ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語251「手のひらの卵」

2020年04月16日 21時12分40秒 | 日記
ちいチャンは、近所の友達と一緒に、
背より高く伸びた草むらで、
探検ごっこをしています。
草をかき分け、斜面を登り、
トゲのある枝にひっかかっては、振りほどき、
草の実が、髪に服にくっつきます。
ふと、見ると、
高く伸びた草の上に、小さな卵が乗っていました。
2㎝ほどの小さな卵です。
ちいチャンは、
何かの鳥の卵だと思いました。
だから、
(うちに持って帰って暖めたら、鳥になる。)
と、思いました。
そおっと手のひらでくるんで、大事に大事に持ちました。
そして、探検続行です。
今度は、片手で草をかき分けて進まなければいけません。
草は、ばしっばしっと顔に当たります。
そして、少し小さな斜面は、草をロープ替わりにして、
うんしょ、うんしょと登ります。
それでも、ちいチャンは片手なので、
なかなか登れません。
友達が手を引っ張ってくれて、
やっと、小高い丘に出ました。
帰りは今度は、今来た道を戻ります。
やっぱり、背より高く伸びた草をかきわけ、
草を、ロープ替わりに斜面をすべり下ります。
汗びっしょりの探検が終わって、卵を思い出し、
手のひらを開いてみると、
卵は、べとべとになって、つぶれていました。
探検中、卵を忘れて、つい手に力が入ってしまったのでしょう。
卵は、手のひらの中で、つぶれていました。
ちいチャンは、
大事な宝物を失ったように、
とてもガッカリして、
とぼとぼとぼとぼ、家へ帰ります。

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