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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

エゾマツの需要と供給

2007-04-27 | フィールドから
・旭川の林産試験場にて、エゾマツ研究会。総勢70名のうち、30名は当機関からの参加。林産試験場は昭和25年設立され、林産試験を中心に行う80名以上の研究者からなる巨大な研究機関。まずは講義室で、話題提供を受ける。

・一つは名寄市のクロエゾ人工林についての説明。以前、エゾマツ研究会で現地検討した場所が風害で倒れたとのこと。人工林は1929年、2000本/haで植栽。下刈りは1929-1939まで16回、6回の間伐が入っている。写真を見る限り、かなり生育がよいらしいが、風倒被害は相当なものであったらしい。

・もう一つ、道立林産試の佐藤さんからクロエゾ人工林の材質特性についてのお話。先の風倒被害木を調査したとのことだが、結局、天然クロエゾと人工林のクロエゾでは、年輪幅は大きく異なるものの、材密度、圧縮強さ、曲げ強さなどはそれほど変わらない。クロエゾ人工林の材質は決して悪くないので、これから使えるようになるといいですよ、という力強いお言葉であった。



・道立林産試の場内を見学した後、場所を移して麻生木材工場の視察。クロエゾを挽いている現場を見たのだが、65%がトドマツ、30%が北洋材で、扱っている量は全体の5%未満だとか・・・。この工場では、枕木の取り扱い量はハンパではなく、元々、枕木生産と坑木生産で会社を興したそうである。単線、複線、引込み線、その間などで微妙に枕木の大きさが違うのが面白かった。

・お話を伺う限り、エゾマツ材についての潜在需要はあるが、供給体制が全くなっていないことがよく分かる。色々と議論する中で、やっぱり今からでも造林をしていく必要があり、そのためには苗木を生産する必要があること、その前に種子を確保する必要があること、さらにその前に母樹林の指定が必要があることを感じた。川下を見て、川上の必要性が強く感じられたのは、ある意味、収穫であった。