「できることから始めること」の危うさ
日本の私たちがいま為すべきことは、経済拡大を目的とした古い考えや法体系、社会制度をそのままにして顕在化した「個々の環境問題の現象面」に一つずつ対応するために「身近なこと(ところ)から始める」、「できること(ところ)から始める」ではなく、「現状をよく知ること」です。「対処すべき問題の規模の大きさ」と「残された時間の少なさ」を考えると、この種の発想は問題の解決をいっそう難しくすることになるでしょう。
市民がめざすべきこと
これから必要なことは、現在の「持続不可能な社会」の中で個々の市民がエコロジー的な(ロハス的な、あるいは、スローライフ的な)生き方をするのではなく、「持続可能な社会の構築をめざす」というひとり1人の明確な政治的意志の表明、そして、それらの集合的合意の形成を促進する行動でなければならない。
21世紀前半にめざす「ビジョン」の相違
日本とスウェーデンでは「21世紀前半社会に対するビジョン」が異なります。日本のビジョンは「持続的な経済成長」、2002年2月4日の小泉首相の施政方針演説に基づくものでこれまでと同様、「金の流れ」に注目しています。「改革なくして、成長なし」がキャッチフレーズでした。小泉・連立内閣のもとで過去5年間に刊行された経済財政白書の副題は、なんと「改革なくして成長なし」「改革なくして成長なしⅡ」「改革なくして成長なしⅢ」「改革なくして成長なしⅣ」、「改革なくして成長なしⅤ」と徹底しています。
一方、スウェーデンのビジョンは「持続可能な社会の構築」です。これは96年9月17 日のぺーション首相の施政方針演説に基づくもので、具体的には20世紀の「福祉国家」を、25年かけて21世紀の「緑の福祉国家(エコロジー的に持続可能な社会)」に転換すると壮大なものです。
<つづく>
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