読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

子どもを携帯ゲームで釣る米菓子メーカー

2012-09-26 08:28:02 | パソコン
wsj日本版から
米国の食品会社は、タッチスクリーンの携帯電話やタブレット端末向けのシンプルなゲームに自社商品を埋め込んで子どもの歓心を買おうとしている。こうした新しいメディアは、土曜の朝のテレビ広告よりもはるかに安いが同じぐらい効果的かもしれない。


 こうした携帯ゲームは、新しい技術が企業と若い消費者の距離を縮め、米国人の購買行動を変えようとしていることを示している。

 「アプリはもちろん子どもをターゲットにしている」と、J&Jスナックフーズのマーケティングを担当するメリンダ・チャンピオン氏は語る。同社はスナック菓子の「スーパープレツェル」や炭酸入りのシャーベット「ICEE(アイシー)」などのメーカーだ。「子どもが『おかあさん、スーパープレツェルが食べたいなあ』と言ったら、お母さんは買おうかと思うでしょう」と話す。

 同社のいくつかのアプリはすでに人気を博している。「SuperPretzel Factory」は、7月半ばのリリース以降、アップルのアップストアの無料子ども向けゲームの中でトップクラスの人気を誇っている。「Icee Maker」は昨年のリリース以来800万回以上ダウンロードされているという。



スマートフォンやタブレットを使っている子どもとパソコンを使っている子どもの年齢別比率
 スナックや清涼飲料のメーカーは、昔からテレビやインターネットへの広告について政府や世論の圧力を受けてきた。そうした業界にとって、携帯端末は商品への需要を喚起しブランドへの忠誠を固めることができる、まだ規制が及んでいない新しい媒体だ。

 感覚的に分かりやすいため、幼い子どもは字が読めるようになる前にタッチスクリーンの扱いを覚える。調査会社NPDグループの調査結果によると、4~5歳の米国の子どもの37%がスマートフォンやタブレット端末、アイポッドタッチなどを使っている。この年代でパソコンを使ったことがあるのは25%以下だ。

 食品業界のゲームは一般に、絵もシンプルでゲームのルールも簡単で小さな子どもでもすぐに遊べるものが多い。

 こうしたゲームの子どもへの影響について、責任を持つべきなのは両親か政府かについて議論が起きている。

 「子どもは、いつもコンピューターの前に座っているわけではないので、インターネット広告には限界がある。だが携帯電話を持っていれば実は広告そのものであるゲームを学校でもどこでも時間を選ばずに遊べる」とイエール大学のラッド食糧政策・肥満対策センターで広告の調査を手掛けるジェニファー・ハリス氏は話す。


 インターネットには、子どもに対する広告についての連邦政府の規制はない。消費者問題の運動家は、連邦通信委員会(FCC)が子どもへのテレビ広告を規制している以上、インターネット広告にも規制が必要だと主張する。

 子ども向けのテレビ広告の規制問題は1960年代にさかのぼる。土曜の朝のアニメ番組に菓子のコマーシャルが殺到したためだ。FCCは、子どもは広告に毒されやすいとして、広告の時間を1時間に10.5分に制限し、番組で商品を見せることを禁じた。

 だが、1980年代の連邦議会は、広告業界を監督する連邦取引委員会(FTC)が子ども向けの食品に関する広告に新たな規制を設けることを禁じた。

 FTCと3つの規制当局は昨年、全ての媒体で、子どもたちへの広告を健康的な食品に限るとするガイドラインのドラフトを作成した。だが、メーカーが反発した。

 FTCで宣伝広告を担当するメアリー・イングル氏は、「議会が政府の提案した自主規制さえ後押ししようとしないのは明らかだと思う」という。

 食品大手のクラフト・フーズなどは、1997年に立ち上げられたインターネットの「キャンディースタンド・ドットコム」に、率先してゲームを提供してきた。

 だが、米国の2~19歳のの5人に1人が肥満というショッキングな数字が明らかになり、子どもの肥満問題が深刻さを増してきたことで広告規制があらためて議論になっている。 


4~14歳で携帯電話、アイポッドタッチ、タブレット端末を使っている子どもの比率
 大手食品メーカーは2006年に、消費者と企業が消費者の信頼を高めることを目的とした活動を行っている非営利団体の商事改善協会の下に子どもの飲食料広告を改善するための自主規制組織を設立した。

 それから1年でマクドナルド、バーガーキング、クラフトを含む12社が、子どもの健康を増進する食品の広告を推進する運動を開始した。シリアルのブランドを多数展開するポスト・ホールディングスとチェリオスなどのブランドで有名な食品大手ジェネラル・ミルズは、ゲームや甘い食品を宣伝するウェブサイトを閉鎖した。08年にはこの運動に参加したメーカーは大きな効果を上げていると宣言した。

 しかし、その頃、スマートフォンやタブレット端末が消費者の行動を変化させ始めた。今、こうしたメーカーは子供受けのする携帯端末ゲームへの取り組みを強化している。

 ガムやキャンディーのブランド、リグレーはこの夏、新しいスマートフォンのアプリ「Candy Sports」をリリースした。同社のキャンディーのブランド、スキットルのロゴを狙ってボールを打ったり、スターバーストのマークを狙ってサッカーボールを蹴ったりするゲームだ。リングリーの広報担当者のジェニファー・ジャクソン=ルツ氏によると、このアプリは十代の若者と大人をターゲットにしているという。

 食品大手クラフト・フーズは最近、「Dinner, Not Art.」というアイパッド用のアプリをリリースした。同社もターゲットは十代の若者だとしている。だがこのアプリのテレビ広告には2人の小学生のような子どもが出演している。

記者: Anton Troianovski


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