12月31日(月)
年末の31日。窓ふきを終え、パソコンに向かっている。
昨晩から、今朝にかけてみた映画のことを書いておこう。
1947年のアメリカ映画「紳士協定」。これをみて、選挙
結果で、一時沈んだ気持ちに希望がわいてきたからだ。
カセットには次のようにしるされている。
『彼は自らをユダヤ人と偽り…
一人のジャーナリストが見た差別と偏見、
彼は真の正義とはなにかを追求する』
人気ライターのフィルは、週刊誌の編集長に招かれ
ニューヨークへ渡ることに。そこで彼に依頼された仕事は、
反ユダヤ主義についての記事だった。彼はこの企画を
発案した編集長の娘キャシーに惹かれていく一方で、自ら
をユダヤ人と偽って取材を始める。そして噂は瞬く間に広
まり、周囲はにわかによそよそしくなっていく…。
ユダヤ人差別をテーマに、一人のジャーナリストが、ユダヤ
人の立場になって初めて分かる様々な差別や偏見と
闘いながら、真の正義を追求していく姿を感動的に描く。
監督は「エデンの東」の名匠エリア・カザン
’47年アカデミー作品・監督・助演女優賞(セレステ・ホルム)
の3部門に輝く傑作。主演はグレゴリー・ペック。
私は、映画の中で、最後の部分がとても気に入った。
フィルの母親の次のせりふからの部分である。
母 「父さんに読ませてあげたかった。喜んだはずよ。
特にここのとこ。
ホテルを追い出されて彼らの気持ちがわかった。
就職を拒否された人。あるいは、サマーキャンプを
こばまれた者の気持ちが。
そして、我が子が泣いて帰ってきたとき、彼らの怒り
がわかった。この時から10歳の子どもに向けられる大人
たちの差別が眼にうつるようになった。
現実に若者達が、就職や医学部の道を閉ざされている。
それ知り、彼らは嘆いているだろう。
そう、彼らとは建国の父。議論したたかって憲法と基本的
人権を書いた人。彼らは自由と平等という樹が不正で
枯れることを知っている。そしてこの果実が不正でしぼみ
歴史の闇に落ちることを。そこでは他の希望も死に絶える。
しかし、自由と平等という実はまだ落ちていない。
落とすのも、実らせるのも人と国家なのだ。
お父さんが読んだらきっと喜んだわ。」
フィル「みんなそれに気がついていない。時間は無駄には
できない。みんな大事な果実が落ちても構わないんだ。」
母「キャシーのこと」
フィル「キャシーだけじゃない。彼女と同じような国中の人さ」
母「でも、私何だか、急に長生きしたくなったよ。とっても。
どういうことになるか見たいの。
世界が急に動きだして、何か起きるんじゃないかしら。いえ
起きるはずよ。未来の人ならどう思うかしら。この時代をふり
かえったら、びっくりするはずよ。未来はアメリカやソ連の時代
ではないかも。戦争がない時代かも知れない。人類みんなの
時代だったら、すばらしいと思う。世界中の人が自由で、みんな
一緒に住める、そのきざしだけでもいいから見てみたい。
だから長生きするつもり」
★特に線のひいたところが気に入った。
また、伴侶はいっしょにいてくれるだけの人ではない
差別をのりこえるハートの人だと、ユダヤ人の友人が
フィルの 婚約者を諭す場面もすてきだった。