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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

花粉症の季節

2007-04-10 | 研究ノート
・先日、アカエゾマツと蛇紋岩の適応について書いたのだが、ふと思いついて、Google scholarにてアカエゾマツ(Picea glehnii)と蛇紋岩(serpentine soil)で検索してみると、ぞろぞろと論文が引っ掛かる。ふむふむ、北大の小池先生のグループが既にアカエゾマツ、エゾマツ、ヨーロッパトウヒを比較しつつ、蛇紋岩耐性についての生化学的解析をやっている。さすがだ。それにしても、ちゃんと関連論文をサーチしないと片手落ちになるところだった。

・まだちゃんと読めていないのだが、Kayama et al. (2006) Treesでは、これら3種について圃場実験を行い、蛇紋岩土壌と非蛇紋岩土壌における成長、光合成能、重金属含量の比較などを行っている(ようだ)。どうやら、3000kgもの蛇紋岩土壌をダンプに積んできて、圃場に敷き詰めたようだ。結果は?というと、エゾマツとヨーロッパトウヒは蛇紋岩土壌で成長が抑制されるのに対し、アカエゾマツは抑制されない。針葉や根に含まれるニッケル含量はアカエゾマツがもっとも低く、ニッケル耐性が成長に特に効いているようだ。

・他にもいくつか論文が出ているのだが、アカエゾマツとエゾマツの生息地の違いについては、この耐性の違いでうまく説明できるのかもしれない。一方、今回の論文の中での、「蛇紋岩帯と非蛇紋岩帯のアカエゾマツで適応が起こるか否か」という問いに答えられるかどうかは、もう少し論文をしっかりと読んでみる必要がある。まあそれは、宿題にしておくことにして、改訂作業の方を進める。イントロでは、五十嵐八重子さんの文献を2つほど追加しつつ北海道全体の分布変遷の話をして、考察で富良野地方限定の話をするように工夫。結局、遺伝解析から得られたボトルネックの結果と花粉分析の結果は矛盾しないという結論に至る。

・昨日、日本森林学会誌から送られてきた焼松峠論文の著者校正もチェック。共著者からも送っていただいたので、別刷り注文票とあわせて送付。さらに、昨日下調べをしていたメルクシマツ論文の査読も一気に終わらせて編集委員に渡す・・・。いい感じで、手元から論文が離れていく。ほっとしたいところだが、またもや札幌出張(4月24日)が予定されてしまう。「北海道の林木育種」という雑誌の編集委員会なのだが、今度は50周年記念ということで、5月25日総会での話題提供を頼まれてしまう(というよりも、既にスケジュールに組み込まれている!?)。

・そういえば、本雑誌の50周年記念本の原稿執筆として、トネリコ類とカンバ類の担当になっていたを忘れていた。というか、あえて思い出さないようにしていた。しかし、このまま放っておいても、自分が苦しくなるだけだ。そろそろ、手をつけ始めるとするか。しかし、雲をつかむような話なので、なかなかねえ・・・。せっかくなので、今回はLaTexで原稿作成をしてみるか。しかし、最終投稿がワード指定となっているというのが何とも・・・。

・少し早めに帰宅の途につき、かかりつけの耳鼻科で薬を処方してもらう。久しぶりの再開に、お互いになぜか”にやり”とする。心の中での会話:「ようやく来たな・・・おぬし」、「待たせたな・・・」:武蔵と小次郎の対決といったところか・・・。今年は花粉が少ないのは北海道も同じらしい・・・という情報を交換する。当方の花粉症との付き合いは長く、富良野市ではもっとも症状が重い患者の一人だと認められている。診察はもはや一瞬で、いつものごとくアレロックという錠剤と点鼻薬を処方してもらう。それにしても、問題となりそうな花粉(ハンノキ?)は飛んでいないと思うのだが、一体、何に反応しているのであろうか?


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