻は見えるがゆえにすさまじい光景を見ることになる。見えることが、いいのか、悪いのか。あまりのことに驚きつつも、一気に読んだ。「」がなく、誰が話したのか主語もないため、読みにくさはあるが、それがかえって臨場感や緊迫感を増す感じがした。災厄が去った後のことを思うと、いろいろと考えてしまった。

『浮遊霊ブラジル』 津村紀久子 文藝春秋
 定年退職し帰郷した男の静謐な日々を描く川端康成文学賞受賞作(「給水塔と亀」)。「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待ち受ける試練(「地獄」)。初の海外旅行を前に急逝した私は幽霊となり旅人たちに憑いて念願の地を目指す(「浮遊霊ブラジル」)。自由で豊かな小説世界を堪能できる七篇を収録。
 一言で言えば、軽妙。なんかおかしい。
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「茶の湯の茶碗」

2020-05-29 20:51:25 | 美術鑑賞
「茶の湯の茶碗」 2020年5月23日~8月30日 香雪美術館
開館時間:午前10時~午後5時  休館日:月曜日 (8/10開館、翌8/11休館)
 2か月ぶりの美術館。行くと紙に連絡先を書かされた。職員さんが頻繁に手すりなどを消毒していた。いろいろとコロナ対策をしている。


背景 本阿弥光悦 黒楽茶碗 銘「光悦黒」(部分) 形がきれいで好き
中央 井戸茶碗 燕庵井戸  好きな茶碗
右上 樂了入 赤楽鶴文茶碗  鶴がよく見えなかった
右中 朝鮮 金海州浜茶碗 銘「難波」
右下 美濃 織部黒茶碗 銘「玉箒」  黒の中にのぞく白い釉薬が印象的。
左上 朝鮮 黄伊羅保茶碗 銘「廬山」 
左中 美濃 志野茶碗 銘「朝日影」  貸し出したものがコロナで戻ってきていないそうで私が行った時は展示はなし。
左下 景徳鎮窯 染付松竹梅図茶碗

●建窯 油滴天目茶碗 附 尾長鳥茘枝文存星天目台  天目台が美しい
●安南 染付数字文筒茶碗  数字をデザインにしているのがおもしろい。
●朝鮮 井戸塩笥茶碗  小さい。欠けを埋める漆に桜や紅葉の絵が描いてある。
●朝鮮 玉子手茶碗 銘「生駒」  色がいい。
●長次郎 黒楽茶碗 銘「摺墨」  艶消しの黒がいい感じ。
●野々村仁清 灰釉茶碗 銘「更夜衣」  やさしい色。底の部分で鉄釉と合体しているのがおもしろい。
●樂了入 赤楽亀図茶碗  丸山応挙の描いた亀がかわいい。
●樂一入 黒楽茶碗 銘「落葉」  落葉の赤がよくわからなかった。
●初代大樋長左衛門 赤楽茶碗 銘「葉牡丹」  赤と黒の発色が美しい。

 よかった。久しぶりに美術館で美しいものを見て嬉しかった。
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琥珀糖を作ってみた

2020-05-27 16:54:27 | 日記


 梅雨前に琥珀糖を作ってみた。5日ほどで外がカリッと結晶化。ほんのり甘く、初めてにしてはうまくできたと思う。本当は、うすい紫に仕上げたかったが、色粉に青がなくて断念。
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丸ちゃんのツナチーズトースト

2020-05-26 20:40:50 | 日記
 サタプラでやっていた丸ちゃんのツナチーズトーストを作ってみた。私のアレンジが少し入っている、丸ちゃんのツナチーズトースト。

 トーストにバターを塗る。ツナに刻んで水にさらした玉ねぎのみじん切りを混ぜ、マヨネーズで和え、塩コショウで味付けする。その上にチーズをかけて、アルミホイルを敷いたオーブントースターで焼く。最後にパセリをのせる。
 私のアレンジは、ツナにマヨネーズだけでなく、ケチャップを少し入れること。大学生の時、バイトをしていたパン屋さんで教えてもらった。
 丸ちゃんが、いろんな色の混じったチーズを使っていたのがお洒落だと思って、私も真似してみた。
 味は、美味しい!しかし、ボリュームたっぷりでお腹が一杯になる。
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『ケーキの切れない非行少年たち』『大雪物語』

2020-05-24 13:19:40 | 
『ケーキの切れない非行少年たち』 宮口幸治 新潮新書
 児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
 「ケーキが切れない」というのは、どういうことか?題名にひかれたが、内容は非行少年には認知能力が低い子がいるという話。見る力や聞く力が弱いために人の話が理解できなかったり、人の表情が読めない→対人関係で失敗したり、いじめを受ける→非行に走る。そして、彼らは支援を受けずに、間違った更生を受けていると。
 エピソードや例が具体的で、なるほどと よくわかった。又、認知機能向上のため、具体的に実践的な方法を教えてくれるのはありがたい。この方法で、なんとかならないかなと思ってしまう。
 褒める教育が根本的に解決策にならず、問題を先送りしているのではないかという問題提議は、納得。
 いじめなどのストレスを発散するために幼女へのわいせつ事件をおこすというのは分かるし、この本は被害者よりも加害者側に視点をおいて話をしているのは分かる。でも、ストレス発散で被害にあった女の子はたまらないんだけど。まあ、それを防ぐための話をしているんだけどね。
 
『大雪物語』 藤田宜永 講談社
 ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など。
 吉川英治文学賞受賞作。
 短篇がどこかでつながるのかと思いきや、それぞれが完全独立の話だった。優しい物語で、人の影の部分も描いて味わいもあるのだが、やや物足りなさを感じた。「墓掘り」「雪の華」が好き。
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