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オバマ、「問題は反米だけでは解決できない」 anti-Americanism

2009-09-24 | グローバル政治
2009年9月24日(木)

オバマ大統領は、世界の指導者を前に、国連総会で37分にわたる代表演説を行い「過去において、多くの国々がほとんど反射神経的に反米(almost reflexive anti-Americanism)の姿勢をとってきたが、それだけで世界の問題を解決できるわけはない、世界を、現状固定化(status quo)のくびきから解放させねばならない」と強い調子で訴えた。

「米国は、一人勝手に振舞っていると非難してきた国々は、(米国が協調によって問題解決しようと手を差し伸べている)今、傍観者に回って米国が一人で問題を解決するのを待っていることは許されない」というのが演説冒頭の一節である。

火曜日の、気候変動問題に関する首脳会議では、12月のコペンハーゲンのCOP15会議に向けての合意は形成されなかった。また、水曜日のイスラエル・パレスチナ・米国の首脳による初めての3者会談も、双方のかたくなな態度(immovable positions)でまったく進展を見なかった。

イラク撤兵から、アフガニスタン増派への転換シナリオは、不透明感が増しつつある。北朝鮮もイランも核問題でまったく譲歩の姿勢を見せない。ロシアのメジデェーエフ大統領から、国連の対イラン制裁発動で支持を取り付けたのが唯一の救いという外交上手詰まり状態に置かれている。

オバマ大統領の、米国の一国主義からの脱却を宣言する代表演説となったが、途中時折拍手が沸いたものの、standing ovationはとうとう出ず仕舞いであった。

オバマ大統領の演説直後に演壇に上がったリビヤのカダフィ大佐は、「総会は190カ国のためのただの飾り物。非民主的な運営の国連など戦後の遺物。安保理5カ国だけで物事が決まる国連など要らない」という趣旨の激越な長広舌をふるい、最後は国連憲章の冊子を後ろに投げ捨てた。

カダフィ大佐の態度の是非は別として、それを、「制度疲労と機能不全に陥って、肥大化した職員の官僚主義に蝕まれている国連を改革せねばならぬときが来ている」という意味にとるなら、その部分の主張は正しい。

安保理の常任理事国5カ国に限定した拒否権は、第二次世界大戦戦勝国の特権という遺制であることは、みんながわかっていて手を付けない、いわばオバマ大統領のいうstatus quo(現状固定)そのものである。