悠山人の新古今

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164 吹く風に花

2006-02-25 02:50:00 | 新古今集

 原作者は、詞書の栴檀を花橘に代えた。現代詠は、抹香臭を橘花薫香(きっかくんこう)に代えてみた。
 ひらかなy164:ふくかぜに はなたちばなが においきて
          むかしのあなたを おもいださせる
 ひらかなs1954:ふくかぜに はなたちばなや にほふらん
          むかしおぼゆる けふのにはかな
【略注】○昔覚ゆる=「昔のことを思い出す、覚えている。」(remember)
    ○今日の庭=「今日の法(のり)の庭」(小学版)。補説参照。
    ○寂然(じゃくねん)=藤原頼業から出家。為忠の子。14首、ほぼ釈教歌。
【補説】栴檀香風、悦可衆心。(せんだんのこうふう、しゅしんをえっかす) 「法華経」からの引用が、この題詞となっている。あるとき釈迦が大衆(だいしゅ。修行僧)を集めて説法しようとしたら、さあっと橘の花のいい香りが吹きおこって、わあっと歓声があがった。遅れて来た弟子の弥勒が、どうしたのと文殊に聞くと、その昔灯明仏(という仏の化身)が法華経説法をしようとしたときも、同じようなこと(瑞相)が起こったんだよ、と答えた。この伝承を背景として、寂然の仮託歌が生まれた。


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