世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

アフガン情勢流動化:主要閣僚不信任、CIA7名基地内で爆殺

2010-01-03 | グローバル政治
2010年1月3日(日)

年末年始に掛けて、アフガニスタンの情勢が流動化してきた。ひとつはカルザイ大統領が議会に信任を求めた24人の閣僚名簿のうち16名が却下されたこと。いまひとつは、パキスタン国境に近いCIAの基地内で自爆テロがありCIAエージェント7名が殺害されたことである。

大統領選挙の不正投票問題が一応の落着をみて、カルザイ大統領が組閣作業に入っていた。長時間を要してようやく作成されたリストのうちから不信任を突きつけられた閣僚候補には、財務・農務・内務・防衛大臣が含まれている。

この4つの大臣ポストは巨額の外国援助金・物資を扱うことから、腐敗の温床とされてきており、不信任の理由の第一は、大統領選挙の論功行賞として選ばれた候補者の腐敗度の高さが上げられている。そしてカルザイ大統領の属する部族への厚遇に比べ、他部族が冷遇されたことへの反発も挙げられている。

いずれにせよ、同大統領にとっては大きな打撃(a humiliating setback)である。これから新たな閣僚候補リストを作成するにしても、カルザイ大統領一派の有力者(strongmen)をはずすことは容易ではない。

そんな中、次の政治課題である議会総選挙の日程を5月22日とすることが選挙管理委員会から発表された。西欧諸国は、大統領選挙の際にあからさまに行われた不正投票に懲りており、公正な選挙が保証されない限り、選挙の実施のための援助を拒むことは確実である。政界浄化などは今のアフガニスタンでは、『不可能』の代名詞でもあるから、この問題は大統領にとって大きな火種となる。

一方、7名のCIA要員は、かつてソ連と戦っていたタリバンの首領の一人であったJalaluddin Haq-qaniの配下のひとりの自爆テロによって、よりにもよって米軍基地内で殺害された。CIA側へJalaluddin Haq-qaniの居場所情報を提供させようとしていたこの犯人に、自爆攻撃という返り討ちにあったと伝えられている。

この基地は、タリバン指導者を各個撃破で殺害する任務を与えられていて、小型無人爆撃機の発射基地でもあった。犯人には、米軍によるタリバンとアルカイダ掃討作戦での被害拡大に対する報復を行うという指示がでていたことは間違いがない。

タリバンは、アフガニスタンとパキスタンの国境山岳地帯を自由に往来しており、連合軍の制圧作戦も効果が上がらず、パキスタン軍も戦意が低く本格的な軍事力行使に至っていない。

もともとパキスタン人にアフガニスタン人を敵視する理由がないことに加えて、パキスタン政府は将来タリバン勢力を使ってアフガニスタンへの利権確保を図り、究極的にはインドに対する牽制前線を形成することを狙っているらしい。パキスタンのこの煮え切らない対タリバン対策に米政権の苛立ちは極に達しつつある。




最新の画像もっと見る