あやめ咲き
男子の祝ひ
待つばかり 悠山人
○俳句写真、詠む。
○古典和歌の世界では、出番が多い。
□俳写089 あやめさき をのこのいはひ まつばかり
【写真】ことしもかなり咲いた。一週間前、自宅。
2007-0421-yis141
宮さまの形見の喪服を着ていると
涙に濡れてだめになりそう 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○詞書は、「なにのみことかやにおくれて」。何やらの皇族が亡くなられて。現代詠で「宮さま」としたが、依拠本の頭注に「為尊親王」と。為尊については、「夢よりも-和泉式部日記」(2006年10月30日、literature)、「新古今集現代詠053 世の中が」(2005年09月08日)に、関連記事。
¶ふぢごろも(藤衣)=<喪服。『奥儀抄』によれば、藤の皮で織ったものという。「ふぢ」は「朽ち」の縁語。>(新潮版)
□和141:をしきかな かたみにきたる ふぢごろも
ただこのころに くちはてぬべし
□悠141:みやさまの かたみのもふくを きていると
なみだにぬれて だめになりそう
2007-0421-yts329
ささなみにふりにし時の今を見て
詠み人のこゑさまねく聞ゆ 悠山人
○短歌写真、詠む。
○問答無用!の声が、かなり大きくなって来た。その大声の一族郎党とは、全く立場を異にする私ではあるけれど、古人先達から綿綿と伝わる文芸の素晴らしさには、ただただ敬服するばかりだ。貧脳に響くは、ぎこぎこ(擬古)という、さびしげな音。
¶ささなみ(細波)=万葉歌「ささなみの古き都」の援用。「細波」「降る」は縁語。「降り」「古り・経り」は掛詞。
¶さまねし=「数が多い。たび重なる。」(「古語辞典』) 同所に万葉歌の用例。
□短写329 ささなみに ふりにしときの いまをみて
よみひとのこゑ さまねくきこゆ
【写真】万葉公園。閑寂な、非日常的な場で、古代にワープする。
2007-0420-yis140
別れても同じ都にいるうちは
このたびほどに泣かなかったわ 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○詞書には、「離れにたる男の、遠き所へ行くを、いかがおもふ、と言ひしに」。関連に、第094歌。「離れ」を「かれ」と読む。現代詠は、第四句まで、ほぼ直訳。別れて、気持ちの整理もついたはずなのに・・・。
¶このたび=「この度」「この旅」と掛ける。
□和140:わかれても おなじみやこに ありしかば
いとこのたびの ここちやはせし
□悠140:わかれても おなじみやこに いるうちは
このたびほどに なかなかったわ
2007-0419-yis139
舟に乗り朝を迎える辛さから
鳴く鴛鴦の気持ちが分かるの 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○詞書は、「海の面(つら)に船ながら明かして」。「上」を「うへ」と読む。
¶うきね=<「浮き寝」(船中で寝ること)に「憂き音」をかけた。「浮き寝」は「鴛鴦」の縁語。>(新潮版)
¶かかれば=かくあれば。so, then, therefore, because of。
□和139:みづのうえに うきねをしてぞ おもひしる
かかればをしも なくにぞありける
□悠139:ふねにのり あさをむかえる つらさから
なくおしどりの きもちがわかるの