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悩み深い、オバマ批判のアフガン司令官解任 Civilian Control

2010-06-24 | グローバル政治
2010年6月24日(木)

音楽芸能雑誌Rolling Stone誌7月号に先立ってその内容が、その電子版に事前公開され、アフガン平定のためのNATO軍総司令官Stanly McCrystal将軍が、オバマ大統領、バイデン副大統領をはじめとした文民指導者を総なめに批判していたことが明らかになり、怒ったオバマ大統領は、同司令官を直ちに召喚し、短い会談のあと、先刻解任を発表した。

オバマ大統領は記者会見で解任理由を、「同将軍の行動は、司令官としてふさわしくないだけでなく、文民統制を乱すものであった」からだとしている。そして、「政府部内での議論は歓迎するが、対立は許容しない」("I welcome debate among my team, but I won't tolerate division.")と、同将軍の言動への不快感を表明した。

同司令官と側近の言動内容は、昨日の本欄でも取り上げたように、ホワイトハウスで対アフガン戦略に携わる要人への完膚なきまでの批判と侮辱であり、これが公開されれば解任されることはまず間違いはないものであった。ただし、同司令官がなぜこのような、私生活にまで及ぶ場面での取材を許したかは謎である。先ほど放送されたCNN報道でも取材にあたった雑誌記者も訝っているとの感想であった。

後任には、指揮命令系統からすると同将軍の上官となる、アフガン・中東担当総司令官Petraeus将軍が充てられることも同時に発表されている。同将軍は、先日の下院委員会のアフガン問題の公聴会の席上、マケイン議員の質問中に突然失神して退席するという事態となっていることからも、この任命は一時的なものとみられる。(失神理由は、脱水症状とされている)

米国にとって、8月に予定しているタリバン掃討のための米軍大量投入を前にして、現地政府との関係が極めて良好なMcCrystal司令官の更迭という事態は大打撃である。

最近ワシントンでは、「どうも現地の作戦はうまく機能していない」のではないかとの疑問が蔓延していた。そしてテロの横行はとどまるところを知らない状況である。タリバン拠点のアフガン南部、特に戦略的に重要なカンダハル市周辺の掃討作戦は一向に進展する気配がない。

カルザイ大統領は、今回の問題発生直後から、同将軍を支持し、現職にとどまることを望むとの声明を出している。アフガン政府の意見を無視した付けが大きく回ってくるかもしれない。



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