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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

薬は銀色で

2007-04-19 | その他あれこれ
・昨晩からのどが痛く、朝起きると具合がよろしくない。最近、アフター5が忙しく(といっても遊び呆けているわけではない・・・)、寒々しい体育館に通っていたので、風邪をひいたみたいだ。病院で薬をもらう。毎度受診すると、たいしたことないね、といわれるのだが、一度のどに来るとなかなか治らないんである。「あなたの風邪はどこから?」と聞かれれば、必ず「のどから」と答えるだろうな、当方の場合・・・。

・せっかくの小春日和だが、体調のせいか、どうも気分が盛り上がらない。とりあえず、LaTex化を試みようとするが、全然うまくいく気配なし・・・と。現在、当方のパソコンには飯島くんと富田くんのご尽力によりMeadowが動く環境になっているのだが、久保さんからWinShellが簡単そうだよん、というアドバイスが届く。ついふらふらと(?)、ダウンロードしてしまう。パソコンの中でけんかしなければいいのだが、ダウンロードはとりあえず簡単であった。WinShell3.0では、ヘルプの日本語訳までが作成されていて、とりあえず、ダウンロード。訳者はと見ると、”田中健太”とある。一瞬、イギリスの彼の地にいる氏かと思ったが、どうやら違うみたい。

・しばらく格闘するも、やはり一人では埒があかん・・・。ということで、いったんこの問題は放置。当方、「北海道の林木育種」という雑誌の編集委員となっているのだが、この雑誌が50周年を迎えるということで、その記念誌を作ることになっている。当然、当方にも担当(樹種)が振り当てられている。担当樹種とは、カンバ類とトネリコ類。要は、育種(造林)対象樹種について、それぞれ担当を決めて、分布、種特性などの基礎情報、遺伝情報、育種情報を整理するということになっている。が、全く進んでいないのが現状である。

・このまま放置していても駄目なので、無理やり、ウダイカンバについての文章を書いてみる。考えてみると、全国スケール、地域スケール、集団内スケールと遺伝マーカーを使った研究がそれなりに集積されていて、一つのモデルケースとなりそうな感じ。それぞれに”物語”があるわけだけど、それをいちいち書いていると他樹種とのバランスがものすごく悪くなりそう。なので、「いかに情を捨てて冷徹に書くか」、が大事になる・・・のだろうか。ううむ、相変わらず、五里霧中な感じだ。

・総会では、エゾマツの資源回復に関する話題提供をせねばならんらしい。一度、現地検討会で話したスライドに最近の話題を加えるとするか・・・。この時期、講義直前ということもあり、ばたばたしそうである。

BibTex生成

2007-04-18 | 研究ノート
・ようやく連絡調整が落ち着いてきた。リハビリということで(?)、まずは、Mくんのエゾマツ造林論文のテキストチェック。ううむ、まだ少々気になるところがある・・・。今回は、かりかりとパソコン上で打ち直し。10時ごろ終了。今回は難しい統計などは必要なし、と。考察で、若干の”もたもた感”が残る気もするが、そろそろ他人に見てもらう時期であろう。

・ちょいと気が早いが、5月31日の講義「森林生態圏管理学」の準備。それにしても似たような名前が多い。講義レジュメの作成。こうした作業はLaTex練習には最適だと思われる。何しろ、見た目が大事だし、他人とファイルのやりとりをする必要がないからだ。とりあえず、section,subsectionなどの項目を打ち込んで、その出来栄えに何となく満足。

・いよいよトドマツ論文をLaTex化する作業に入る。とりあえずの難物は引用文献であろう。まずは情報収集。とにかくテキストファイルで、BibTex形式の文献データベースを作るのが先と・・・。いちいち打っていたのでは埒があかないが、もちろんインターネット上から落とせるらしい。ということでやってみると、ジャーナルホームページによって、bibTex形式でダウンロードできるところとできないところがある。しばらく試すも、異様に成功率が低い。

・これじゃあストレス溜まっちゃうよ、と思って、ふとグーグル検索してみると、ちゃんと処方箋を書いてくれている人がいる。グーグルスカラーの設定を変えればよかったのか・・・。設定をBibTexに取り込めるように変えておけばよしと・・・。たとえば、当方のヤチダモ論文の場合、”BibTexへの取り込みボタン”を押すだけで、

@article{goto2006ftg,
title={{Fat-tailed gene flow in the dioecious canopy tree species Fraxinus mandshurica var. japonica revealed by microsatellites}},
author={GOTO, S. and SHIMATANI, K. and YOSHIMARU, H. and TAKAHASHI, Y.},
journal={Molecular Ecology},
volume={15},
number={10},
pages={2985--2996},
year={2006},
publisher={Blackwell Synergy}
}

 といったコードが出てくる。これをコピーしてメモ帳に貼り付ける。ただし、途中、グーグルスカラー上のコードにはそれなりのミスがあることが判明。過信は禁物のようだ。ともかく、やり方さえ分かれば後は簡単である。ぺっぺと貼り付けて、とりあえず必要な論文のデータベースができた。さてと、後はこれをどうやって引用するかだ。

・所内メール。ほほう、ついにケヤマハンノキが開花(4/16)しましたか・・・。ということで、サクラ開花予報は1ヵ月後の5月16日と・・・。結局、例年に比べて、開芽フェノロジーは必ずしも早くないようで少々安心。GW期間中のブナの開芽はほぼないと思ってよいだろう(昨年は最早が5月7日)。5月中旬からがピークとなりそうな気配である。今年は苗畑に設置したヤチダモの開芽は見逃さないようにしなくっちゃ・・・。

スギの受難

2007-04-17 | フィールドから
・年休不在だった月曜日に、樹木園スタッフにスギ植栽をしていただいた。ということで、早速、現地確認。針葉樹の場合(カラマツは違うけど)、植えた後に整列しているのを見ると、いつも言い知れぬ感動を覚える。いかにも、素晴らしい成果が期待できそう・・・だ。昨晩はいきなりの雪混じりのみぞれにびっくりしたであろうスギも、本日の穏やかな日和にほっと胸をなでおろしている(たぶん)。



・先にメールで頂いたリストと多少の食い違いがあったものの、そこはうまく処理してくれたようで助かった。さあて、こいつらが育つのか、枯れるのか・・・、いずれにしても、これからの結果が楽しみである。試験地の周りでは、雪どけとともに福寿草が顔を出している。春の気配があちこちに・・・。



・午後も相変わらず、メール書きなど連絡調整に追われる。何をやったのか、全く不明のまま一日終了。なぜか5月初めまでの予定が一杯になっており、危険な予感。5月末の講義準備もそろそろ考えないと・・・。

24周年

2007-04-15 | その他あれこれ
・東京ディズニーランドは今日で24周年。ということで(?)、楽しみにしていたランドへ。上の子とスプラッシュ・マウンテンのファストパスを取るために走る。が、いきなり迷う(ここでも当方の方向音痴は健在・・・)。ようやく辿り着いたと思ったら、妻と下の子のパスポートを受け取り忘れたことに気がつく。意味無し。結局、走るほど混んでいなかったことが判明したりして・・・。

・待ち時間を利用してピーターパンへ並ぶ。昔からあるアトラクションだけど、ロンドンの夜景が美しく、実によくできている。あまり(全く?)怖くないのも、下の子には嬉しかったようだ。いよいよスプラッシュ・マウンテンと思ったら、最後の滝へのダイブを見て、下の子が怖気づいて大泣きし、全員でのトライは断念。後で当方も乗りましたが、最後はともかく、滝に至る途中が意外と怖かった。



・その後、二手に分かれるなど工夫しつつ、かなり効率的にアトラクションを楽しんだ。キャラクターにも会えたし(人に囲まれていない瞬間のデールって、珍しいでしょう!?)、満足である。帰りがけにはイクスピアリで買い物。こちらも充実しており、時間があっという間に過ぎる。それにしても、ランドのゲートをくぐった途端に感じるワクワク感はやっぱりすごい!

ヒルズ的一日

2007-04-14 | その他あれこれ
・東京に家族旅行。当方にとっては東京は2ヶ月おき、ってイメージだけど、ファミリーで行くのは久しぶり。ホテルは、今をときめく(?)汐留の”パークホテル東京”。パック旅行を利用すると、こういう、かなりランクの高いホテルにも安く宿泊できる。ところでこのホテルは、25Fにフロントがあるという隠れ家的存在なのだが、欧米からのビジネスマン風の宿泊者が実に多い。それもそのはず、ホテルの下のフロアは共同通信社のオフィスとなっていた。



・青山のクレヨンハウスへ。絵本、子供玩具はとてつもなく充実していて、全く飽きない。2つ3つ絵本などを購入した後、表参道ヒルズへ。せっかくなので話題スポットを観に行ってみようというわけ。ファミリーにも人気ということだが、確かにスロープの概観は建築物としては面白かった。



・が、あまり買い物する気にはなれず、裏道をそぞろ歩き。突然、とある建物の窓に”goto"の見慣れた文字(Boyの右下に小さく書いてある)。gotoについている矢印にしたがって歩くうちに、いつの間にか原宿方面に迷い込み、客層がヒップホップ系若者(?)に変化していた。



・ホテルに戻ると、ライトアップした東京タワーが真正面にそびえている。見渡せば、高層ビルばかりだ。それにしても、東京は歩く。汐留も大江戸線、ゆりかもめ線などが直結しているので便利かとおもいきや、浜松町から大江戸線の大門駅まではとんでもなく遠かった。このぐらい歩く方が健康にはいいんでしょうなあ。

土いじり後、吉報

2007-04-13 | フィールドから
・森林総研の津村さんたちとの共同研究で、マッピング家系のスギを富良野に植栽する予定。富良野にスギを植えると全滅するかもしれないが、耐寒性や耐雪性に関する遺伝子に迫れるのではないかという期待もある。ということで、本日は植栽位置の決定するための測量など。昨年末から樹木園スタッフが予定地を耕してくれていたので、もはや畑みたいな状態になっている。枝を張り出しているカンバが邪魔だ・・・という見解に達し、邪魔な個体だけ伐採+片付け、にしばしの時間を要する。実にすっきりとなる。



・コンパスを覗いて、植栽位置の外枠を決めたのち、4人でスギ植栽位置に割り箸を立てる。ひとしきり終わったところに、ペリカン便から到着しましたとの連絡が・・・。トラクターで迎えに行く。ダンボールかと思いきや、麻袋らしきものに包まれた苗木達、16包み。意外と巨大。


・午後から苗木仮植。根っこがイマイチで心配になる。大きさもまちまちだ。仮植では、年度末に導入されたユンボが大活躍。これを人力でやっていたら大変だったよ、実際。午後3時前に仮植終了。土いじりをしていると、非常に心が落ち着く。原始の記憶・・・か。



・戻ってくると、共同研究の科研が採択になりました・・・とのメール。「おおっ今年は早いな、自分の科研はどうなっているんだ!、どこで見ればいいんだ?」、と、あたふたチェック。まさしく受験番号を探すのと一緒の感覚。ない、ない・・・と思っていたら、最後の方に「樹木個体群の・・・」というどこかで見たようなタイトルが・・・。「採択」。久しぶりの響き。もう一つの共同研究も採択になり、とっても景気がいい状態。去年はほとんど採択されずにずーんと沈んでいたのだが、採択される時って重なるものなのだろうか。よく考えたら、この後が大変だったりするのだが、今日のところは手放しで喜んでおくか!

空間をめぐる競争

2007-04-12 | フィールドから
・久しぶりに現地調査。ウダイカンバが優占する山火事後に再生した広葉樹二次林(95年生以上?)の試験地において、胸高直径と方位別の樹冠長を調査。収穫調査チームも途中で合流し、大勢でがやがやと・・・。それにしても、天気はいきなり吹雪。相変わらず、フィールドで天気に恵まれない・・・のは、当方がいるからだ!大きなビニール袋の中に野帳を入れて、調査を続行。



・本試験地では既に3度の毎木調査が行われ、最近の2回の調査では斜面上部・下部・左・右の4方向の樹冠長が記録されている。今回の調査結果を、過去の記録と見比べながら書き込んでいく。ここでは、回帰年も短く、比較的強めに伐採を続けているせいか、胸高直径は8年前に比べてずいぶんと大きくなった。もはやメジロカバとは言えないようなサイズの個体もいる(60cmを超える立派なやつも・・・)。

・斜面下部の樹冠長が大きいのは、全体として斜面下方に向かって上長成長しているせいか・・・。それにしても、樹冠というものは円や楕円というよりも、ずいぶんと偏った形をしているものだ。ウダイカンバは他個体と枝が重なると自己間引きするというが、確かに樹冠はほとんど触れ合わず、互いに避けるように接している。イタヤカエデ、ハリギリなど他の広葉樹もあるが、樹冠層は完全にウダイカンバの一人舞台である。樹冠長を過去のデータと比べてみると、3mとか伸びているものもあれば、かえって短くなっている(枝が折れた?)のもいる。



・こうなってくると、「どうやって樹冠長サイズや伸長量が決まるか!?」というのが気になるところだ。プラス要因としては、他個体がいなくて使える空間が広がっていること、成長自体がいいこと、しっかりした下枝が張っていること、などであろう。マイナス要因としては、他個体と触れ合って制限されること、風で折れること、がんしゅ病などの病気で成長阻害が生じることなど、か・・・。サイズ依存的に、大きい個体ほど成長するのか、はたまたある一定のサイズになると、それ以上は大きくなれないよ・・・、などとなるのかはデータをじっくり見てみないとよく分からない。

・隣の個体と樹冠を接しているかどうかもチェックすると、高密度林分と低密度林分ではずいぶんと雰囲気が違う。今回は、どういうデータに整理するのがいいのかね。面積というのはずいぶん難しそうだからとりあえず方位別の長さ、伸長量がどんな分布になっているか見てみるのが良さそう。隣個体の樹冠との接触の有無もデータ化したので、それもじっくりと転がしてみると面白そう。それにしても、たまに外に出ると、色々と頭が活性化されてよい。頭上にも、複雑かつ楽しげな世界は広がっているのであった。

お土産飽和状態

2007-04-11 | 研究ノート
・札幌出張。車内では,ヒノキ論文の最終チェック。単なるコピー&ペーストのミスとかが発見されたりするが,内容的にはなかなかいいと自画自賛。もはや自分の論文を愛してしまっており,絶対に大丈夫だという気になる(のはいつものことだ)。ということで,戻り次第,修正してAnnals of Forest Scienceに投稿するとしよう。ひとしきり終わったので,久保さんのブログに掲載されていた図などを眺めつつ,何を打ち合わせるべきか(というより,何が分かっていないか?)を考える。

・北大へと向かう前に,まずはパン吉へと・・・。おお,今日は充実しているな。ハード系をあれこれと買い込み,食パンも一斤。“こちらの食パンは簡単には切れません・・・“などと挑戦的な(?)注意書きがあるが,我が家ではパンナイフを新調したので大丈夫なはず。あえて,切らない状態で持って帰る。地環研の久保さんのところを訪ねて,トドマツ母子モデルの打ち合わせ。モデル検討の過程はブログに詳細に書いてあるので,もはやそれを前提とした状態で話をお聞きする。

・説明資料のコピーを頂いたので,それに書き込むなどして理解に努める。こちらも,プリントアウトした図などに書き込みをしていると,おぼろげながら何が明らかにされたかが分かってきた。定着した実生や稚樹の親子解析をすると,種子トラップでは得られない定着,生残の過程を経た後の親子関係が浮かび上がる。これはとりもなおさず,森林の空間的あるいは遺伝的な構造の“鋳型”となるわけだ。しかし一方,これらは定着・生残のプロセスを経た上での結果であり,これらの要因が相互に関係しあっている。したがって,観察されたものから,種子の散布パターン,定着のしやすさ,生残確率などを伺い知ることはできない。本気でこれをやりたければ,むしろ種子散布はシードトラップで定量して,その後はデモグラフィックな追跡調査を行うのが本当だろうが,今回は散布,定着,生残などのプロセス考慮しつつ,散布カーネルを推定しようという試みだ。

・これまでの論文(例えば,Dow & Ashley 1996)では,得られた観察値にカーネルをフィットさせようとしてきたわけだが,一体何を推定しようとしているのかが案外と分かりにくい(この問題点は,Jones et al. 2005 Amer Natでも既に指摘されている)。それはともかく,今回の結果では,母樹ごとの散布カーネルに相当の個体差があること,にもかかわらず母樹を込みにすると全体としては裾野の長い,一見,シンプルな散布カーネルになるというところが面白い。このような個体差が生じる要因として,倒木というセーフサイトと母樹の位置だけではなく,母樹の種子散布能力パワー(母樹の質),倒木の定着・生残のしやすさ(倒木の質)などをランダム効果を駆使しながら検討している,といった感じだろうか。ベイズの場合,それぞれにパラメータの事後分布が与えられるので,結果を見るだけでどんな雰囲気なのかが感覚的に分かる,というのが興味深い。

・などというのも,WinBugsによるベイズ推定の実践や様々な作図を見せていただくうちに,何となく実感がつかめてきたもの(まだ間違って理解している可能性もあるけど)。これまでにも、ベイズの話は時折眺めてはいたが、あくまで遠い外国の出来事といった感じだった。ところが、今回は理解しないと(理解したことにしないと・・・)論文投稿できない。さらに、扱う生物が自分が触ってきたもの(トドマツ)だと急に親近感が湧くから不思議。

・階層ベイズモデルの意味と本モデルの詳細についてはまだまだ勉強が必要で,論文として仕上げていくうちに少しずつ理解するしかない。が,今回のモデルで単純化した仮定や得られた結果の意味はだいぶ分かった,と思う。後は,モデルの部分のテキストと図表などをいったんお願いし,それを待って全体を整えていくという打ち合わせを行う。遺伝構造の図はいらないんじゃないか?という指摘も頂いたが,これこそが面白いと言っているレフリーもいるので,とりあえずは残して後で検討することに・・・。

・お昼は生態学会シンポでお世話になった平尾君とともに,新装“きゃら亭”へ。そこでは,Wikiによるホームページ作成に関して色々とお話を伺う。最近はページ荒らしロボなるものがネット上を徘徊していて,とんでもないことをすることがあるとか・・・。昼過ぎにWiki実演で,これまただいぶ感じが分かった。永光さんの作業場で当方がコメントしようとするとどうにもうまくいかなかった理由もようやく判明。HTML言語を覚えなくて済むというのは素人にはかなり便利。

・帰りがけに「Wikiでつくるかんたんホームページ」なる本があったので早速購入。分かっている人にとってはまるで無駄な情報ばかりだろうが,当方にはまさに欲しい情報がそこにあり,早速,始めることができそうな感じ。ようし,いよいよ研究室(といっても一人だけど)ホームページ作成に入るか!という気分になる。ちょっと名前が怪しげだが,ロリポップなるレンタルサーバーが使いやすそう。

・ホームページで思い出したが,当機関のホームページでの研究室紹介を100文字程度でという注文が来ていた。正式(?)な研究室名は,「遺伝育種」。100文字で何を書くべきか・・・。

「当遺伝育種研究室では,主に樹木種を対象に,生態遺伝や林木育種に関する研究を行っています。特に,遺伝マーカーを用いて,天然林や人工林における主要樹木種の繁殖や更新の様式を明らかにした上で,いかに森林の遺伝的管理や改良を行うかといった応用的な研究に挑戦しています。最近では,種子のかたち,開芽のフェノロジーなど表現形質の評価と遺伝的分化に関心を持ち,交配実験や移植実験などを通じて,樹木集団の局所適応の実態解明を目指し,移植リスクを評価するような研究を目指しています。さらに,最近では,森林の再生修復機能にも着目し,様々な林相において小面積皆伐と地がき処理を組みわせて,森林がどのように再生修復されるかといったことを実験的に明らかにしようとしています。さらにさらに・・・」

・はい,既に300文字を超えています。「お前さんは最近何をやっているのか!?」とか言われるわけだよ,実際。育種と生態を両輪で走らせようとしているのだが,その両輪がどんどん開きつつ,その間に造林とか施業とか,興味と必然にかられて色んな分野が入り込みつつあり,操縦不能状態となっているのでは!?「文章を書く」というポリシーだけは一貫しているんですけど・・・。

・久保さんは、まずはLaTexで原稿を書いてみる(数式が多いから当然・・・)とのことで,最終原稿をどのように仕上げるかという話になる。最終的にはワードで編集できるように統合させましょうという提案をしていただいたのだが,むしろこちらの文章をLaTex形式に直してしまえばいいのか・・・。無謀のような気もするが,こういう風に自分を追い込むとLaTexを必然的に覚えることができそうだ(といいつつ,練さんとのやりとりはPDFファイルになるね)。当方にとっての実際問題は,文献リストと引用のところだろう。ここで,一気に導入するかどうかは練さんと相談してから,ということにするか。それにしても,またすごい世界に突入してしまうのか・・・はてさてどうなることやら。

・戻ってきて,ヒノキ論文の投稿。投稿規程を最終チェックしつつ,気合のクリック。さあてどうなるか、楽しみである。

花粉症の季節

2007-04-10 | 研究ノート
・先日、アカエゾマツと蛇紋岩の適応について書いたのだが、ふと思いついて、Google scholarにてアカエゾマツ(Picea glehnii)と蛇紋岩(serpentine soil)で検索してみると、ぞろぞろと論文が引っ掛かる。ふむふむ、北大の小池先生のグループが既にアカエゾマツ、エゾマツ、ヨーロッパトウヒを比較しつつ、蛇紋岩耐性についての生化学的解析をやっている。さすがだ。それにしても、ちゃんと関連論文をサーチしないと片手落ちになるところだった。

・まだちゃんと読めていないのだが、Kayama et al. (2006) Treesでは、これら3種について圃場実験を行い、蛇紋岩土壌と非蛇紋岩土壌における成長、光合成能、重金属含量の比較などを行っている(ようだ)。どうやら、3000kgもの蛇紋岩土壌をダンプに積んできて、圃場に敷き詰めたようだ。結果は?というと、エゾマツとヨーロッパトウヒは蛇紋岩土壌で成長が抑制されるのに対し、アカエゾマツは抑制されない。針葉や根に含まれるニッケル含量はアカエゾマツがもっとも低く、ニッケル耐性が成長に特に効いているようだ。

・他にもいくつか論文が出ているのだが、アカエゾマツとエゾマツの生息地の違いについては、この耐性の違いでうまく説明できるのかもしれない。一方、今回の論文の中での、「蛇紋岩帯と非蛇紋岩帯のアカエゾマツで適応が起こるか否か」という問いに答えられるかどうかは、もう少し論文をしっかりと読んでみる必要がある。まあそれは、宿題にしておくことにして、改訂作業の方を進める。イントロでは、五十嵐八重子さんの文献を2つほど追加しつつ北海道全体の分布変遷の話をして、考察で富良野地方限定の話をするように工夫。結局、遺伝解析から得られたボトルネックの結果と花粉分析の結果は矛盾しないという結論に至る。

・昨日、日本森林学会誌から送られてきた焼松峠論文の著者校正もチェック。共著者からも送っていただいたので、別刷り注文票とあわせて送付。さらに、昨日下調べをしていたメルクシマツ論文の査読も一気に終わらせて編集委員に渡す・・・。いい感じで、手元から論文が離れていく。ほっとしたいところだが、またもや札幌出張(4月24日)が予定されてしまう。「北海道の林木育種」という雑誌の編集委員会なのだが、今度は50周年記念ということで、5月25日総会での話題提供を頼まれてしまう(というよりも、既にスケジュールに組み込まれている!?)。

・そういえば、本雑誌の50周年記念本の原稿執筆として、トネリコ類とカンバ類の担当になっていたを忘れていた。というか、あえて思い出さないようにしていた。しかし、このまま放っておいても、自分が苦しくなるだけだ。そろそろ、手をつけ始めるとするか。しかし、雲をつかむような話なので、なかなかねえ・・・。せっかくなので、今回はLaTexで原稿作成をしてみるか。しかし、最終投稿がワード指定となっているというのが何とも・・・。

・少し早めに帰宅の途につき、かかりつけの耳鼻科で薬を処方してもらう。久しぶりの再開に、お互いになぜか”にやり”とする。心の中での会話:「ようやく来たな・・・おぬし」、「待たせたな・・・」:武蔵と小次郎の対決といったところか・・・。今年は花粉が少ないのは北海道も同じらしい・・・という情報を交換する。当方の花粉症との付き合いは長く、富良野市ではもっとも症状が重い患者の一人だと認められている。診察はもはや一瞬で、いつものごとくアレロックという錠剤と点鼻薬を処方してもらう。それにしても、問題となりそうな花粉(ハンノキ?)は飛んでいないと思うのだが、一体、何に反応しているのであろうか?


蛇紋岩地帯への適応

2007-04-09 | 研究ノート
・山火事後二次林のウダイカンバの樹冠調査の予定を組んでいたのだが、いきなり小雨が降っているので、とりあえず予定を金曜日に移す。と同時に、測量予定は木曜日へと調整。結局雨は朝だけだったのだが、ぽっかりと時間が空いた。ということで、しばらくメール連絡をあちこちへと・・・。何となく落ち着いたので、アカエゾマツ原稿のイントロを改訂。考察には、蛇紋岩に対する適応についての考察パラグラフを一つ追加。



・針葉樹のマツでも蛇紋岩地帯には適応している例が、遺伝分析と産地試験の両方から指摘されている。が、今回の結果では、集団内の遺伝的多様性や集団間分化度に蛇紋岩地帯とその他での違いは全く検出されていない。これは蛇紋岩帯の集団が2つしかないという計算上の問題だけでなく、どのくらい蛇紋岩の影響を受けているか?ということが関わっているのではないかと思われる。

・他のマツの産地試験では、蛇紋岩産と非蛇紋岩産では成長率に有意な違いがあるとされている。ところが、本試験のサンプリング個体のdbhに着目すると、両者には全く違いがない。サンプリングの方法が完全にランダムともいえないので、個体サイズデータの扱いは難しいが、成長阻害が生じるほどの厳しい環境ではないだろうというのが、サンプリングしながらの実感でもあった。つまり、本当に蛇紋岩むき出しみたいなところにはアカエゾマツは定着しておらず、ある程度土壌があり、他の樹種は嫌うがアカエゾマツは大丈夫・・・という程度のニッチを見つけているように思えるのである。



・一方、標高とdbhの関係も一応見てみる。高山帯のdbhが急に小さくなるのは見た目のとおりであるが、低標高域でもサイズが少し小さくなっているのが面白い。個体群サイズも小さいために、小さなサイズの個体からもやむを得ずサンプリングしたというのが正解、というところだろうが、多少は環境の影響で成長率に差が生じているのかもしれない。やはりデータは眺めてみるものだ。

・アカエゾマツについて、個体群構造や花粉や植物遺体の化石関連の文献を2,3ダウンロード。”当たり”という文献はなく、引用するかどうかも微妙・・・。だが、トドマツ論文では使えそうな知見もあった。もうしばらく文献探しが必要だ。

・気分を変えて、トロピカルなマツ(Pinus merkusii)について下調べ。Wilkipediaによれば、保全地位(Conservation status)はVulnerableとあるので、希少種らしい。どうやら巨大なヤツらしく、普通の樹高は25-45m程度とのことだが、最大で70mの記録を持っているとか・・・。なぜかマイナーな雑誌に関連論文が出ているのだが、ダウンロード不能。1995年のForest Geneticsの論文によると、高い自殖率が観察されたようだ。が、この雑誌ってまだ存在するのか!?