悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

短歌写真332 ふりふりて

2007-04-25 02:05:00 | 短歌写真
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ふりふりて滝と流れし紫の
藤に連ぬるわれもひと花   悠山人

○短歌写真、詠む。
○作者が、近ごろ紫式部に、深く関わっている、という一首。
¶ふりふりて=すっかりお馴染みの、「(時が)経る、古る」。「(藤花が水のように)降り」、「滝」になって「流れる」。掛詞の重畳擬態語的な用法は、先人作品のどこかで使用済みかも知れないが、私は未見である。
¶ひと花=「一花」「人(という)花」。僭越至極なり。
□短写332 ふりふりて たきとながれし むらさきの
        ふぢにつらぬる われもひとはな
【写真】同前。このとき、かなり大きい熊蜂一匹、激しく勤務中。寄って「迫写」したかったのだが・・・。中央部に小さく隠れている。

image320 紫藤爛漫

2007-04-25 02:00:00 | images
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title : Wisteria floribunda
yyyy/mm : 2007/04
memo : 藤(ふじ)。ウィステリア・フロリブンダ。名札には「Wisteria floribunda」とあった。電網検索すると、花名だけをとっても、異同に悩まされる。もちろん採否は、自己責任。植物見本園で、先日。

和泉式部集144 兄宮を

2007-04-24 03:30:00 | 和泉式部集

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兄宮を花橘と見せるより
ほととぎす鳴くあなたなのでは?   悠山人

○和泉式部集、詠む。
○長い序詞。「弾正尹為尊(だんじゃうのゐん ためたか)のみこかくれ侍りて後に、大宰帥敦道のみこ、花たちばなをつかはして、いかか見る、と言ひて侍りしかば、言ひつかはし侍りし」。弾正尹は弾正台(警察庁)長官。兄の死後、残された恋人の和泉を思い遣って、弟が慰めの花を添えて文を寄越した。花はともかく、兄宮さまと同じように、時鳥を歌っていただけるのかしら?
□和144:かをるかに よそふるよりは ほととぎす
      きかばやおなじ こゑやしたると
□悠144:あにみやを はなたちばなと みせるより
      ほととぎすなく あなたなのでは?


短歌写真331 かまびすき

2007-04-24 03:20:00 | 短歌写真
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かまびすきうき世の声の静まりて
空よ花よとうつせるはよし   悠山人

○短歌写真、詠む。
○統一地方選挙が終わって。
¶かまびす(喧)き=終止形は「かまびすし」。ここでは古形を使う。「古くはク活用であったが、鎌倉初期ごろからシク活用としても用いられた。」(『古語辞典』) 現代語では、もちろん「シク活」だけである。
¶うき世=「浮き」「憂き」の定番。「うつせる」は「現(し世)」「(窓ガラスに)映(す)」「(写真に)撮(す)」。
□短写331 かまびすき うきよのこゑの しづまりて
        そらよはなよと うつせるはよし
【写真】隣りの花水木。

俳句写真090 惑ひては

2007-04-24 03:15:00 | 俳句写真
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惑ひては
弊えのままに
花畑
   悠山人

○俳句写真、詠む。
○なかなか使う機会のない古語を、使ってみる。「花」は隠喩。
¶弊(つひ)え=「疲れること。疲労。」(『古語辞典』) 別見出し語に、終止形「つひゆ」。なお現代語としても、『広辞苑』見出し語に「ついえ」がある。
□俳写090 まどひては ついえのままに 花畑
【写真】借用して、コラージュなど加工。

image319 亜米利加山法師

2007-04-24 03:10:00 | images
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title : Benthamidia florida
yyyy/mm : 2007/04
memo : 亜米利加山法師(アメリカやまぼうし)。Benthamidia florida。Flowering Dogwood。通名の「アメリカ花水木」を誤りとするウェブサイトが多い。染井吉野への返礼だとか。通りがかりの、地方選挙投票会場入口で。

和泉式部集143 私にも

2007-04-23 02:50:00 | 和泉式部集

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私にも恨む気持ちはあるのです
それをあなたは無視なさるのね   悠山人

○和泉式部集、詠む。
○詞書は、「かきたえておとせぬ人に」と恨み言。すっかり手紙も寄越さなくなった人に。珍しく、「lover」とか「boyfriend」という意味での、「君」が登場した。『万葉集』で頻出の「君」は、「my lord」 とか 「His Majesty」が普通。
¶か(掻)きた(絶)ゆ=cf. 「第130歌 数知れず」(今月10日)。

¶な(無)きにな(為)す=<無いものとみなす。ここでは「うらむべきこころ」を無視するのである。>(新潮版)

□和143:うらむべき こころばかりは あるものを
      なきになしても とはぬきみかな

□悠143:わたしにも うらむきもちは あるのです
      それをあなたは むしなさるのね


image318 黄色馬錢

2007-04-23 02:45:00 | images
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title : Gelsemium sempervirens
yyyy/mm : 2007/04
memo : ゲルセミウム・センペルウィレンス Gelsemium sempervirens。イェロウ・ジャスミン Yellow Jasmine。カロライナ・~Carolina ~。本物のジャスミンは木犀科、通名カロライナ・ジャスミンは馬錢科。匂いが似ているというだけで、系統的には無関係。製薬会社のHPには、<全草が有毒で、目まいや、呼吸機能の低下などの中毒症状を呈し死に至ることもある。その毒性は、セリ科の「ドクニンジン」"Conium maculatum"よりも、ずっと強いといわれている。>(日本新薬)とあった。撮影は一昨日。植物園の名札に「マチン科」とあって、調べたら中国の李時珍の命名と分かった。そこで、例によって悠山人が、漢字を使って、標題のとおり命名した。センペルウィレンス(evergreen)を生かして、「常緑馬錢」もあり。なお jasmine, -min 両形とも正解。

和泉式部集142 待つものと

2007-04-22 00:15:00 | 和泉式部集

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待つものと分かっていてもあきが来て
思いがけない嬉しいお越し   悠山人

○和泉式部集、詠む。
○詞書は、「大宰帥敦道(だざいのそちあつみち)のみこ、仲たえけるころ、秋つかた、おもひいでて、ものして侍りしに」。(振りかな依拠本のまま) 前出、私の和泉式部現代詠は、「夢よりもはかなき」を一つの契機にしたが、日記はその為尊の死を悲しむところから、始まる。すぐに続けて、彼の実弟の敦道が、大宰府帥(長官)として下向する話が綴られる。秋になって、突然和泉を訪ねて来たのに、驚いた、というのである。この来訪を、「喜悦の情を表したもの」とするのが通説、と頭注は紹介する。なお、日記本文での歌は、次の通り。
  待たましも かばかりこそは あらましか
  思ひもかけぬ けふの夕暮れ
¶もの(物)す=多義語であるが、ここでは「来訪する」。英語は、仏語よりは独語と親縁であることは、ご承知のとおり。例えば to come, zu kommen は、「行く、来る」の、一見相反する両義があって、学習初心者を戸惑わせるが、実は古日本語の「物す」も、この英独両語と全く同じように使われていたのである。英独ぺらぺらの日本人でも、案外知らない人が多い。

□和142:まつとても かばかりこそは あらましか
      おもひもかけぬ あきのゆふぐれ

□悠142:まつものと わかっていても あきがきて
      おもいがけない うれしいおこし


短歌写真330 項垂れし

2007-04-22 00:10:00 | 短歌写真
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項垂れし直実いまに悔いたるか
はた疲れしをいま癒せるか   悠山人

○短歌写真、詠む。
○熊谷草。きのうのルピナス?の隣りに、一本だけ鎮座(という感じ)。街中で露地植えとは珍しい。源平合戦の熊谷直実に由来。敦盛草と組んで語られることが多い。
□短写330 うなだれし なほざねいまに くいたるか
        はたつかれしを いまいやせるか
【写真】周りの土(茶色)から、花だけを切り取った。夕日が当たっている。