持続可能な国づくりを考える会

経済・福祉・環境の相互促進関係を!

私の話の要点4:小澤徳太郎

2007年01月16日 | パネリスト
21世紀前半にめざす「ビジョン」の相違
  日本とスウェーデンでは「21世紀前半社会に対するビジョン」が異なります。日本のビジョンは「持続的な経済成長」、2002年2月4日の小泉首相の施政方針演説に基づくものでこれまでと同様、「金の流れ」に注目しています。「改革なくして、成長なし」がキャッチフレーズでした。小泉・連立内閣のもとで過去5年間に刊行された経済財政白書の副題は、なんと「改革なくして成長なし」「改革なくして成長なしⅡ」「改革なくして成長なしⅢ」「改革なくして成長なしⅣ」、「改革なくして成長なしⅤ」と徹底しています。
 一方、スウェーデンのビジョンは「持続可能な社会の構築」です。これは96年9月17 日のぺーション首相の施政方針演説に基づくもので、具体的には20世紀の「福祉国家」を、25年かけて21世紀の「緑の福祉国家(エコロジー的に持続可能な社会)」に転換すると壮大なものです。

 「フォアキャスト」と「バックキャスト」
 将来の方向を考え、行動する手法として「フォアキャスト」と「バックキャスト」という二つの手法があります。ここでは、「フォアキャスト」を「現在から将来を見る」または「長期ビジョンが不明確のまま現状追認する」、「バックキャスト」を「将来から現在を見る」または「長期ビジョン年次から方向を検証しながら社会を変えていく」という意味で使います。
 フォアキャスト的手法、これまでの経済学のように「地球は無限」を前提に「環境は経済の一部」と考え、現状を延長・拡大していく考え方です。国づくりの前提として環境問題を考える必要がなかった20世紀に日本をはじめ、すべての先進工業国が使ってきた伝統的な手法です。
 バックキャスト的手法では、「地球は有限」という前提に立ち、「経済は環境の一部」と考えます。たとえば、2030年とか2050年という長期ビジョン年次を考えたときに、それぞれの社会はどうあるべきか、それぞれの時点でどのような社会的・経済的・環境的条件が整っていれば、安心して生活できるかを、現在の時点で想定してみる方法です。そして、国民の合意のもとにビジョンに向かっていつまでに何をするかを国の政策として決め、それを実行に移すために必要な法をつくり、行政機構を刷新し、国を挙げて社会を望ましい方向に変えていくという方法です。この手法が21世紀の国の方向性を考えるときに適用可能になったのは自然科学が有限な地球での様々な限界を明らかにしたからです。
 資源・エネルギー・環境問題の厳しい制約が予想される21世紀の経済成長には、20世紀のような自由度はほとんどありません。21世紀の「持続可能な社会」へ転換する道は、たいへん狭い厳しい道です。20世紀に有効であったフォアキャスト的手法で21世紀の社会を想定するのは、たいへん危険です。誤った方向への先行投資は政府にとっても企業にとっても致命的なのは、いうまでもありません。

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