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2006-0827-yms110
この雨の淋しい夜に宮居する
私を訪ねて来る人などは 悠山人
○紫式部集、詠む。
○詞書に、「相撲(すまひ)御覧ずる日、内裏(うち)わたりにて」。勅令で、毎年七月下旬に相撲を見たというのだから、よほど好きだったのか。平王ク歌番号121。
¶たづき=旺文版古語辞典に、「方便」の漢字が充てられ、「たどき」から「たつき。たつぎ。たづき」へ移行した、とある。また用法としては、当初「なし」と併用されて否定辞として使われた。だからここでの「たづきなき」は、伝統語法で、「頼りとするものがない、寄る辺がない、手段・方途がない」。
¶旅の=天皇の命令で全国から集められた相撲選手なので、様子の分からない旅人同然だった。
¶すまひ=「相撲」「住居」を懸ける。
¶よに=「世に(まさか~ではあるまい)」と「夜に」との掛詞。前者の用法でだれでも思い出すのは、百人一首の「よにあふさかの」の歌であろう。
□紫110:たづさなき たびのそらなる すまひをば
あめもよにとふ ひともあらじな
□悠110:このあめの さびしいよるに みやいする
わたしをたずねて くるひとなどは